『悠久機』大地に立てない!
遂に来た。夢にまで見たこの瞬間。
ふーっと、金属の香りが充満するコックピットで僕は大きく息を吐いた。期待が入り交じったその吐息には、今までの苦労が詰まっているような気がする。
たくさん並んでいるうちの計器の一つを確認し、機体の稼働率を確かめる。
そろそろ時間だ。
そして、右手で握り締める操縦幹からゆっくりと手を離し、僕はスラスターエンジンのスイッチを入れた。すると、よく聞くエンジン音と共に、目の前の三面モニターに映像が写し出される。
機体は加速装置に両足、背中、腕、が固定され、若干量の角度をつけた射出レーンの先からは青い空が顔を覗かせているのがそのモニターから見えた。
『あーテステス。こちらオペレーター、東藤です。月島さん、聞こえてますか? オーバー』
コックピット右上部に取り付けられているスピーカーから、少しくぐもった声が聞こえてくる。彼女も緊張しているのだろう、僅かに声が震えている。
僕でさえ緊張と期待が混在した自分の気持ちに押し潰されそうなんだ。設計者である彼女の心境は、僕では想像に尽くしがたい。
「うん、良好。機体にも不調は見られない。シミュレーション通りに動いてるよ。オーバー」
『了解です。もうまもなく第一フェイズが終了します。月島さん、第二フェイズ、及び第三フェイズに向けて準備のほど宜しくお願い致しますね』
「了解。暖気フェイズ終了とともに、カタパルトのエネルギ解放準備を頼むよ」
『はい! 遂に、遂に来ましたねこの時がっ!』
東藤さんの興奮した声を聞きつつ、ゆっくりと操縦幹を前に倒して機体を前傾姿勢をとらせる。すると、電気的な回転音と共に機体がスキージャンプの発進前のような前屈みの姿勢をとった。
機体が傾くとともに、コックピットも角度をつけるのを感じつつ、僕は何度目かわからない深呼吸をまた行った。
『たった今第一フェイズ終了しました。これから第二フェイズ、及び第三フェイズへ移行します。カタパルトのエネルギ充填は完了しています。月島さん。心の準備は宜しいですか?』
「第三フェイズ了解。第一エリクサーエンジン回転率25%に到達。第一エリクサーエンジン、アイドルに切り換え第二エリクサーエンジン始動」
第一フェイズ、すなわち暖気運転が終了したので、これで機体は運転可能領域まで稼働したということだ。さらにエリクサーエンジンにも火が入った。
今から手筈通り種々のシステムを始動、及び運転していく。
『健闘を祈ります。それではただ今より、RW(Real World)決戦兵器、試作十四号『桜』の実機搭乗テストを行います。準備してください』
「了解。姿勢制御システム始動、全方周囲モニターオンライン。スラスターシステムエンゲージ。各種センサー感度良好」
僕は目の前に並ぶたくさんのボタンを次々と押し上げ、それに伴って計器が揺れるのをしっかりと確認する。
数値は全て閾値クリアーしている。よし。問題ない。オールグリーンだ。
『了解。機体管制システムのオールグリーンを確認しました。第二エリクサーエンジン、回転率上昇完了。『桜』、スタートアップ終了。それではただいまより、発進シークエンスを開始します』
「了解」
『『桜』、発進まであと10,9,8,7……』
東藤さんのカウントダウンを聞くたびに、僕の中から溢れ出る情熱が抑えられない。
はち切れそうな期待に胸が躍り狂っているのを感じながら、僕は大きく息を吸った。
いよいよだ。待ちに待った時が来たんだ。もうこの瞬間、僕たちの苦労は実を結ぶ。
誰にも理解されなかった。時間の無駄だと言われた。そんな辛い過去が脳裏を過る。
だから見返してやる。僕達を見下した全てを。
たった今から僕は『パイロット』だ。
『3.2.1……発進してください! ご武運を!』
「了解! 悠久機試作14号機『桜』、パイロット月島妖精、行きます!」
大声でそう叫んだあと、僕は思いっきり足元のペダルを踏んだ。それと同時にスラスターから推進材を噴き出す音が溢れだし、カタパルトが機体を押すと共に、蓄えられたエネルギーが速度となって機体に変換されていく。機体はぐんぐんと空へ向かって上昇と加速を継続させ、口を開けた空があっという間に大きくなっていく。
瞬く間に大空が近づいてくる。まるで何かに押し付けられているような大きな慣性力と、機体を破壊するような振動が僕を襲うが、気にしない。気にならない。だって僕は遂になったんだ! 憧れの人型ロボットパイロットになれたんだ! 慣性力なんてどうだっていいじゃないか!
僕は大きく息を吸って、大きな声を上げた。
「飛っべぇぇぇぇぇ!!!」
そして、空気を切り裂く爆音と共に僕と『桜』は大空へと飛び出して行った。
その瞬間コックピットをまるでハンマーか何かで叩かれたような衝撃が走った。が、僕はそれに堪えつつ機体の姿勢制御を行う。
機体は地面との平行面に対して15度の角度を保ち、滑空を始める。
よし! 大丈夫だ! 落ち着いてやれば大丈夫。シミュレーションで何度も練習したじゃないか。
そして、うまく慣性飛行に移行したお陰で僕を押さえ付けるような力はなくなり、振動も落ち着いてきた。そうしてその代わりに美しい景色がモニターから飛び込んできた。
モニター越しに広がる美しい眺望。大きく、豊かな自然がどこまでも広がっていて、見るもの全てを魅了する。
機体からはキュルキュルと歯車が回転する音が聞こえ、ギアが自動で切り替わる音も届いてくる。メインエンジンから響く安定したピストンの音は、まるで子守唄のように僕に安心感を与えていた。
風に煽られる度に、機体はガタガタと不安な音を立てているものの、姿勢制御システムが上手く作動してくれているのか、バランスを大きく崩すことなく飛行を続けている。
これは大丈夫! 成功だ!
「オペレーター! ど、どうなの!?」
『高度安定! と、飛んでますよ! 成功ですよやったー!!!』
機体の駆動音に負けないように拡声された、東藤さんのらしくないはしゃいだ声が僕の耳に届くと、僕も釣られて思わず笑顔が漏れてしまう。
僕たちは遂にやったんだ! これまでの苦労なんてクソくらえ!
と思った瞬間、喜ぶ僕たちを嘲笑うかのような突風の吹き抜ける音が聞こえた。そして、それに追従するかのように大きな爆発音が続く。それはまるで耳元で爆竹を鳴らされたかのような強烈な破砕音だった。
は? 何の音?
その発信源は僕の右側からだ。右から大きな破砕音が聞こえてきた。僕は本能に従い、咄嗟に僕は右を見るが、見えるのは美しい景色のみ。
しまった。機体の光学センサーからの映像だから、機体自身の様子は見えないんだった。
そして機体は次第にバランスをとれなくなったのか、ぐるりぐるりと回転を始めた。
僕は堪らず声を張り上げる。
「オペレーター! 何があったの!? 状況を知らせて!」
『『桜』、右肩部パーツ大破しました!』
「大破!? 何で!? 敵襲!?」
『いえ、これは……風圧です!』
「風圧!?」
『しまった、乱気流での流体抵抗を考慮に入れてませんでした……』
姿勢制御を自動から手動に切り替え、制御を試みるが………ダメだ上手くいかない。そもそも右肩から先がぶっ壊れてるのに空中で姿勢制御なんて出来るわけがない。
アニメの世界のパイロットはロボットの腕が吹き飛んでも平気で機体を操ってるけど、あれって凄いことなんだなぁ。
『『桜』、落下が止まりません! 月島さん! 脱出してください!』
「い、いやだ! 何とかしてみせる! 僕たちの努力をこんなところで終わらせはしない!」
『ダメです! 直ちに脱出してください!』
東藤さんの言葉を無視して、僕は操縦幹を握り直し、機体の制御にかかる。
が、ますます安定から逸脱した機体は徐々に回転数を増し、それに伴って僕にかかる遠心力も増加していく。
見えない何かに引かれるような感覚に必死で抗いながら、僕は懸命に操縦幹を握った。
『いい加減にしてください! もう『桜』はダメです! 脱出を!』
「くそぉっ! 月島、脱出します!」
座席横に備え付けられた強制脱出システムを始動するため、レバーを上げようとしたものの、上がらない。
……あれ? なんで?
思いっきり力を込めてレバー引っ張るが、うんともすんとも言わない。まるでとてつもなく重たいものを持ち上げようとしているみたいで、レバーを上げようとしている自分に虚しさすら感じられる。
「ちょ、東藤さん! レバーが上がらないんだけど!!」
『えぇ!?』
そして機体の回転運動の激しさがどんどん増していく。もちろん機体が回転すると、コックピットも回転し、それに伴う遠心力が僕を襲う。コックピット自体が機体の胸部、すなわち重心部分に作られているので回転の影響を最も受けにくいはずなのだが、それでも僕の乗るコックピットはさながらミキサーのようにぐるぐると回っていた。
『は、早く脱出してください! なんとかして!』
「……なんとかしてって言われても、遠心力ががががが」
さらに何かの破壊音が僕の耳に届くが、もうどこが壊れたのかなんて全くわからない。
薄れゆく意識の中、四肢が引きちぎれてしまいそうな遠心力と戦いながら、僕はうっすらと思った。
人型ロボットって本当に作れるの……?
そして目の前が真っ暗になり、目の前に表れたのは『GAMEOVER』という文字だった。
ーーーーーー
ところ変わってブリーフィングルーム。僕の『基地』内の作戦部屋。
ここは昔、僕がどこぞの設計図をダウンロードして作った僕の拠点で、基本的な会議はここですることになっている。
そして大きなプロジェクターには、今回の機体『桜』が写し出されていた。
黒が基調のカラーリングに、頭部ユニットに備え付けられている金色のツインアイ光学センサー。さらに口元から肩口にかけて大きな廃熱機構が備え付けられていて、製作者の僕から見ても惚れ惚れする程男前だ。
大きめの下半身には至るところにスラスターが装着されており、背中の二基の連結メインスラスターを補助する形となっている。
人間の間接とは異なり『桜』の間接部には駆動機関が内蔵されており、そして無駄に赤に塗装されているため、まるで漆黒のボディーに深紅が浮かんでいるように見える。
人間のそれと比べると広い右肩には、金色の塗料で大きく『桜』と描かれていて、そう、何というかカッコいい。
全長は18m。体重はおよそ124トンの大型ロボットで、勿論『兵器』である以上、背中の6mの刀は外せない。
こんな巨大なものが青い空を舞っているというのは傍目に見ても違和感が尋常じゃないな。
と、僕が今さらながらの違和感を覚えていると、プロジェクターの映像は続けて動き、約8秒後『桜』の肩が吹き飛んだ。体の横に沿わせていた手が急にだらりとだらしなく垂れ下がる。
そしてそれに合わせて東藤さんが動画を止め、口を開く。
「端的に言うと、空中慣性飛行時の突風による流体抵抗の跳躍的増大、及びそれに起因する肩部パーツ大破です。続いて機体は制御が働かなくなり、回転運動を開始。そしてそれによる遠心力によって機体が引きちぎれました。落下までに実に大小合わせて24のパーツに分解、さらにパイロット意識喪失」
と、苦虫を噛み潰したかのような表情で告げる東藤さん。
いつもの聡明に輝く切れ長の瞳は落ち込んだように下を向いていて、知略に富んだ彼女からは考えられない程弱気な雰囲気が見てとれた。
背中まで届く流れるような黒髪に、雪のように白く透き通った肌。漆黒色の軍服に身を包んだ彼女は威厳こそ感じられないものの、むしろ儚げな、まるで一輪の花のように可憐に感じられた。
「で、でも少しは飛べたよね! 僕も一瞬だけどパイロットの気持ちを味わえたよ!」
「……ありがとうございます。しかし、これは私の失敗です。月島さん、いや妖精さんの希少資材を多く無駄にしてしまったのだから。ついでにふぇありーさんの命も」
「妖精って言わないで!? 月島でいいよ! あとついでにって酷くない?」
と、フォローを入れる僕に対して一言礼を言ってまた難しい顔をする東藤さん。こいつ反省してねぇ。
ちなみに僕の名前は月島妖精です。本名です。笑わないでください。RW(Real World)内でも、現実世界でも妖精と呼ばれています。やめてください。
まぁそれの原因は自業自得だったりするんだけど、もう時効だと思うんだよね。
そして悔しそうに下唇を噛む東藤さんに変わり、会議室で最も上座に座る一人の小柄な女の子がゆっくりと口を開いた。
「で? 東藤ちゃん。原因はわかった。なら対策は?」
「そうですね。肩回りの設計変更を考えなければなりません。一応本体全体に対して、空気抵抗程度は余裕で耐えられる強度を付加したつもりでしたが、肩回りに関しては甘かったようです……。すいません……弓佳さん」
「弓佳さんじゃない! キャプテン! キャプテンユミーカって呼ぶの!」
「すいませんキャプテンユミーカ」
「ならよしっ!」
そう。彼女こそ、この『悠久機プロジェクト』のリーダーで……あ、いやキャプテンである橘弓佳ちゃんだ。
赤毛が入った短めの髪を耳にかけ、くりくりとした大きな瞳は常に嬉しそうな光を放っている。弓佳ちゃんは可愛らしい雰囲気を体全体に纏っているが、意外にも彼女は人を惹き付けるカリスマ性がある。
そして何故かはわからないけれど、自分の事を『キャプテン』と呼ばせたがる。弓佳ちゃんは大概意味不明だから気にしてないけど。
そして彼女は活発な瞳を僕と東藤さんに向けて何となく偉そうに腕を組み、楽しそうに今後の展望について話始めた。
「たぶん、頑丈さが足りなかったから、もっと肩を分厚くすればいいんだよ! でもそれじゃあせっかくのフォルムが崩れてしまうから、他の場所も肉付けしてバランスをとれば!」
「え? ……あー。うーん。そうですねー……」
東藤さんが困ったように弓佳ちゃんに詰め寄られて苦笑いを浮かべている。機体の設計についてはほとんど東藤さん任せなので余り詳しい事は言えないけれど、取り合えず分厚くすればいいというものではない事は僕でもわかる。
そもそも機体重量を低減させるのに僕と東堂さんがどれほど苦労したのかこの子はそれすらも忘れてしまったのか!
そもそも『桜』は全長18mだ。そしておよそ人間の10倍の大きさを誇っているので、体積比はざっと人間の1000倍である。
あれ? 意外と小さい? なんて思ってはいけない。なんと体積を鉄に換算すると重さ約645トン。これはジャンボジェット2.5機分、アフリカ像約120頭分の重さになり、こんなものが歩けば基地は粉砕し、街は崩壊する。
そんな機体をいくら推進材『エリクサー』の力を借りたとはいえ、一瞬でも飛行させたんだ。
だから東藤さんはもっと誇ってもいいと思う。
そんな僕たちの苦労を知ってか知らずか、弓佳ちゃんは大袈裟な身振り手振りを交えながら『桜』の改修案を次々と述べていた。
「あ、風避けみたいな装備をつけるのはどう? それかいっそのこと……」
まぁそれはそれにしても弓佳ちゃんのロボットに対する愛は尋常ではない。今のあの異様な雰囲気を見ても分かるけど、彼女に人型ロボットの『ロマン』を語らせたら、それこそ日没がいくつあっても足りないだろう。
やれ油と硝煙が香る戦場での話だの、汚れたロボットや破損したロボットの美しさについてだの、本当に話が尽きることはない。
まぁ不思議と嫌な気持ちになることはないんだけどね。それこそ彼女が『キャプテン』である理由であり、あの子の『悠久機プロジェクト』に僕と東藤さんが付き合ってあげている理由なんだけど。
「それでですね。弓佳さん」
「キャプテン!」
「キャプテン。1つお願いがあります」
「何? あたしに出来ることなら何でもするよ!」
と、僕がボーッと考え事を女の子二人を眺めてながらしていると、東藤さんがそんな風に提案してきた。
「もう一人、設計者を増員して欲しいのです。私はシステムが専門なので、出来ればハード部分を設計してくださる方がいれば、もっといい機体が作れますよ」
「ハード?」
「機体の外形部です。制御機構は私が担当するので、力学的に計算されたハードを作れる方が欲しいです。私は見ての通り、勧誘活動なんて出来っこないので、それを弓佳さんにお願いしたいのですが」
と、胸に手を当てながら弓佳ちゃんに頭を下げる東藤さん。
「ハード係……。ってことは東藤ちゃんくらいに賢い人じゃないといけないよね? てことは風子ちゃんあたりか……」
目を伏せ、少し考え込む様に口元に手を当てる弓佳ちゃん。漆黒の軍服は驚くほど似合っていないが、この考え込む瞬間だけは本当に聡明で凛とした雰囲気を醸し出している。
東藤さんが要望する人員確保。それは僕自身も痛烈に感じている問題だ。そもそも三人であのサイズのロボットを作るのは本当に骨が折れる。RWのゲームシステムをフル活用したとしても、100トン以上の材料を一人で集めるのは本当に大変だった。
しかも集める人材も『賢ければ良い』というものでもない。東藤さんだって勉強は出来るけれど、彼女の親は大学教授らしいし、専門的な知識が必要だ。
そして思考を終え、ぱっと顔を上げた弓佳ちゃんが真剣な眼差しで僕と東藤さんを見た。
「よしっ! それじゃあ東藤ちゃんは今回のテストを受けて原因の究明、及び解析を行って! そして可能ならば機体の改修作業を行うこと!」
「了解です」
「ふぇありーはあたしと一緒に勧誘に行くよ! 狙いは『風見 風子』ちゃん。だから明日、あなたは午前6時にあたしの家に集合ね!」
「いぃっ!? 僕も行くの!? ていうかふぇありーって呼ぶな!」
もう僕の同行は彼女の中では決定事項のようで、いつもの清々しい笑顔を僕に向けている。
……はぁ。はいはい。行けばいいんでしょ行けば。どうせ横で突っ立ってることしか出来ないけど、それでよければお供しますよキャプテンどの。
「じゃあ明日も夜七時に妖精の『プライベートワールド』に集合ね! そこで成果を報告すること」
「わかりました」
「……はいはいわかりましたー。ていうかふぇありーって呼ばないで弓佳ちゃん」
「キャプテンだって言ってるでしょ! 同じことを何度も言わせないで!」
「それを君が言う!?」
ビシリと人差し指を僕の胸に突き立て、可愛らしく睨んでくる弓佳ちゃん。相変わらずの破天荒っぷりだけど、こういう付き合いになれていない僕は何となく嬉しくなって笑みとため息を溢すのでした。はぁ。
「では、失礼します。お休みなさい」
と、東藤さんが一礼すると東藤さんを中心に一筋の光が走り、彼女は跡形もなく消え去った。
よし、じゃあ無駄に明日は早いし、僕もログアウトするか。
「じゃあ弓佳ちゃん。また明日ね」
「うんっ! 明日遅刻しないでねふぇありー!」
「ふぇありー言うな。じゃあお疲れ~」
と、いいつつ僕は左腕に装着している小型のタブレットを操作し、『ログアウト』のボタンを押した。
が、何も起こらない。
「……あれ? どうしたのふぇありー?」
「あれ? ログアウト出来な……」
何か回線が悪かったのだろうか? 何回かログアウトボタンを押すと、まるで思い出したかのように光の粒子が僕を包み込んだ。
そして次の瞬間、僕も『RW』からログアウトした。
ーーーーー
緒元
型式 EF-Pr-14 『桜』
全長 18.0m
全重量 124.2トン
主要装甲 RW特殊合金1(妖精作)、RW特殊合金2(妖精作)
武装 『SAKURAソード』
基本動力 大型ディーゼルエンジン(軽油4号)
推進装置 桜特別仕様ジェットスラスター
推進材 RW elixir
パイロット 月島妖精
主要製作者 東藤 鈴
全責任者 橘 弓佳
第一章はストックがあるので、よければ見てください!