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2-6 ケーブル チェック

 深く考えずに動くというのは、だいたいの場合良く無い結果を招く。

守るべき何かを持っているとき、救うべき誰かが待っているとき、

いまいる場所の状況を理解出来ていないときなんかは、特にだ。

リスナーのみんなも、気を付けてくれ。

いやはや、スーパーヒーロー『マスクドDJ雷音』が聞いて呆れる。

敵の本拠地を目指す最中、その敵と大立ち回りをしてたんだけど、

調子に乗ってたんだろうなぁ~……その隙を突かれて、

呆気なく同行者を人質に取られちゃって、はいそれまで。

今は残念な囚われの身……いやはや、情けない。


でも完全に失敗してしまったわけじゃない、私は諦めないよ。

何しろ私達を捉えた船は、目指す敵さんの本拠地に向かってるんだ。

きっとチャンスはある筈だ。

そう意を固める、輸送機のタコ部屋の中に怒りの声が反響する。


「何も分からず、勝手に行動をおこすんじゃない」

「本当に申し訳ない」

「だいたい、テラ人ごとき野蛮人が奴らを出し抜けるなどと

思い上がりも良いものだ、女王は更に我らの想像を絶する存在だ。

絶対に妙な事を考えるなよ、いいか?」


こんこんと続く説教に返す言葉も無い。

私とメデアさんは薄暗い部屋に閉じ込められ、カナロアさんは

また別の隣の部屋に閉じ込められている。

1人を人質にとっておけば、私達は大人しくしているしかない。

いやそれよりも、これ以上何か勝手な事をしたら

メデアさんに何て言われる事か分かったものじゃない。

初対面でもバカにはハッキリと言うタイプの人みたいだからね。

そんな、銀河にその名を轟かす海賊団の女隊長と、

兵士何十人束になっても敵わない私と違って

大人しいカナロアさんなら監視も楽だって話しなのか、

人質はカナロアさんになってしまっている。


「何度も言うが、女王はあらゆる物を殺し、破壊する死神だ、

そのときの気分1つで私もお前も、成す術無く殺される。

細心の注意を怠れば、そこで全てが終わるのだぞ」

「はい、今後メデアさんの指示無しで動く事は致しません」

「ったく……今後の事など、もうありはしないと思え。

このまま女王の前に引き出され、それでもうお終いだ」

「いや、そんなまさか、え……私は何て迂闊な行動をを……」


なんて、クサイやりとりを続けながら私とメデアさんは、

スマホを操作しては渡し、渡されては操作しを繰り返している。

手書きのメモアプリを使って、図解で城に到着してからの動きを

打ち合わせているっていうわけ。

私達、女王、キャプテン、を私なりに特徴や要素を混ぜた

棒人間で描いてみたんだが、上手く伝わってるみたいで良かった。


監視役の兵士も、このやりとりを聞いてるのに嫌気がさしたのか

その辺りをうろついては、時々「まだやってるのか」という具合で

チラっと確認する程度なので、気付きもしない。

ちょっとここの兵士達って、たるんでるんじゃないの?

でも、それも仕方ないのかもね、絶対的な後ろ盾がいる事で

逆らう者に会う機会なんて、今まで無かったのかも。

まぁ、こっちには好都合だ。


 さっきも言ったように、完全に失敗してしまったわけじゃない。

寧ろ、あの森を徒歩で進むより、ずっと楽に移動が出来ている。

到着したら、改めてキャプテンワールド救出作戦開始だ。

兎にも角にも重要なのは、何度も言ってる通り女王に会わない事、

出くわしたら、そこでゲームオーバー。

死ぬも生きるも女王次第、一切の抵抗は出来なくなると……。

女王の前に突き出される前に、兵士達を振り払い

キャプテンワールドのいる部屋へと向かわなければいけない。


女王の城は、空港のゲートから続く通路を真っすぐ進むと、

やがて中央の広場に行きつく。

その広場は建物の地上階から天辺まで続く吹き抜けになっていて、

その周囲を螺旋状に廊下が渦を巻いているそうだ。

廊下は数メートル毎に各フロアへと繋がる通路と交差しているが、

キャプテンワールドがいる部屋は最上階にあるらしいので、

脇目も振らず上へ向かって進めば良いって話だ。

問題は隣の部屋にいるカナロアさんだって所だけど、

足元の通気口から延びてる赤い物体、これカナロアさんの指。

ちゃっかり隣の部屋から、この筆談にずっと加わっている、

この人は決して甘く見ちゃいけない。


 話しはだいたい決まった、チャンスはこの船が城に着いて

私達が降ろされるそのタイミング。

そしてその時は、すぐにやってきた。

船が方向を変える揺れを数回起こした後、停止したのが分かった。

部屋の外の通路を何人もの兵士がバタバタ行き来している。


「到着した、出ろ」


扉が開くなり、4人の兵士達に取り囲まれた。

手には銃剣を持ってはいるけど、それを突き付けはしてこない。

無抵抗を完全に演じながら殺風景なタコ部屋を出て、廊下を進み

タラップを降りると、そこはだだっ広い建物の中だった。

見渡す限り、色味の一切無い金属的な灰色ばかりの風景は、

まるでモノクロ映画の中に自分が入り込んだような感覚になる。

樹木のように立つ太い柱の天辺ではアーチ状の物が天井を支えてて、

ゴシック建築っぽい雰囲気もあるんだよね。

あちこちに兵士達が見えるが、鎧や銃剣で武装してないのもいる。


「おい! シーム星人がいないぞ!」


輸送機の中から兵士の声が響き、私達に注目していた

辺りの兵士達も一斉に輸送機の方へと集まっていく。

振り向く私に銃剣の切っ先が向けられる。


「お前達は動くな!」

「さっさと進め!」


どっちだよ!

まぁここは言われた通りに進むとしましょう。

後ろの騒ぎが気になるけど、ここはまだまだ我慢の時間、

これは作戦開始の合図に過ぎないんだ。

今カナロアさんが囚われていた部屋には、見張りが倒れていて、

そして部屋のどこにもカナロアさんの姿が無い筈だ。

マスクの下でニヤリとしていると、1人兵士が走って来た。


「おい待て、まだ誰もここから出すんじゃない!」

「何だと? そんな指示は出ていないぞ」

「そうだな、そんな指示はありません」


駆け寄って来た兵士はグニャと形が歪み、赤い肌の美女に変わる。

どんな物にも姿を変化させられるカナロアさんの得意技!

やっぱ、この人を甘く見ちゃいけない。

姿を変化させ兵士の目を欺き、まんまと脱出してきたんだ。

その足は触手化して、兵士達の足に絡みつき動きを封じている。

メデアさんが膝を付きしゃがみ込んだ所を、私は飛び上がり

そのまま回し蹴りで取り囲む兵士達をなぎ倒した。

よ~し、作戦通りだ。


「行くぞ! こっちだ!」


私達は城中央の広場に向かって灰色の通路を駆けだした。

気が付いた兵士達がその後ろを追いかけてくるのが分かる。

すると、突然カナロアさんが足を止めた。

作戦に無い動きに気を取られて、私も足を止めてしまった。

とたんに兵士達は続々銃剣を構え、狙いを定めている。


「何をしている!」


怒鳴るメデアさんを他所に、カナロアさんは何処からか

小さなボールのようなものを取り出したかと思うと、

そのボールから一瞬強い光が発せられた。

そこへ容赦なく引き金を引く兵士達……しかし光線が出ない。

ガチャガチャと何度も引き金を引いているが駄目なようだ。


「ザ~ンネン、貴様らの武器は全て解析させて頂きました。

お待たせ致しました、それではキャプテンの所へ向うぞ!」


呆気にとられちゃったけど、とにかく今は目的の為に走ろう。

何度も言うけど、この人は甘く見ちゃいけない。

といった所で、ちょっとブレイク。

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