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第十九歩 親友キャラ登場

「どうしたんですか? こんな所で行き倒れて」


 と、優しそうな声を倒れているライトにかけるが実際には、未確認生物にでも触るかのようにフォークでつんつんしてる。

 一応断っておくが決して倒れた人間風の料理だと思ってる訳では無い。さすがにそれはない。


「確か南の南の南に飛ばされたって手紙で来てたけど、南の南の南ってここなのか?」


 うん、それもない。南の南の南はただの南極のことだから、そんないくら軍が無茶振りを言い渡すクソ野郎でも異世界に飛ばすような上司はいないよ。


「いや、女神に干渉されてるってことはあいつの仕業か」

『とりあえず起こすのよ』


 と言ってダンタリオンがライトの肩を揺らすが全く起きない。


「おいおい、そんな方法で起きるわけねぇだろ」


 レンがそう言うのに同意するようにアオイが近づいてライトの顔にグーパンをプレゼントする。


『うわぁ、なのよ』

「まあ、そういうなって」


 泣く少女を何の躊躇いもなく殺せるダンタリオンでも可哀そうになる光景だが幼馴染の2人は全く気にしていない。

 だが右頬を赤くはらしていてもよく寝ているライトを見てダンタリオンが何かを悟る。


『日ごろから相当の地獄を体験しているみたいなのよ』

「やっぱり頑丈だなぁ。ライトは」


 筋肉馬鹿の扱い方が分かったのか、ダンタリオンがその小さい足を使って蹴り上げる。


「ん、んー。今日は随分とキレがないですね、シャルロット少将」


 と、寝ぼけながら答える軍人さん。

 その寝起きの一言を聞いてエースとまで呼ばれた天才様は戦場の恐ろしさを知る。


「軍ではそんな起こされ方なのか」

「というかシャルロットって女性ですよね。踏まれて喜ぶようになったんですか?」


 2人の中でライトの印象がものすごい速度で変態へと書き換えられていく。

 さらに


「あれ? シャルロット少将、髪染めました?」


 という言葉によってロリコンという付加価値まで付けられる。


「ん、というかここどこなんだ?」

「ただの異世界だよ」

「もっと細かく言うと、フレード王国の魔の森の中にある魔王城ですね」


 ライトが回りをぐるりと見まわしてみると説得力を増すためかこれ見よがしに浮遊しているダンタリオンと目が合う。


「なるほど、俺が戦場でドンパチしてる間、レンたちは柔らかいベッドでぐっすりかと思ったら想像以上にめんどくせぇことになってるみてぇだな」

「面倒くさいってよくわかるな」

「そりゃあ、まあ」


 浮遊している少女や耳の長いエルフなどを見つけて困ったように頭をかく。


「俺の頭が逝っちまったわけじゃねぇなら、このファンタジーなもんが現実だって理解するしかねぇだろ」

『頭の回転の速いやつなのかしら』

「ああ、そうだった」


 首をかしげながら浮遊する少女うを指さす。


「そこでドローン並みにホバリングしてるかわいこちゃんはだれなんだ?」

『ふふん、私の可愛らしさに築くとは良い目も持ってるみたいかしら。私は知識をつかさどる悪魔。ダンタリオンなのよ』


 自慢げに自分の名前を明かすダンタリオン。しかしその態度はレンの時と随分と違う。


「何でそんなにライトの時だけ優しいんだ?」

『なんのことかしら』

「俺の時は、その少ししか入らない脳みそで頑張って覚えるのよ、とかいってただろ?」


 確かにそれは差別のようなものだが


『私のことを幼女やババア扱いした怒りが収まってなかったからかしら』


 どうやら数百年は生きてる悪魔さんの中にも乙女心というものはあったらしい。


「まあその件はなかったことにして。ライトは何かここに来る前に不思議なことなかったか?」


 こめかみに手を当てて思い出す。


「ああ、そういえば何かへんてこなポーチを『神政主義』の女神みてぇなおねぇさんから受け取った気がする」

「今出せるか?」

「いや、基地の中に置いてあったはず」


 と言いつつもたくさんついてるポケットのうちの一つに異物を見つける。


「……何でここにあるんだ?」

「まあ、あれは神っていう超常の存在だからな。そんな呪いの人形的な捨てても戻ってくるポーチくらい作れそうだけど」


 言いながらポーチの様子を調べる。そのポーチはトランプを2セット入れたらいっぱいになりそうなほど小さく、レンが開けようとしても全く開かない。


「ああ、ダメだ。ライトしか開けられないようになってるのか?」

「ま、俺が開けてみればわかるだろうよ」


 ライトが試してみるとすんなりと開く。

 その中にはただの暗闇だけがあり、何が入っているのかどころか、底すら見えない。


「この大きさで底が見えねぇってどうなってるんだ?」

「とりあえずひっくり返してみたらどうですか?」


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