表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平民の黒魔術師  作者: Rin
第一章 修行
5/25

依頼

五話目です

 僕は、手伝いをする畑の地図を見ながら歩いていく。

 だんだんと建物が少なくなっていき、草や木などの緑が目立つようになってきた。

 やがて、規則的に生えた木々が見え始め、奥にぽつんと一軒の家があるのが確認できた。

 地図と照らし合わせて確認する。

 ここで合っているようだな。

 駆け足で家の方に行くと、一人の男が木に生っている青く丸い果実を収穫していた。

 長袖長ズボンの作業着を着ていてとても暑そうだ。


「初めまして!ギルドの依頼を受けたものです。ソーマ=レイズロッドと言います」

「おう、俺はグラン。早速だが手伝ってもらうぞ。人手が足りないんでな」


 グランは作業の仕方を懇切丁寧に教えてくれて、初心者の僕でもなんとか作業ができそうに思えてきた。

 明るく、話しやすい人柄だった。午前中で帰ってしまうことも快く受け入れてくれた。


「じゃあ、そういうことで頼むわ。何かあったら言ってくれ」

「はい!」


 よし、目標は200個だ。果実を傷つけないように頑張るぞ!



 しかし、これがなかなかに難しく、傷がついてしまうものがどうしても出てきてしまった。

 く……まずい。これで4個目だ。

 怒られても仕方ないか。

 

「……198、199……200!よし、おわったぁーー!!」

「やっと終わったか、お疲れさん」

「いえ、傷がついてしまったのがたくさんありますし……」

「いや、そういうのはジャムとかに加工すれば問題ないよ」

「ありがとうございます」

「そうだ、ちょうど昼だし飯を食べていかないか」

「いいんですか!?」

「おう、いいよ」

「ありがとうございます」


 僕は家の中に案内され、家事をしていたグランの奥さんと娘さんに挨拶をした。


「初めまして。ソーマと言います」

「初めまして。グランの妻のエリカです」

「初めまして。娘のアリスです」


 エリカさんはブロンドヘアで、如何にも家事ができそうな雰囲気を醸し出している。

 アリスは、グランと同じ赤髪だが、顔立ちは奥さんと似てかなり整っている。まだ幼く、7、8歳くらいだろうか。

 グランは僕のことを説明した。


「この人は、ギルドの依頼を受けてくれた人だ。昼食をふるまいたいんだが、いいかな?」

「もちろんいいですよ。さあ、ソーマさんといったかしら、そこに座って待っていて頂戴ね」

「はい」


 しばらくしてアリスが僕に声をかけた。


「なんでソーマはギルド会員になったの?」

「うーむ、そうだなぁ。鍛えるためかな?」

「どうして?」

「ん?」

「どうして鍛えるの?」

「そりゃあ、強くなるためだよ」

「なんで?」


 め、面倒くさい。そういえばなんで鍛えるんだ?魔術を教わってればいいはずなのに……まあ、細かいことはいいか。


「僕もよくわからないや」

「そう……」

 

 その後、食事を頂いて、報酬のほかに傷ついた果実までもらった。

 感謝してもしきれない。

 

「本当に、ありがとうございました!」


 そんな言葉が自然と口をついて出た。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ