序章
--西暦2017年 12月23日 日本--
「ゆり、今日いくら使ったんだ?」
俺は心配になって聞いてみた
「もう50万は使ったかなー。1回当たれば帰ってくるからさ!そういうDAPはいくら使ったの?」
今日はカジノに遊びに来たんだが、俺は今日だけで30億使っている。
取り返すにも、もうどうしようもない事態になった。
「まだ100円しか使ってないよ。とりあえず今日は楽しもうぜ!」
「あまり使いすぎないようにね?」
そう言うとゆりは競馬ゾーンに向かって行ってしまった。
「はぁーーー。ギャンブルデートなんてしなきゃよかったよぉ」
俺は明日からどう生活すればいいか考えていた。
なぜならもう1円も残っていないからだ。
一文無しになった俺はテレビルームに向かいテレビを見ていた。
天皇が一般男性と結婚したらしく、最近のニュースはそれが連日報道されていた。
「けっっ!付き合いたての高校生みたいにはしゃぎやがって!見てるこっちまでにやけちまったよ!恥かかせやがって!」
とりあえず今どうするか考えるか……
考えるというよりもここに来る前に"噂"になっていたある話を思い出した。
話によるとどうやら無人島でいっさい笑わなかったら100億あげますという話なのだ。
まぁあくまで噂なので気にも止めなかったが、今の俺にとって藁にもすがる思いなのだ。
とはいっても募集の仕方もわからないしあくまで噂なのだ。
(帰ってネット検索して調べてみるか…?)
これだけ負けると気だるさがハンパない。
ゆりの元に向かおう、もう帰りたい。帰って風呂入って寝たい。
そう思い競馬ゾーンに向かった。すると奥からボーイが現れた。「DAP様ですか?ただいまゆり様はハワイに向かわれたそうです。ですので先に帰っててほしいとの伝言が。」
あいつ!デートのときはハワイにバックレる癖があるんだった……
しかもこんなときに!
ゆりはハワイに行く癖があるのだ。
(ヒッチハイクかよ。恥かかせやがって……)
俺はヒッチハイクをすることにした。
すると、意外にもすぐに車が止まった。
「あの〜〜…これヒッチハイクなんですよ」
「いいですよ。乗ってください!」
親切な人もいるものだ、車だと家まで30分くらいなので、まあ迷惑にはならないだろう。
「こんなとこでヒッチハイクなんてもしかしてケツの毛までむしられたとか笑?」
「はぁ。恥ずかしながらもう一銭も残ってないんですよ。」
乗せてくれた恩人とは言え初対面の人によく笑いながらこんなこと聞けるな。察してくれよ。恥かかせやがってよ!
「そういやお前さん名前はないんかい」
いきなりタメ口で名前を聞かれたので動揺した。
「あぁ、俺はDAP。お前さんも人に聞いといて自分は名乗らないんかい」
同じように返した。
「俺はジーヤ。訳あって車を盗んでいるんだ笑。訳ってのは金がなくてね?かぶき御免!ガハハハ!」
こいつ盗難車でヒッチハイクしたやつを乗せるとか頭がおかしいのか?
お互いの変な自己紹介が終わった後はしばらく沈黙が続いていた。俺はなんとか頭の中で話題を探していた。
ふと、例の噂話を思い出した。
「ジーヤさ、無人島の話知ってるか?笑わなければ100億貰えるって話の。。。まぁあくまで噂なんだがね?」
「………………あぁ。聞いたことあるぜ。俺の友人がその企画の関係者でさ、俺参加するんだよね笑。あっ言っちゃった。」
俺は耳を疑った。
「それマジか。俺も参加したいんだけ」
ジーヤが食い気味に言った
「いや〜〜もう参加者は募集してなくて口外するなって言われてるんだったよ笑。まあでもなんかの縁だしさ俺がそいつに言っとくよ。もう一人増えるぜって」
「来るんだったら、当日は羽田空港にタンクトップで来てくれ、それが参加者の制服みたいなもんらしいよ。」
なんだそりゃと思いつつ、こいついいやつだなと思った。
まさかこんなにもあっさり決まるなんて思ってもみなかったし、もっと言えばただの噂だと思ってたし。
いや待てよ?でも嘘ってこともありうる。
参加してみたもののやっぱり無しですー、とか実はこんな企画嘘でしたーとかあり得るかもしれない。
俺は半信半疑で当日の集合場所に若干の期待を持ったのだった。
「乗せてくれてありがとうな。あの話もこんなにもあっさり決まるなんて思ってもみなかったしさ、当日はよろしくな!」
実はまだ疑ってるんだけどね。
「いいっていいって、どうせ参加しても1位にはなれないだろうし、その日は楽しもうぜ。それで100億手に入ったらラッキーだった程度にとらえてさ」
「じゃあ会えたら!また明日ね〜〜」
彼の、いや盗んだ車が見えなくなるころに思った。
明日じゃん!何を用意すればいいの!?
金のことで頭がいっぱいで予定とかも何も考えずに訳のわかんない話に乗ってしまった。
行くのやめようかなぁ。
騙されたじゃあ馬鹿馬鹿しいしなぁ。
でも100億だしなぁ。
そんな自問自答をベッドの上でしているうちに眠気が襲ってきた。
--参加者はまだ知らない、この企画がいかに過酷なのかを--




