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葛城喜一のひとりごと② 日

 うちが一風変わった家族だということは、小学生なりにうすうす感じていた。


 お父さんは、何かと会議を開きたがる家族にうんざりしているようだった。


 確かにうちの家族は面倒臭い。

 僕が中学生くらいになって、反抗期になれば、こんなんやってられっか、という台詞を吐いて母親は狼狽えるだろう。


 そして、ババアと言ったり、クソババアと言ったりするうちに、行動が伴ってくるだろう。


 それを見てお父さんが一家の大黒柱として僕から俺になった僕に対峙するのだろうか。


 小学生の僕が不安視するほど威厳の影も見えない父に、あんな形相で追いかけられるとは思わなかった。


 少し引きこもって、デンジャラスな体験をするうちに、お父さんは変わってしまったのだろうか。


 うまくまいて、待ち伏せをしていたエリサに薬を渡しながら、考えていた。


 もしかしたら、緑色にこそなっていなかったものの、お父さんもエリサと同じ薬に手を出したんじゃ。

 だとすれば、お父さんにも残してあげないと。


 瓶の中の薬の量を確かめるので必死な僕は、エリサが美しさを取り戻していくのを見過ごしてしまった。


 悲鳴でも上げればチェックできたかもしれないが、静かに元の姿に戻っていた。


 元の姿に戻ったエリサは、自分の手足を見て、震えていた。


「よかった」


 その声を聞いて、エリサを目の当たりにした。


「エリサって、美人だったんだ」


「私にしとく?」


 エリサは顔をくしゃっとして笑った。

 大人になっても、エリサへのドキマギは装飾されながら僕の中で行き続けるだろう。


「会いたい人に会いにいきなよ」


 男らしく、背中を押した。


「ありがとう」


 エリサは駆け出した。途中で何度も振り向く姿に胸が締め付けられる。白雪姫が好きだったんだけどな。

 小学生にして、大人の女に目覚めてしまったらしい。 


 帰ったら、家族会議だな。


 家に帰ろう。

 どんなにくだらなくても、あれが僕の家族なんだ。


 僕は胸を張って家のドアを開けた。

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