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第四十九歩 学園国家

「ほんと、流石としか言えないわね」


アリスが胸をなでおろす。

「それで、魔王は殺せるの?」

「無理だな。それに、まだエリザベスを生き返らせる方法も見つかっていない」


 ただ、1つ、蘇生させる方法に心当たりがある。

 隕石を地底湖に転移させたレンを治癒する時にアオイが言っていたこと。エリクサーと聖女の血を使った蘇生術の話。

 聖女の血は南のメナール法国にいる聖女から恵んでもらう。

 となるとあとはエリクサーだが。


「これについては全く分からねぇ」

「では、どこに向かうのですか?」


 いつの間にか仲間のように振る舞うメシアに苦笑する。


「このまま西に、レンがいるあの国から離れて行く」

「西ということは魔法ですか?」

「ああ、学園国家アーバンマジック。そこが次の目的地だ」


 魔術や魔法についての研究機関、そして、それを資金的に支える教育機関だけが集まってできた国家。

 ここは、研究者と学生しかおらず、食料や、衣服などの生活用品も、研究開発されたものである。

 そのため、この国出身というものはおらず、どこかの国から入学してきたものしかいない。卒業後は、出ていくか、研究職につくか、2択の中から選べる。


「つまり学生になる、ということです」

「学生以外は、たとえ旅人や研究職出会っても入国できないらしいわね」

「まあ、だから学生として入るんだが、それで研究機関の研究成果を見ることができる」

「でもあそこの入国試験は難しいって言われてるけど大丈夫なの?」

「もちろん」


 後ろに立つメシア。彼の力を存分に借りる。


「サポートに関しては得意ですので」


 メシアが誇る通り、メシア、アリス、ライトの三人は難なく入国に成功する。


「ここでは食費も家賃も何もなし」

「でもここにあるすべてのものはサンプル品で私達が実験体なのよね」

「まあ

 、その御蔭で学費までただなんだからいいじゃねぇか」


 普通、学生は講義室に行くはずだが、三人は資料室に向かう。


「こんにちは。どの資料をお探しですか?」

「復活の薬についての資料がほしい」

「かしこまりました」


 受付の女性が奥に入ったかと思うと、すぐに一束の紙を持ってくる。


「こちらが資料になります」

「ありがとう」


 さっさとお礼を言って資料を開く。この文字の洪水の中から目的の文章を見つけなくてはならない。


「ねぇライト」

「なんだ?」

「そんなに頑張って探さなくても、メシアに手伝ってもらったら?」

「あ、」


 ライトが今さら気づき、メシアの方を見る。


「上から156枚目、儀式の具体的な要素ですね」

「わかってたんなら早く言ってくれよ」

「頑張りたいみたいだったので少し黙っておこうかと」


 どうやらライトの印象は努力大好き人間みたいだ。


「必要なものは、神の血、神の肉、聖水、復活させたい相手の体の一部。そしてそれらをまとめ、制御するために、魔王の翼の一部」

「魔王の翼の一部、やつを殺さなければエリザベス様を生き返らせることができないということね」


 聖水は、アオイが作り出すことができるのを知っている。探せばここにもあるだろう。

 魔王は、レンはいずれにしても殺さなくてはいけないことを知っている。

 問題は神の血と肉だ。


「劣化版で良ければ、赤ワインと丸パンで代用が聞きますが」

「劣化版でいいはずがねぇだろ」


 そうなると実際に会わないといけなくなるが、


「ま、まだ時間はある。少しここを探検してみてもいいかもな」

「そうね。人間を生き返らせるなんてこと、急いでできるものでもないからね」


 というわけで国の中を少し、散策してみる。

 ただ、それはただの散歩ではなく、レンを殺すための手段を探すついでの散策だ。


「む、そこのあなた。神速の勇者ではないですか?」


 ただ、歩き出した瞬間、変なのに絡まれる。


「えっと、なぁ、メシア。あれってなんだ?」

「あれは、空気中に霧散した魔力を回収し、魔石として再利用する装置で、開発者はアインスタイン博士です」

「ほー。あれで空気中の魔力を集めてるのか。魔力が何かわかんねぇが」

「ライト、魔力くらいは知っておいた方がいいわよ。というかここに来ている人物の中で魔力のことを知らないのはあなただけよ」

「知らねぇものは知らねぇから仕方ねぇな」


 ライトたちは、その変なのを無視する方針で行くようだ。


「ちょっと、無視しないでくださいよ! というか、このかっこよく美しい天才魔法少女のどこが変なのなんですか!」


 ほかの学生たちは、学内で売っている魔法耐性と防塵が付いた機能的な服を着ているのに対して、

 彼女はマントやら魔女っぽい帽子やら宝玉の付いた高そうな杖やら、挙句の果てには


 ドラゴンの刺繍がしてある眼帯を付けていた。


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