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2-3 ハード ノック ライフ

 どうもリスナーの皆さん、遥か彼方の田舎星から遥々大宇宙にやってきた

奇跡のヒーロー『マスクドDJ雷音』ですよ。

宇宙海賊一味に連れられて、捕らわれた彼らのキャプテンを助ける為に、

惑星アモルフォに向かう途中、通された私達の部屋から盗聴器が出てきた。

ここの連中ってやっぱ、すんなり信用するのは危険なのかね?

しかし、奴らが私に何をさせたいのかも、ちょっと興味あるし

て言うか此処で揉め事になって、この船から降りるわけにもいかないしな。


「とりあえずは、最初の目的のまま奴らに協力して惑星アモルフォに行く」

「先程の戦闘から見まして、宇宙海賊はアモルフォと問題を起こしている」

「そして、そんな事態にキャプテンワールドは不在と」

「キャプテンをライオンに助けさせたいというのは、本当かもしれません」


すると突然部屋のドアが開き、イヌ顔の宇宙海賊が入って来た。

盗聴器の具合が悪いんで様子を見に来たってところかな?

仕掛けてあったソファ辺りに何度も視線を向けている。


「~でさ、その後シーム星に無事に落っこちたまでは良いんだけど、

全員星の外に避難中だったじゃない、こりゃ救助される希望無いなって

知らない星の広大な海を、寂しく漂流するはめになっちゃってさ~」

「ははは、美しい星だったでしょう、じっくり楽しめたんじゃないか」

「そんな余裕あるわけが……って、何か用? もうすぐ到着とか?」


「あ、いや、飲み物を持って来た。あれを破壊した後は、そんな事に?」

「そうなんだよ、そして! 誰もいないと思ってた星に、なんとっ!」

「お、俺は仕事があるんでこのへんで」

「そうか、ここからが面白い所だったんだけどな~」


宇宙海賊は、数度部屋を見回すと、トレイに乗ったドリンクを置いて

腑に落ちないといった雰囲気で出て行った。

流石に私らの前で盗聴器取り外して調べてみるわけにはいかないからね。

でも、哺乳類っぽい顔立ちのやつで良かったよ、鳥とか虫っぽい人だったら

全く表情から意図が分からなかったんじゃないかな?


「……行ったかな?」


廊下に出た宇宙海賊の気配を探ってみる。

念のため、宇宙海賊が出ていくときに押していたボタンを押してみると

プシューっと扉が開いた先には、まだイヌ顔の彼がいてビックリしている。


「ワッ、ど、どうしたのだ?」

「いや、ちょっとトイレに」

「そうか、隣の部屋がそうだ、慣れないうちに出歩いて迷わんようにな」


そう言いながら、やや速足で廊下を行ってしまった。

メチャクチャ分かりやすい奴だな、何で彼がこんな事を任されてんだろ。

まぁ愛すべき間抜けさに、何か許せちゃうっていうのはあるけどね。

少しの間、廊下を眺めてたんだけど、どうやらもう戻って来ないようだ。


 部屋に戻り、プシューっとドアを閉めて盗聴器付きソファに腰を下ろした。

彼が持って来たドリンクはカナロアさんがチェック済みで、

体に良く無いものでも、怪しい物が混入してたりもしていないらしい。

ジンジャーエールみたいに、ピリっと刺激はあるものの喉ごしは良くて

ひと暴れした後の体に心地良く染みわたっていく。

え? マスクしてるのに、どうやって飲んだのかって? 

雷音マスクは液体は飲めるようになってるのよ。

いつでも口や喉を潤せないと、喋るお仕事やるのはキツイからね。


「どういうわけか、宇宙海賊は私達をコントロール下に置きたいようですね」

「そうだなぁ、一体何を気にしてるんだか」

「今回の件に隠された謎なのか、そもそも秘密を抱えた集団だからなのか

いずれにせよ、私達が今あれこれ考えても仕方がない事でしょう」

「あいつらに関しては、良いとして、もう1つ知りたい事があるんだけど

死神? アモルフォの女王ってのは一体何者なの?」

「シーム星でも、伝説のように伝わっている話しではあるんですが……」


カナロアさんの話しによると、女王アルノルディっていうのは、

メデアさんの言っていた通り、全てに死と破壊をもたらす存在で、

この宇宙に生きる者は、そのお目こぼしや気まぐれによって生きてるに過ぎない

ちっぽけで儚いものなんだって話しになっているらしい。

存在する事は知っているし、恐ろしい存在だって事も知っているんだけど

あまりに遠い存在過ぎて、日々意識して生活している物でも無いらしいんだ。

そもそもシーム星人は、どうにもならない事をあれこれ考えない人達だしね。


限定的とは言え、物や人をテレポーテーションさせる技術があっても尚、

とてつも無い距離感、いや存在感かな? そういうのはあって、

それが星を行き来する高度な文明人達の一般的な感覚になってるんだね。

私達で言う所の神様、仏様って感じの存在って事で良いのかな。

地球でも振興するしないはそれぞれだけど、言葉自体はあるみたいな?

翻訳機では、死神って言葉をやたら使ってるしさ。


「しっかし、そんな厄介な奴の所に連れてかれるって、結構ヤバイよね」

「案外、宇宙海賊達は、それに怖気づいてライオンが逃げ出しはしないか

心配しているのかもしれないですね」

「だったら賢明だね、正直ビビってるし、やっぱ行くの嫌だし」

「逃げ出すのでしたら、いつでも協力するぞ」

「そうもいかないでしょう~、

それに少しは希望はあるんじゃないかなって思うんだ。

その女王様は、人を愛する心は持ってるわけなんでしょ」


そうだよね? たしかメデアさんはそう言ってたし。

そういう心があるんだったらさ、ある程度話しは出来ると思うんだけど

どうなんだろ、甘い考え……のかなぁ。

まぁ~今はちょっと休もう。

ブレイクブレイク。

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