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1-7 アイ ワナ ゴー バック

 どうも、ローカルラジオDJにしてスーパーヒーロー『マスクドDJ雷音』だ。

今日は皆に、むか~し、昔、気も遠くなる10億年以上も昔のお話しをしよう。


 銀河の辺境にカイという穏やかな環境で楽園のような惑星があったそうな。

 そこに住まう人間達はとても優れた知能を持ち、文明は大いに栄えた。

 しかし、そんなカイ星人の発展も数千年で限界のときを迎えてしまう。

 土地、資源の枯渇、経済の仕組みの破綻が避けられない未来が迫ってきた。

 そこでカイ星人達の中に、新たな新天地を星の外へと求める者が現れた。

 底面10km四方の四角錐型をし、内部に広大な居住区を備えた

 移民船「ホープ」が幾つも建造され、

 広大な宇宙へ当ての無い旅に出発していった……夢と希望を乗せて。

 しかし、宇宙の意思がカイ星人の夢を打ち砕くかの如く、

 大いなる不幸が彼らを襲った。

 ホープ628号機内で、致死性の高い未知の伝染病が流行したのだ。

 僅か約8km四方の逃げ場の無い街では、その伝染病は瞬く間に広がり

 全ての生き物が死に絶えるのに、1週間も要さなかったらしい。

 その後カイ星がどうなったのか、

 たとえ1機でも、何処かの星へ辿り着いたホープがあるのか

 一切連絡が来ることは無かったそうな。


それが、カイ星とホープ628号機の悲しい歴史だ。


「……って、そこからずーっと10億年も、この街を掃除し続けていたって事?」

(そうだ、それがボクに任された使命だからな)


夢破れ倒れていったカイ星人達も気の毒だけど、

このお掃除ロボットも、何とも切ない身の上だ。

しかし、10億年って言ったらさ~、

恐竜が5回繁栄しては滅びてを繰り返しても、お釣りが来るよ?

そんな年月、ずーっとここで宇宙を旅し続けているなんて……

いやはや想像を絶する。


「たとえ永遠の命があったとしても、私には耐えられないだろうな。

ところで、10億年も前の物でも毎日手入れをすれば、綺麗に残るものなの?」

(そんなわけはない、今ここにある物は全て記録を元にボクが作ったものだ。

建物は何度も壊れた……いや、その内何度かは壊した)

「壊した?」

(そうだ、お前と同じで、ボクにもとても耐えられなかったというわけだ。

人々が倒れていく地獄を経て、あの夢と希望に溢れていた日々の姿を保つ街が

どうしようもなく憎らしく思えて仕方なくなるときがあったんだ)


「ユーミンの歌みたいだな……ところでここには、キミ1体しかいないのか?」

(今はもうボクしかいない、元は数多くのロボット達が

人間達がいなくなった後も、みんな仲良く働いていたんだ。

しかし何千年、何万年と長い時が経ち次第に壊れる物も現れた。

修理用のパーツが尽きると、重度の故障の物から軽度の故障の物へ、

大きな物から小さな物へと使えるパーツを譲り、

最後は一番小さなボクだけが残った)


「元の星に帰ろうとはしなかったのか?」

(帰るか……それは出来ないな。

そもそもホープ計画は、残り僅かな星の資源を大量に持ち逃げするようなものだ。

反対派との武力衝突も激しいものだった、謎の病も反対派の仕業との疑いが強い。

しかしな、どんな境遇でもボクらはカイ星に対して、

被害者面が出来た立場じゃないのさ、そもそも星を捨てて逃げたのだからな)


「そうか……ところで宇宙海賊達の行先だけど~」

(恐らくブリッジに向かったんだろう、この船をコントロールする気だろうしな)

「そうか! じゃあそこへ案内してくれないか?」

(いや次はお前達の事を話せ、何をしにここへやって来た?)

「あ~そうだな、私は他の星の人達はテラって呼んでる惑星からここへ来た……」


このホープ628号が今シーム星に向かっている事、

その激突を食い止める為に私はやって来た事

ここで出会った銀河パトロール隊員と時間いっぱいまでここの調査を始めた事、

その中で街への入り口を見付け中に入ったは良いものの、

宇宙海賊が現れて3人はバラバラに……ってところは一緒に居て見てたか。

まぁ、時間も無い事だしサっとこれまでの事を説明した。


(シーム星に激突だと? 知らなかった、そんな事になっていたとは……

10億年続いた旅の終着が、新天地の発見などではなく、

そこに住まう者達に壊滅敵被害を齎す墜落だとはな、これは最低の喜劇だ)

「いやまぁ、でもそうなる前に会えて良かった、そして話せて良かったじゃない」

(そうだな……ホープ計画最後の生き残りとして本当に申し訳なく思う。

ボクに出来る事があれば何でもしよう)


「じゃあ、ブリッジに案内してくれ、アルスさんが心配だ」

(宇宙海賊共に連れていかれたんだったな、良いだろう着いて来てくれ)

「有難う! ……え~っと、何と呼べば良い?」

(ボクに名前は無い、何でも良い)

「そうか、じゃ~そうだなぁ~……よし、バートだ! バートにしよう」


 何気にパワフルに走行出来るバートの上に乗せられ、ブリッジへと向かった。

広い街の中を走っていると、ついついこれが船というのを忘れてしまって、

街のコントロールセンターが艦橋な事に、違和感を感じてしまうんだけどね。


ブリッジは街の中央に建っているタワーの最上階にあるらしい。

天井まで続いているタワーの最上階はつまり、このピラミッド型した船の頂点だ。

しかし中には10人の宇宙海賊と、あのキャプテンワールドが待ち構えている。

付け入る隙は……やっぱ作戦はアレかな。

走るお掃除ロボットに揺られ、あれやこれや思案する……シュールだ。


 到着すると、私とバートは堂々正面玄関から中へ入り、

エレベーターに乗って最上階を目指した。

え? あまりにも無防備だって?

でも連中が、この街の全てを管理している施設にいる以上

コソコソ潜入する事に意味は無いってバートが言うもんだからさ。


 エレベーター内の壁に書かれている文字は読めないけど、

縦に並んだマス目が1つづつ光り、上へ上へと移動している。

これ1つ1つが、それぞれの階を表してるとすると……

なんと全300階層もあるタワーらしい。

おい、これってバートが自分の足で登りたくないから

エレベーターにしたんじゃないだろうな?

いや、例えそうだとしても私だって大賛成する……流石に300階もあるとね。


295……296……297……298……そろそろだ、何か緊張するなぁ~

そして、いよいよ300階に到着、開いた扉の先はお楽しみの動物園だ。

先ず最初は~ゴリラさんとサイさんが武器を構えてお出迎え。

ライオンさんも仲間に入れてもらおうか~……とか言ってる場合じゃなかった。


「!!」

「おおっと、撃たないでくれ、この通り私は武器は持っちゃいない」


両手を上げ武器を持っていない事をアピールした。


「殺しがご法度の、誇り高い義賊と見込んで、こうしてやって来た。

喧嘩しに来たんじゃない、キミ達が連れて行った連れに会わせてくれないか?」

「どこで聞いてやがったのか、丸腰の相手は殺さないと知って、

それを利用しようってか? あぁそうさ、俺達は丸腰の奴を殺しゃしねえよ。

……殺しはなぁ!」


あれ? 何か違う? 作戦失敗?

てか、これヤバイやつなのかなぁ? と、と、取りあえずちょっとブレイクっ

爆破のタイムリミットまであと1時か、ぐわっ!!

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