第?話 神魔対戦
──眼下にはミンチになった肉塊をさらに細かくしている女神の姿が見える。
女神は上空に浮いているその男の姿には気付いていない。
あまりに隙だらけな女神を見て男が苦笑する。
──まさかさっきまであれだけの技量を持って殺しに来ていたアレがここまで隙だらけだとは。
女神が肉塊に剣を向ける。すると女神の剣が光り輝き、視界が真っ白になる。
しかし男の視界は即座に復活し、砂煙を払っている女神に目を戻す。
女神の前、肉塊があった場所には大きな穴が空いていて光る玉を女神が落としている。
隙だらけの女神に向かって着地様に女神の左肩から腰のあたりまで剣を振り下ろす。
そして女神の驚き悔しがる顔を見てやろうと男は女神の方に振り向く。
だが女神はほとんど表情を変えていなかった。
いや、正確には先程よりも強い喜びの感情を笑顔で表していた。
そして男も同じ笑顔を浮かべていた。
──ああ、なんて楽しい戦いなんでしょうか
──やはり戦うのは楽しいな。これだけは日本にいた頃と何も変わってないな。
女神と男は似たようなことを思いながら敵を殺すための次の一手を放つ。
これは遠い、とても遠い未来の戦い。
始まりの道の先にある物。
これはそんなスタートラインの物語。