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平民の黒魔術師  作者: Rin
第一章 修行
7/25

成功

 薬草採取に行く前に、魔術師を探す。

 しかし中々いない。

 探して探して、どれだけ時間が経っただろうか。

 実際には二十分程度だろうが、全く見つからなかったために体感時間が妙に長い。

 そして見つけた、一人の小さな少女。

 見た目は小さく見えるが、実際には一つ年下くらいだろう。

 髪は明るいライムグリーンのショート。

 瞳は澄んだシアンだ。

 別に幼女系の趣味があるわけではないが、可愛らしいと素直に感じた。


 まあ、そこはどうでもよくて彼女の手には短い魔法の杖が握られている。

 十中八九、魔術師だろう。

 僕は近づき声をかけた。


「すみません、魔術師ですよね」


 反応が無い。

 無視されたのだろうか。


「すみません……」

「私ですか……?」


 二度目で、答えてくれた。

 自分ではないと思っていたらしい。


「そうです。実は、少し相談がありまして」

「何ですか、相談って」


 冷たい声で問い返してくる。

 僕はランタンを取り出して言った。


「これを魔力だけで点灯させたくて、教えていただけませんか?」

「そんなことですか、いいですよ」

「本当ですか!? ありがとうございます!」

「……。じゃあ、そこのテーブルに行きましょう」

「はい!」


 ギルドには食堂があって、そこでランチを食べられる。僕達はそこへ移動した。


「で、ランタンってことはまだ魔力が出せないんですか」

「はい。というか、魔力を感じられないんですよね……」

「そうですか……困りましたね……」

「ええ、そうなんですよ」

「ちょっと、そのランタン貸してください」

「はい、いいですよ」


 僕は彼女にランタンを渡すと驚きに目を見開いた。

 なんと、ランタンに青白い炎が灯ったのだ。


「凄い……本当に光った」


 そんな僕に対して彼女は何とも無いように言った。


「これは、確かに本物ですね。では、まず魔力というものを感じましょう。

私の右手を握ってください」


 僕は彼女の右手を左手で握った。


「これで良いんですか?」

「はい、大丈夫です。では魔力を流します」


 次の瞬間、左手から何か、エネルギーが流れてくるのを感じた。


「なんだ……これ……熱い!!」

「大丈夫、慣れます」


 魔力が体中を巡っていくのがありありとわかる。

 今まで感じたことのない感覚だが、新しい筋肉を手に入れたようだ、と表現するのが適切だろうか。


「ありがとうございます。なんか……分かった気がします。ランタンを下さい。やってみます」


 彼女からランタンを受け取り、先ほどの感覚を思い出す。

 すると、ランタンに力が吸われていくのを感じた。

 ランタンを見ると、黒い炎が灯っているのがわかる。

 成功だ。

 これは……彼女がいなければ成功しなかった。


「本当にありがとうございます!! あなたのおかげです!! あ、名前を聞いてなかった。

名前はなんて言うんです?」

「サーシャ」

「サーシャさんですね。この御恩は一生忘れません!!」

  

 サーシャさんは、そう、と返事をすると速足でどこかに行ってしまった。

 ともかく、今日の午前は潰れてしまったが、いい収穫だ。


 早速、師匠に報告しよう。

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