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超高速攻撃型戦車『風見レオパルド』

「僕が集めてきた情報を纏めると、『風見レオパルド』は、エリクサー高速走行を実現するために極限まで装甲を削ってるらしいよ」


 と、東藤さんに説明するのはこの僕、ふぇありー事月島妖精。『基地』内のブリーフィングルームで作戦会議の真っ最中だ。


 東藤さんは熱心に僕の説明を聞きながら、タブレットにメモをとっている。ああいう所が勉強が出来る所以なんだろうなと思いつつ、僕は話を進める。


「続いて一撃離脱が信条だから、副武装がない」

「ふくぶそう……?」

「要するに戦車の主砲じゃない武装の事だね。本来ならマシンガンや、副砲があったりするよ」


 現実の戦場ならば、例えばゲリラ兵が潜んでいたり、対戦車地雷が埋まっていて戦車の履帯が外れたりと歩兵に肉薄される可能性はいくらでもあるから、兵士の心情的な意味でも副武装は大切なものだ。だけどBWではそのどちらも心配はない。

 むしろ最速で砲撃に適した場所を確保して、危険か迫ったらあっという間に離脱する方が攻撃方法として適切である。


「最後に遠距離を狙撃する気はないから、主砲の仰角もかなり低めに設定しているみたい」

「仰角……というと主砲のとりうる角度の事ですか?」

「うん。そうだよ。言い方を変えるなら上を狙えない代わりにかなり下まで狙えるってことかな」


 従来の戦車なら自らの足下を撃ったところでなんのメリットもない。しかしこの『風見レオパルド』は有利な位置から攻撃することに主眼を置いた立ち回りをする。戦車にとって有利な場所とは一概には言えないが基本的に『高所』であり、例えば丘の上からほぼ真下とまではいかなくても、下を狙えるとなるとさらに作戦の幅が広がる、らしい。


 そうして僕は弓佳ちゃんと集めてきた『風見レオパルド』の情報を東藤さんに伝えきると、彼女は小さくため息をついた。

 

「……なるほど。主砲の仰角が小さいのは嬉しい誤算ですね。私の作戦にとっては好都合です」


 東藤さんは相変わらず難しそうな表情を崩すことなく僕たちの報告を聞いている。


 守ることなんて考えない。汎用性を捨て、攻めることに特化した超攻撃型戦車『風見レオパルド』。その思索に試作を重ねた姿は、僕にとって兵器開発の先駆者のようにも思えた。

 

「ど、どう? 倒せそう? 他にあたしが何か出きることある?」


 これは弓佳ちゃんだ。それに対して東藤さんは迷ったように一瞬目を泳がせたあと、首を横に降った。 

 その否定は一体弓佳ちゃんのどちらの問いに対して答えたものなんだろうか。

 そして彼女は意を決したように前を向き、小さく息を吸った。


「これより作戦を伝えます。作戦名は『特攻』。『桜改』を射出して、『風見レオパルド』の主砲射角外を滑空。その後、敵戦車に体当たりをぶちかまします」

「……は?」


 凍る空気。東藤さんから伝えられた作戦を聞いた僕と弓佳ちゃんの表情が凍り付くのを感じるよ。


「……そんな顔しないでください。現状、こちらから『風見レオパルド』へ肉薄する手段は『桜改』を飛ばすしか手ありません」

「いや、それはそうだけど……」

「なおかつ、『桜改』の有効な攻撃方法は『踏み潰す』、『自爆する』くらいの二通りしか存在しません。従って、この作戦が最も勝率の高い方法と考えられます。というかこれ以外に方法がありません」


 こんな無茶な作戦を伝えるのは東藤さんだって嫌だろうなぁ。彼女の顔も心なしか苦痛に歪んでいるような気がするし。


「まぁ、それもそうかも知れないけど……」

「しかし、私は所詮参謀です。最終的な判断はキャプテンユミーカ。貴女に委ねます」

「こ、こんなときだけキャプテンって呼ぶなんてずるいよ!? ま、まぁでもキャプテンだし? いいんだけどね!?」

「どっちですか」


 『キャプテンユミーカ』と呼ばれて嬉しそうな弓佳ちゃん。しかし、それとは裏腹に重大な責任も感じているみたいだ。

 そんな我らのキャプテンはニヤリと不敵に笑った後、小さく息を吸った。


「わかった! まずは作戦名がダサいから以降は『オペレーションユミーカ』と呼称すること」

「はい」

「それと、これは提案なんだけど……」


 そして、弓佳ちゃんの口から驚きの提案がなされたのでした。



ーーーーーーーー



 二日後。対決の日。僕はBW内の『基地』で、『桜改』に搭乗し、静かに出番を待っていた。


 例えるなら鋼鉄の牢屋のようで、電気が通っていないコックピットは僕に途方もない圧迫感を与えてくる。しん、とした空気の中、僕を押さえつけるベルトから伝わってくる冷たさが僕の心も押さえつけるような気がした。

 僕はメインスイッチに手を伸ばし、『桜改』に火を入れる。すると、ゆっくりと種々の計器やスイッチに明かりが灯り、機械的な音と共に目の前の三面モニターが周囲の情景を映し出す。

 機体の温度がどんどん上がり、今にも動き出しそうな躍動感が座席から伝わってくる。

 エリクサースラスターからは独特な空気を振動させる音が聞こえ、ゆっくりと、だが確実に『桜改』に命が吹き込まれていくのを感じた。

 


『えーテステス。こちらオペレーターの東藤です。ふぇありーさん。弓佳さん。準備はよろしいですか?』

『弓佳さんじゃない! キャ、キャプテンって呼ぶの!』

「ふぇありーじゃない! 月島って呼んで!」

『準備はよろしいですね。ただいま『風見レオパルド』は我が『基地』前方5000m付近を進行中。当初の予想とは異なり、随伴歩兵の姿は見られません。不穏な動きではあるものの、作戦の続行は可能と判断。当方の作戦可能領域まで推定あと2分』


 スピーカー越しに伝わる東藤さんのくぐもった声と、弓佳ちゃんの緊張した声。

 モニター越しにカタパルトデッキを見渡すと、僕の真横には別の『桜改』が堂々と直立しているのが目に入ってきた。あれこそがこの作戦の要、『桜改 ver.弓佳ちゃん』だ。

 本人の強い希望と、『風見レオパルド』撃破のための、我が『悠久機プロジェクト』の最終兵器(笑)。

 弓佳ちゃんがどうしても『あたしが乗る!』と、聞かなかったので急遽製造した機体で、僕が学校をお休みして、死ぬ気で二日間で作った手抜き機体。まぁ二日といっても、材料や設計図や組立図は既に完成しているからそれほど大変な作業って訳じゃないんだけど。

 それでも手動操作を実装するには時間が少なすぎたので、自動制御システムがほとんどの機体だ。


 まぁどうせ弓佳ちゃんに手動操作は難しすぎるから逆に排除オミットして良かったのかもしれないけど。


 彼女の機体は漆黒のボディをベースに、間接部は金色に塗装されていて、間接が深紅の『桜改』とは一目で違いがわかるようになっている。

 もちろん金色だろうが深紅だろうが物理的にも工学的にも意味なんてない。強いて言うなら趣味だ。


 そうして僕が自ら完成させた機体を惚れ惚れと見ていると、コックピット上部のスピーカーにノイズが走るのが聞こえてきた。


『敵が射程圏内に到達しました。作戦名『オペレーションユミーカ』。始動します。弓佳さん、発進準備は宜しいですか?』

『う、うん!』

『それでは『桜改 ver.弓佳ちゃん』。発進してください』

『ま、まって!』

『なんですか弓佳さん。今更怖じ気づいたなんて言わないでくださいね』

『ちがうよっ! えっと、私、頑張るから! ふぇありーが獲られてら私たちはやっていけなくなるし、何より寂しいから。私、やるよ! 見ててね東藤ちゃん! ふぇありー!』


 と、弓佳ちゃんは意を決したようにはっきりと告げる。

 やっぱり、あの子はあの子なりに責任を感じているんだろうな。自分で『桜改』に乗るって言い出したのも根源は責任感だろう。


 でも、その言葉を聞いて僕は嬉しい気持ちが込み上げてきた。こんな幸せな気持ちはなんだか僕にとって懐かしくて優しくて。今まで孤独にBWで戦ってきた時のことがまるで走馬灯のように蘇っては消えていく。

 

 ……『僕がいないと寂しいから』か。今までそんなことを言われたことないよ。


 僕はそんな弓佳ちゃんの気持ちに照れくさくなるのを必死に堪えながら、僕はニヤリと不敵に微笑んだ。そして小さく息を吸い、呟くように言った。


「……一度しか言わないよ。ありがとう」

『ふぇありーさん、お礼は全てが終わってからにしましょう! 弓佳さん、言ったからには結果を出してくださいね!』

『うんっ!』


 弓佳ちゃんの操る『桜改 ver弓佳ちゃん』が、姿勢を落とし、発射体勢に入る。カタパルトは青く口を開ける空へと向かっていて、僕の気分はさながら雛鳥の巣立ちを見守る親のような気分だ。

 


 あー。空中分解しませんようにー!


『と、永久とわの永遠から舞い出でる『悠久機』よ。その剣を我が矛として、その装甲を我が盾として、漆黒の翼を身にまとい……』

『前置きはいいから早く行ってください!!!』

『は、はいっ! キャプテンユミーカ! 『桜改』 い、い、い、行きます!』


 その言葉を皮切りに『桜改 ver.弓佳ちゃん』は、真紅に輝く推進材プロペラントを吹き出しながら大空に向かって発進していった。

 弓佳ちゃんの機体から発生する大きな音と振動が僕の乗る『桜改』にも伝わってくる。


『きゃー! はやっ! 早いよふぇありー! 押し潰されるー!』

「弓佳ちゃん落ち着いて! シュミレーション通りにやればいいから! 操縦幹からは絶対に手を離さないで! 自動システムは絶対に切らないで!」


 叫ぶ弓佳ちゃんに合わせて僕も大きな声で叫ぶ。大丈夫かなぁ。弓佳ちゃんをBWに送り込むのは不安でしかないんだけど……。


『続いて『桜改』、射出します。ふぇありーさん、発進準備は宜しいですか?』

「うん。いつでもいけるよ」

『それでは引き続き、『桜改』、発進体勢に移行してください。『桜改』機体管制システムオールグリーン』


 その言葉と同時に機体が乗っている格納デッキがゆっくりと横移動を開始し、弓佳ちゃんがいたカタパルトデッキの上に到達する。そしてカタパルトアームが次々と機体を掴み、『桜改』を固定した。


「カタパルト接触完了。充電完了まであと3秒」

「了解。スラスターシステム稼働率100%エンゲージ。射線上に敵影なし。作戦名『オペレーションユミーカ』、開始します!」

『了解。カタパルト開放、御武運を!』


 僕は機体を前傾させ、そして足元のペダルを大きく踏み込む。すると、爆音と共に押さえつけるような大きな慣性力が僕を襲ってきた。


 カタパルトとスラスターが機体を加速させる。


 一気に空が近づき、僕の心臓も早鐘のように脈打つのを感じる。

 二回目とはいえ、やっぱり胸の高鳴りは押さえられないらしい。僕は大きく息を吸い、少し顔を綻ばせて叫んだ。


「飛っべぇぇぇ!」


 そして『桜改』は開口部から射出。それと同時にモニター越しに広がる大きな砂漠が目に飛び込んでくる。

 ここは流砂ステージだ。遮蔽物が殆んどなく、時折吹き荒れる砂嵐が視界を覆ってくる。


 手元の操縦幹をゆっくりと動かして、機体を平行から15度ほど角度をつけた体勢で固定する。

 ここで焦ると前回のように機体が粉砕してしまう。気を付けて急激な挙動はしないようにゆっくりと操作しないと。


 前回もそうだったけど、機体はほとんど地面と平行の姿勢を保っているため僕の乗るコックピットはほとんど下を向いている。僕の自身は座席のベルトに固定されているため、落ちることはないが、それでも重力により僕の体がベルトに食い込んで痛い。特に股間部分が。

 

 そして目の前のモニターから見える景色は、『桜改』の光学センサーからの映像だから進行方向のものだ。それに対し、僕は完全に下を向いているため、『下を向いているのに前方の景色が見える』という変な状況に陥っている。


 そして、一瞬のノイズがスピーカーから走った後、不安げな東藤さんの声が聞こえてきた。


『どうですかふぇありーさん……?』

「飛行に違和感は感じられないよ。よしっ! 東藤さん、うまく飛べてるよ!」

『本当ですかっ!? やったぁ!』 


 飛行、っていうよりは『滑空』の方が近い表現だけど、『桜改』は間違いなく空を飛んでいる。前回のようなガタガタとした不安な音はかなり小さくなり、安定感が増した。


 僅かな安心感を胸に秘めつつ前の様子を見ると、少し先に『桜改 ver.弓佳ちゃん』がフラフラと飛んでいるのが見えた。


 おおっ! あの機体も飛べてる!! 壊れてないよ! 


 僕が思わずガッツポーズを行うと、機体が突然ぐらりと揺れ、僕は慌てて操縦幹を握り直す。

 危ない危ない。こんな下らない事で撃墜なんて笑えないよ。


 そして空を滑ること一刻。遂に『桜改』のモニターが『風見レオパルド』を捉えた。デザート仕様の黄土色の迷彩にその装甲を染め、まるで僕たちを待ち構えているように砂丘の上に鎮座する姿は、確かな威厳すら感じさせた。


 そして、敵戦車の砲塔がゆっくりと動き、空中へと照準を向けた。



『弓佳さん。敵戦車の主砲がそちらを向きました! 当たらないように祈っていてください』

『えっ!? 敵戦車の攻撃は届かないんじゃないの!?』

『その予定でしたが、砂丘を利用して砲塔を上に向けて待ち構えています。どうやら私達の作戦は向こうに読まれているみたいですね……』


 少し辛そうな東藤さんの声がスピーカーから聞こえてくる。

 『風見レオパルド』は砂丘にその車体を預け、戦車自体を上に向けることで小さい仰角を補っているようだ。


『か、かわしてみせる! 当たらなければ、どうと言うことはないんだよ!』

『ダメです。機体を少しでも傾けると壊れると思ってください』

『どんな欠陥機!?』


 まぁ二日の突貫工事で作った機体だしねぇ。むしろ飛べている事の方が奇跡に近いと思う。


 と、いうより僕らの作戦が読まれていたことの方が問題だ。流石は風見さん、と言ったところか。


 そして、耳を叩くような爆音と破砕音が同時に僕に届いてきた。前面モニターを凝視すると『風見レオパルド』の砲塔から煙が噴き出しているのが目に入ってくる。そしてそれとほぼ同時に、目の前を飛ぶ『桜改 ver.弓佳ちゃん』の足は何かを砕いたような強烈な粉砕音と共に吹き飛び、その衝撃で機体が回転運動を始めた。


 あ。不味い。弓佳ちゃんの機体があらぬ方向へと向かってる。 


「弓佳ちゃん!? 弓佳ちゃん!? 大丈夫!?」

『きゃー! 何が起こったの!?』

『『桜改 ver.弓佳ちゃん』被弾しました! 弓佳さん、脱出してください!』

『きゃー! きゃー! いやぁぁぁぁぁ!』

「弓佳ちゃん! 落ち着いて左下にあるレバーを引くんだ! パラシュートを開くことを忘れないで!」

『ひ、左下!? こ、これ!? きゃぁぁ……ぁ』


 その言葉を最後に、弓佳ちゃんは『桜改 ver.弓佳ちゃん』の背中から盛大に射出され、明後日の方向へと吹き飛んでいく。

 パイロットを失った機体は、空中をもみくちゃになりながら落下してゆき、そして大量の部品に分解しながら地面へと降り注ぐ。


 あー。僕の二日間がー。

 うまくパラシュートを起動させてね。弓佳ちゃん。


『『桜改 ver.弓佳ちゃん』撃墜! 続いて『桜改』に砲塔が向きました! 『風見レオパルド』推定装填完了時間まで残り十秒! ふぇありーさん! 届きますか?』

「十秒あればいける! いっけぇぇぇ!」


 僕は足元のスラスターペダルを更に踏み込むと、『桜改』は加速してさらに速度を上昇させた。


 これなら届く! あとは僕の脱出のタイミングだ。遅すぎて衝突に巻き込まれても意味はないし、早すぎてかわされても意味はない。

 しかし、僕が離脱のタイミングを図っていると、『風見レオパルド』は砲塔をこちらに向けたまま突如反転し、僕の機体から逃げ始めた。


「はっ! 今更逃げたって無駄だよ! こっちのエリクサーの使用量は伊達じゃない!」

『……!! 『風見レオパルド』のエリクサーエンジンに反応あり! 敵戦車、高速移動を開始します!』

「ウソでしょ!? この砂地で高速移動出来るの!?」


 戦車後部の装置が赤く光ったと思うと、次の瞬間『桜改』は爆発的な加速を始めた。

 レーシングカーすら置いていきそうな驚異的な加速は本当に戦車なのか疑いたくなる。

 僕も負けじとペダルを更に踏み込み、機体の速度を最大限に増加させる。その瞬間襲いかかる慣性力に歯を食い縛りながら僕は操縦幹を握り直した。

 ガタガタと不安な音が機体全体から響いてくる。怖いけれどここで速度を緩める訳にはいかない。


『敵戦車、装填完了した模様! 第二撃、来ます!』


 もう『風見レオパルド』まで残り30mだ。しかし、逆に言うならもう『桜改』も敵戦車の射角内に入っているということ。

 ここで被弾すると一貫の終わりだ。『風見レオパルド』を踏み潰す前に地面に落下してしまう!


 ならば僕に出来ることは!! 


「自動姿勢制御システム限定解除! 一部を手動に切り替えます!」

『えぇ!? ふぇありーさん何をするつもりですか!?』


 左右の操縦幹に備え付けられている5個のボタンのうち、左右の小指、右手中指のスイッチを押す。そして、スラスターペダルとは逆のペダルを踏み込み、今度は右手の人差し指、左手の親指のスイッチを入れた。


「弓佳ちゃんが言ったでしょ! 当たらなければ、どうという事はないんだよぉぉ!」


 そして僕は、操縦幹とスラスターペダルを同時に操作した。

 それとほぼ同時に響く敵戦車の砲撃音。


 僕は機体の腕と肩を動かし、操作通りに体を急激に傾ける。するとその瞬間、機体の胸部、すなわち僕がいるコックピットがある部分すれすれを、敵弾頭が通過していく音が聞こえた。


『か、かわしました! スゴい! すごいです!』

「慣性によりマニュピレータ部が破損! 敵戦車目前! 月島、脱出します!」


 僕は即座に座席の左下に備え付けられているレバー引いた。

 その瞬間、引きちぎられるかのような慣性力が僕のベルトからかかり、僕は大空へと射出されていく。

 そして訪れる一瞬の静寂。まるで時の流れが遅くなったかのように、『桜改』がゆっくりと落下していくのが目に入ってくる。



 


慣性によりマニュピレータ部が破壊することに、この作品のこだわりを感じてくださると嬉しいです。

巨大ロボットの手を回転させるとえげつない遠心力が発生します。

そしてチンタラしてたら日付が変わってしまいました。すいません。

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