表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

6話 中間テスト

「お前ら~。遂に中間テストだぞぉ」

悪魔の声に、クラスのほとんどはビクりと体を動かす。





だが、俺は違う。

この土日は非常に頑張った。うん、まじで。

優理大先生に教えてもらったからな!



テストが楽しみだぜ。










「始め!」


先生の声により一斉にテスト用紙をひっくり返す





おいおい、いけるぜ中間テスト。

解けそうだ。


シャーペンを走らせる


中間テスト、攻略できるぜ!


そう調子に乗っていたが、後々難しい問題にぶちあたる。



(これ、やたら難しくね?)


横目でチラリと優理を見るも、顔色一つ変えずシャーペンが走り続けている。



(すげえ……流石だな)


この教科で赤点は多分取らない。けど、せっかく頑張ったんだ。この難しい問題も解きたい。


そう思い、ひたすら集中した。









「あ~、くそ~」

結局解けませんでしたとさ

「優雅君、どうだった? 解けた?」

「だいたいは解けたよ。でも最後あたりの問題難しすぎじゃね?」

「そうだね。私も書いたけど合ってる自信は無いかな」

「流石星野先生。性格悪いぜ」


俺達が今受けたテストは数学だ。

我らが担任、星野先生が今回はテストの問題を考えたのだが、あの人は100点を取らせたがらないらしい。


「あと3つもあるよ……」

「明日のも合わせると7つだね」

「早くテスト終わんねえかなぁ」

「ふふ、終わったら私と遊べるもんね」

悪戯っ子の様な笑みを浮かべ、言う。

俺の反応を楽しもうとしているようだが、俺もそんな甘くはない。


「ああ。早く優理とデートでも行きたいよ」

「えぇ!?」

意表を突かれたのか、驚いている。どうやら俺の勝ちだな。

まぁ正直言うとデートしたいです。


「じゃあさ、テスト終わったら行こ?」

半分冗談、半分本気で言った俺の言葉を本気で捉えてくれたみたいだ。


「ああ、喜んで」


俺は明日のテストもきっと頑張れる、そんな気がして堪らなかった。










一日目のテストが終わった。

コンクリートの道を、二人並んで歩く。


「今日のテストできた?」

「まあ、赤点は取らなさそうだ」

「良かった。赤点取られるとデート行けないからね!」


デートを強調して言う彼女、可愛いです。

……赤点は取らないと思う。けど、点はあんまり高くないかな。特に国語は苦手だからなあ。


「明日も頑張るよ」

「うん! 優雅君が頑張ってる姿を想像してると私も頑張れるよ」


それは凄いな。ぜひ想像してくれ。


「それじゃ、また明日」

「ああ、また明日」


俺達は帰り道の角で別れる。










「ただいま~」


「おっかえりーー!」

「うおっ!?」


俺が家の中入って靴脱いだ瞬間、俺に抱きついてくる人が一人。


そう、我が妹 桐生優花(きりゅうゆうか)だ。

少しブラコンなところがある

優雅と優花だから、名前呼ばれたらどっちを呼んだか分からない時がある。

「ああ、ただいま。てか今日は早いな、学校だったろ?」

「テストだったから早く帰って来たの!」


こいつも中間テストだったのか



「それより兄ちゃん、母さんから聞いたよ! 彼女できたんだって!?」

「ああ」

「しかも金持ちだとか」

「え?」

何で知っている?と聞くと

「母さんホープの社長と友達らしいよ?」

「何ぃ!?」


驚いた。驚きすぎて明日のテスト範囲の勉強内容が吹っ飛んでないか心配だ。今から更に勉強するけどさ。

じゃあ優理のこと結構知ってるのかもな。



「まあとにかく、俺は明日もテストだし勉強するよ。」

「私も勉強しよっと」










「うん、明日もいけそうだ」


現在テスト範囲を復習している俺氏。

大丈夫だ、問題無い。


「赤点は避けられそうだ」


それにしても、母さんがまさか元師さんと友達とか驚いた。凄いな。










「はあぁ、だる」




テスト二日目にして、最終日の朝を迎える。


「4つ受けたらいいんだ。やってやるぜ」


俺は眠気が吹っ飛ぶ程の闘志を燃やし、学校へ行く。






「おっすリア充」

「おっす非リア」

「ぐ……」


ざまあみろ健

俺もいつまでもかわかわれるだけじゃねえんだぜ?

からかい上手の桐生さんってか?


「優雅、テストいけんのかよ?」

お、元に戻った。


「まあ赤点は無いな」

「俺もだ。小テストはチョロイから学年順位は真ん中くらいいけるんだが、テストはなぁ……」


そう。俺も非リ……健は、教科が少ないと順位は良いんだが、今回のように8科目もあるとお手上げだ。




「ま、お互い頑張ろうぜ」

「ああ」










「おはよう、優雅君」

「おはよ優理」

「今日はテスト大丈夫かな?」

「まあまあかな。赤点は絶対取らないから」

「うん。頑張ろう」

「おう」










こうして、俺は二日目も頑張った。






「はあ終わった~」

「お疲れ様だね」

「ああ、お疲れ」

「その顔だと、心配なさそうだね」

「ああ。これでイチャコラできるな」

「あはは、そうだね! またデートしたいな~。ゲームセンターとか」

「いつでも付き合うよ。太鼓は次は負けねえぜ?」

「まーだ根に持ってるの?」

「経験者たる俺が、初心者に負けたのは辛いんだよ」

「ふふ。じゃあ、また行こうね?」

そう言い、笑いかけてくれる。



なんか今は、素の彼女の笑顔が見れている様な気がする。

笑っているところは見るけれど、他の皆に見せる笑顔より、俺に見せてくれる笑顔の方が輝いて見える。俺の思い違いかもしれないが。







「ああ。次は必ず勝つ」

俺は、テストという立ちはだかる壁を一つ乗り越えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ