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平民の黒魔術師  作者: Rin
第一章 修行
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段階


「師匠!! 師匠ぉぉぉお!!」

「どうした!? 何事だ!?」

「できたんだ!! できたんだ師匠!!」

「な、何がだ?」

「ランタン、点いたんだ!!」

「なんだ、驚かせるな」


 僕はランタンを取り出し、師匠にこう言った。


「まあ見ててくださいよ」

「お、おう」


 ランタンに精一杯の魔力を込める。

 全力だ。


「うおぉぉぉおお……はっ!!!」

「何だ、その掛け声は……」


 次の瞬間、ランタンから黒煙が噴き出し、ぱすんと音を立てて壊れてしまった。


「あ、あれ……おかしいな……さっきは成功したのに……成功したのにッッ!!」

「おい、落ち着け。分かったから落ち着け。成功だ」

「ほ、本当か!?!?」

「ああ。壊れてしまったのは、魔力を込めすぎたせいだろう。器が耐え切れなくなったんだ」

「そうか、成功か」


 良かった。

 成功だ。成功したんだ。

 僕が喜びをかみしめていると、悪魔のような言葉が聞こえてきた。


「それはともかく、報酬と受領書を渡せ」


 そう、僕は依頼を受けていない。

 したがって、報酬も受領書も持っていない。

 考えろ……最善の選択を。

 考え抜いた末に決めた……だんまり。


「……」

「ん? どうした、早くしろ」


 凄まじい。師匠の威圧。

 僕は、ギルドでのことを話した。

 魔術師の少女に出会ったこと。

 魔力の流し方を教わったこと。

 その全てをありのままに師匠に話した。


「なんだ、だからそんな習得が早かったんだな」

「怒らないのか?」

「ん?何をだ」

「じゃあさっそく魔術を教えてくれ」

「その前に腹筋、腕立て各100回な」

「何だとぉぉぉお」

「当然だ。依頼を受けなかった分だけ体が鈍るからな」

「分かった」


 まあ、当然と言えば当然だよな。

 でも、魔力を流せるようになった対価が筋トレだ。

 そう考えれば安いものだ。

 僕は腹筋と腕立てを言われた通り100回こなし、師匠に再度言った。


「筋トレ終わったぞ。魔術を教えてくれ」

「うむ、良かろう」


 そう言って師匠が取り出したのは……ランタンだった。

 師匠が言うには、魔力の調節をしてみろというものだった。

 これはすぐにできるようになった。


「師匠、次は無いのか?」

「分かった。今持ってくるから待ってろ」


 そう言って師匠はどこかへ行ってしまった。

 

 

 しばらくして師匠が戻って来ると、師匠は柄だけの剣を僕に渡して来た。


「魔力だけで刃を作ってみろ」

「ちょっと一回やってみてくれ」

「嫌だ」

「く……分かった」


 こんなのどうしろというんだ。

 適当に魔力を込めてみる。

 しかし、何も起こらない。


 また課せられた無理難題。

 しかし必ず答えがあるはずだ。

 そう思いながら試行錯誤するも、いつの間にか寝落ちしてしまった。


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