表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

窓辺の王子様シリーズ

窓辺の王子様 デレデレ王子様

作者: 鏡野ゆう

『引用rtされたキャラ設定のカプで適当に話を1〜2ツイート分ひねり出す』で篠宮楓さんよりリクエストをいただいた『窓辺の王子様』のツイートに加筆修正をしたお話です。


大怪我をした山崎君が目を覚ました後のエピソードです。

「もうすぐだよな~~」


 最近の山崎君は毎日のようにそう言いながら私のお腹を撫でてデレデレだ。


「もうすぐって言ってもまだ二ヶ月先なんだよ?」

「分かってる。だけど出産には立ち会えないと諦めていたから嬉しくてさ」


 そう言うと後ろから私のことをお腹ごと抱き締める。


「私のお腹のことより自分のお腹の方を心配をしなくちゃ」


 ここは病院の個室で、今の私は本当ならベッドに寝ていなきゃいけない筈の山崎君の足の間におさまってテレビを見ている状態。


 山崎君がお腹に大怪我をして帰国したのは半月ほど前のことだ。あの時は二度と目を覚まさないんじゃないかって凄く不安で怖かった。だけど目が覚めた今は私のことばかり気にかけて自分の養生を二の次にしちゃっているからそっちの方で心配。主治医の栗林君にも散々叱られているのに全く意に介していないのはどうしたら良いんだろう。


「俺のことより若菜と子供のことだろ?」

「そんなことないですー」


 この半月の入院生活で随分と痩せちゃったから凄く心配しているのに山崎君てばどこ吹く風なんだから。彼の腕の中で体をよじると振り返ってこけてしまった頬に手を当てる。


「こんなにやつれちゃって。パパがゲッソリしていたら赤ちゃんも心配するんだからね?」

「大丈夫。動けるようになって鍛えるのを再開したら直ぐに元に戻るから」


 こんなに心配しているのに山崎君は頬に当てた私の手を取って指を甘噛みする。ね? 全然怪我人らしくないでしょ? これでも全治半年と診断された怪我人なんだよ? まあ栗林君が多少大袈裟に診断したのかもしれないけれど。


「鍛えるのを再開するのだって怪我が治ってからじゃない。だからやっぱりきちんと養生しなきゃ」

「心配するなって。こうやって目が覚めたんだからもう大丈夫だよ」


 今でも朝になって隣で眠っている山崎君が目を覚まさないんじゃないかって心配になることがある。だから最近の私はちょっと寝不足だ。そのことを山崎君は気が付いているみたいで、普段以上に私のことを甘やかそうとしている。


「でも退院が許可されないってことはそれなりの重傷なんだから大事にしなきゃ」


 主治医の栗林君の監視がなければ直ぐにでもトレーニングを始めそうだから困るよ。まだ傷口が完全にふさがっていないから激しい運動は駄目だって言われているのに。


「今はこうやって若菜のことを抱けるだけで元気になるんだから大人しく抱かれてなさい」


 まさか偉い人達も怪我を口実に負傷した隊員が妻とイチャイチャしているなんて思いもしないんじゃないかなあ……。


「本当に困ったパパだよねえ」

「これでも我慢してる方なんだぞ? 本当ならこんなふうに抱くだけで満足できるわけないんだから」


 そう言った山崎君の手がお腹とは別のふくらみに触れてきた。


「もう、山崎君てば怪我人だとはとても思えないよ、ひゃあっ!!」


 いきなり耳に唇が触れてきて飛び上がるとクスクスと笑い声が耳をくすぐる。


「相変わらず耳は弱いんだな、若菜」

「だから耳元で喋るのやめてえ……」

「早く若菜のことが抱きたいなあ」

「だからあ……」


 本当に困ったパパだよね……そんな私の心の中の呟きが聞こえたのか、おちびちゃんが同意するようにお腹の中でポコンと動いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ