赤鉛筆のひとりごと 木
昨日はいっぱいきみの泣き声を聞いたよ。
きみが泣きやんで、部屋がしずかになると、今度はきみのおパンツが泣いていたね。きみには聞こえなかったかもしれないけど。
次のおパンツに交代したいって、ぼくはいつになったら洗ってくれるんだろうって、先の見えない未来に、きみのおパンツは泣いてばかり。
あんまり大声で泣くもんだから、ぼくの声が通らなくて困ってるんだ。
きみは、自分がしたことをとっても後悔しているんだね。
部屋を出たくない気持ちもわかるけど、そんなときこそ、部屋を出て、体を動かして、人とお話してほしい。心の中にあるお水を入れ替えなくっちゃ、濁ったままなんだよ。
ぼくは命を削って、きみにとって必要なことを伝えているんだけど、早く気が付いてほしいな。
パートから帰ってきたお母さんが、卵を見つけた場所について、聞いてきたら、君は、友達の顔が浮かんだね? だから、最初答えなかったんだ。
でも、お母さんのただならぬ雰囲気と物凄い剣幕で、つい話してしまった。
だから、そんな顔しないでよ。
きみがそんな顔をするのを見たくないから、ぼくは命を削ってきみに色々と教えてるんだ。
どうか、僕のことばに目を向けて! ぼくの命は、もう長くないから。