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ダンジョンの開放

かなり葛藤しましたが、7部目より改稿を行いました。それに伴い4話ほど削除しております。

以前読んでくださった方々は申し訳ありません。

 5日後。コアルーム、謎の手の像の前。俺とメルディ二人は手をコア上で重ねあわせる。


「よし、いくぞっ」

「はい、せーのっ」


 同時に力を込め、フロアの生成の「決定」ボタンをクリックする。


 コアが纏っていた輪が俺達二人を透過し、部屋に広がって、壁が呼応するように蒼く輝き、床・天井が淡く発光していく。


 徐々に目を閉じていられないほどに眩くなり、それが収まった時には像の真南―俺達の真後ろ―に階段が出来上がっていた。


 俺はメルディと目を合わせ頷く。手をつないで階段を鼓動と同じテンポで上る。しばらくすると扉が見える。


 鍵を刺し、解錠した引き戸を開けば突き当たり、右に魔方陣と左に扉。今度は押し戸だ。それにメルディがゆっくりと腕に力を込める。


 キィ、と小さな摩擦音を上げて道を開けた先には、日に包まれた立派な木々が燦然と立ち並んでいた。


『完っ成ーー!!』


 二人で両手を掲げ、声を張った。

 いや、たった5日しか掛かって無いじゃんと思うなかれ、されど5日なのだ。むしろ設計自体は3日で終わった。


 残り2日が長い。とにかく長い。感覚的には楽しみにしているゲームソフトの発売日目前のようだった。


 初めてのダンジョンフロア第1層、林エリア。

 400×400、16haもある正方形の広大な敷地。というとなんだか畑みたいだな。薬草の群生地を何箇所か配置してあるので間違っちゃないか。


 北東の端にちょっとした丘を作り、ふもとから南西の頂点に掛けて、若干蛇行させた川を流している。山でもないのに水源があるのはダンジョンって感じがするな。


 そしてダンジョンに欠かせない宝箱は、様子見で一つだ。倉庫作ったら増設するかもしれない。


 この丘は登った後、下って北東の頂点ギリギリの所に人一人分の洞穴があり、そこを進むと開けた空間に宝箱がおいてある。中身は…とりあえずオクダT(白)でも入れとこう。倉庫がまだ無いので自分で入れる。


 川には橋が架かっているがフロア出入り口に遠い場所に設置してある。あえて通る頻度が少ない箇所をいくつか作って、レア物の植物をランダムポップさせるためだ。魔素が足りなくてまだ用意できていないが。


 全部で19500魔素も掛かった。割安ではあるんだけど、貯金がなくなる額なのでソワソワしてしまう。毎日食べていける収入があるにも関わらず、思い切って使うのに抵抗感を覚えるのはエリクサー病に近いのかもしれない。


 それなりにダンジョンっぽくなったが、懸念していることがあった。防衛機能が全く無いのだ。なんせ出口の途中にコアルームへ繋がる階段があるのだから。


 どうしようまた魔素が溜まるまで開放できないのかと思ったが、メルディが機転を利かせて解決してくれた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 トラップ:鍵付き扉


 鍵が無ければ開かない扉。物理的に破壊して突破は不可能。

 一度鍵を使った者かどうか判断し、二度目以降は自由に行き来できる。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 本来ならレア宝箱の部屋などに使うトラップだが、来る時に通った引き戸がこれだ。鍵を盗まれなければ進入されることはない。凄くズルしている気がするが、自衛のためだと割り切る。家庭でできる裏技だ。


 この扉があれば資源になるクリーチャー以外必要なさそうなものであるが、ちゃんと自衛のためには必要だ。どうもこの世界には強奪(ダンジョンバトル)があるみたいだからな。


 俺としてはするつもりはないし、「ダンジョン名」を決定しない限りは仕掛けてはこられないみたいだからその間に準備をしよう。始めの頃に名前を真っ先に付けなくてよかった。


 ならばずっと名無しのダンジョンでいれば良いじゃないか、とも思ったが命名時の特典が素晴らしかったのだ。


 ・1日あたりの獲得魔素が増加

 資金があって困ることはない。むしろ今資金難気味だ。


 ・ネームドクリーチャーが強化される

 これはまあ、あって損はないだろう。本命ではない。


 ・土地固有のレアクリーチャー、レア素材の出現

 天然資源産出住宅が目標の我が家には欠かせない。というより、俺個人が『レア』の響きに誘惑される。MMOをやっていたからだろうか。


 ・変異種の出現

 配合してダンジョンに放ったクリーチャーに限り、以前配合に使った種の特徴が表れる『変異種』が出現するようになる。こういう亜種系も好きだ。


 ・環境の融合

 今回の林と川みたいな小さなものではなく、活火山+断崖渓谷でマグマの川を作ったり、海の中に森林があるみたいな無茶もできるようになる。やりたい。


 ・マスターの強化

 マスター、サブマスター両名強化される。ダンジョン外であってもネームドを呼び寄せることが出来る。


 いずれは旅行に行きたいが、その先が治安が悪いかもしれない。魔物にも注意だ。危険に対抗する術は多いほうが良い。なんせ元営業マンだからな、戦いなんて無理だ。


 ・サブダンジョンの作製

 今俺達の居るダンジョンをメインとして複数のダンジョンを持てるようになる。つまりは別荘だ。


 この別荘にはコアルームから転移できる。遠くに作れば、いつでも日帰りor宿泊旅行を楽しめるのだ。転移結晶とビーコン? あんな不確定なものいちいち買ってられるか。


 ・便利機能追加

 侵入者アラートや映像監視、録画機能などが追加される。管理が非常に楽になる。


 本命はサブダンジョンだ。秘境に作って隠されたダンジョンとか、別荘として作って旅行したい。もし物資に困っている人たちが居れば、作って手助けになれるだろう。旅行のついでだけどな。


 命名についてはこんなもんかな。命名も急ぐわけでは無いので、今はメインダンジョンの整備に集中する。


 あとはそうだな…。あ、川に小魚を放流した。コケと一緒に創造したので大丈夫なはず。そのうちアユやヤマメくらいの魚も放流する予定。小魚10匹とコケ30gで700魔素だった。やはり命の創造は重い。


 よし、これくらいだな。このフロアを開放しよう。環境が出来てからクリーチャーが初めて生まれるまで一週間時間が必要だそうなので、リヴァイブルームはまだ大丈夫。3畳程度のタコ部屋なら8000魔素でできるから仮設に間に合う。必要に応じて拡張していこう。


 クリーチャーの創造も魔素に余裕ができたらやる。主に俺の趣味だからな。でもペットに何か創造するのはいいかもしれない。


 俺とメルディはコアルームに戻る。コアに触れ、『ダンジョン開放』にカーソルを合わせる。


「吉幾三!」

「はい!」

「ツッコミはないのか」

「ありません! くだらなすぎて!」

「まあいっか。ダンジョン!!」

「開放!!」


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