第三十三歩 隕石
と、眠りに入ったライトだがダンタリオンのダイビング・二ー・ドロップで目を覚ます。
「グフォ、ま、まだ1分も寝てねぇぞ」
『正確には目を閉じてから1分と5秒なのよ』
「その1分待ってあげた私優しいー、みたいな顔やめろ! 4時間は寝かしてくれよ」
『軍では後5分、なんて抜かすやつを寝かしてあげるのかしら』
「2時間は寝れるよ! 確かにその後時間きっかりに叩き起されるけどなぁ!」
今日の睡眠時間合計65秒のヒーロー様は寝足りないのかブーブーと、文句をたれる。
「んで、なんで俺は叩き起されたんだ?」
『外を見てみるのよ。新しいのが降ってきたかしら』
「んあ? また人参か?」
ライトがフラフラと揺れながら窓に近づく。
「嘘だろ……」
『今度は流星群なのよ』
空から降ってくる大きな、それこそ山に匹敵しそうな大きさの隕石を見てライトが頭を抱える。
「なんだよアレ。あんなん爆発させようとしたらどれだけのミサイルが必要なんだ? つかあんなの砕いたらそのエネルギーでこの辺全域がやられるぞ」
何をすればいいのか全くわからないが、物が落ちるのはすぐであり、時間の猶予というものは全くない。
『だから1分しか寝かせてあげられなかったのよ』
「あれが来たのって俺が寝てから何秒後くらい?」
『目を閉じた瞬間に見えたかしら』
その1分でなにか出来ただろうがよ!
っと喚くが今更嘆いたところで時間は戻ってこない。
「なんで神様って上から落とすのが好きなんだろうな」
『基本的に何かの上にいるのが好きなのよ。だから必然的に上から落とすことになるかしら。地面に潜るのが好きなんてドワーフくらいかしら』
「なるほど、だからいつもふわふわ浮かんで低身長でも見下ろせるようにしてるのか」
どうやらあのふわふわはゆりかごの代わりではなかっなかったようだ。
『それでどうやって止めるのかしら?』
「黒騎士で受け止められねぇか?」
『受け止めた途端、地面の方が耐え切れずに崩壊するかしら。それにあの手の大きさで支えようとしたら隕石に穴が開くかしら』
この辺は圧力の問題である。同じ体重でもスニーカーよりヒールの方が痛いのと一緒だ。
「仕方ねぇ、あれを使うか」
『あれ?』
不思議に思ってるダンタリオンのためにレンの部屋から担いでくる。
「これ」
『幼馴染みを物扱いするのは良くないのよ』
「緊急事態だから仕方ねぇんだよ」
ライトと同じく眠いレンは、しかしさっさと頭を回して睡魔を追い払う。
ついでにレンに寝ぼけたアオイがついてきたが、こんなことは恐らくアオイ図書館の中にないので役に立たない。
「とりあえず、窓を見てもらえば分かるだろうけど、隕石が降ってきた。とりあえずやばい、おーけー?」
「OKだ」
二人で窓の外を眺め、対策を話し合おうとした時にアオイが動き出す。
「いーんせきですかー。それなら簡単ですよぉ」
完全に寝ているアオイがダンタリオンの近くに進む。
「んあーむにゃむにゃ」
眠っているせいかほとんど何を言ってるのかわからないが、ダンタリオンは正確に聞き取る。
『よーく分かったのよ』
完全に理解したダンタリオンが黒騎士を呼び出す。
『そーれーなのよ』
レンを壁に叩きつけた時と同じようにレンを隕石目がけて吹っ飛ばす。
「は、え? 何やってんだよアオイ! レンを殺す気か?」
「だーいじょうぶでーすよー」
レンが空中で体制を整えながら考える。
「駄目だ全くわからん。何すればいいんだよ」
そんな時に下から天使だか悪魔だかわからない声が届く。
「腕輪でどっかに吹っ飛ばしてくださーい」
「無茶言うなよ! どんだけ速いと思ってんだ!」
しかし中止にしようにもこの勢いは止まらない。
「クソ、やるしかないのか」
腕輪をつけた右腕を前に伸ばし、隕石との激突に備える。
「────────ッ!」
隕石の速度と、自分の速度が合わさってレンには隕石が銃弾のような速度で飛んでくるように見える。
そして激突の瞬間、レンの手に触れた隕石が大地の下に転移する。
「わーい、流石はレンくんはですね、ふふーん」




