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花火

作者: 都筑 花音


「あなたなんて嫌いよ」

突然幼なじみかつ好きな人にそう言われて

僕はそのことで頭がいっぱいになった


少し冷静になった頃

「なんで?」

って聞いてみた。

ほんとは聞きたくなかった。

でも聞かずにはいられなかった。


"君は僕の好きな人"だから


好きな人の答えは簡単だった。

いや、簡単にまとめられていた。


「嫌いになったから。

嫌いになることに理由なんて必要なの?」

は? って思った。

でもこれ以上聞いてもきっと無駄なんだ。


「そっか」

それしか僕の口からは出てこなかった。


なんでだろう、なんでだろう、なんでだろう

僕が彼女に何をしたと言うんだ

それしか考えられなかった。


ずっと考えてるうちに属にいう

"病み期"というやつが来て

僕の考えは狂い始めた。





もし僕が今日死んだなら君は後悔するだろうか?

もし僕が今日記憶喪失したならば君はその記憶を取り戻そうとしてくれるだろうか?

もし僕が今日植物状態になったなら君は手を握ってくれるだろうか?

もし僕が今日「余命1ヶ月です。」なんて医者に言われたら君は優しくしてくれるだろうか?


答えはすべてノーだろう。

いくら幼なじみでも「嫌い」な相手にそんなこと、あるはずがない。


彼女は大人になったんだな。

そう思った。


毎日そんなこと考えて自分自身嫌気がささないわけがない。

だけどそれしか考えられない。

彼女はそれくらい大きな存在だったから。




考え始めて一週間近く経ったときに

僕は彼女が死んだことを知った。


ひどく重い病気だったらしい。

それなのに僕は自分のことしか考えないで彼女のことを気にかけてなかった。

最低だった。



彼女の残した遺書を彼女の家族に見せてもらったけど

今にも消えそうな字で

でも生きてて、家族に今までの思い出とか語りかけていた。

それを見ただけで涙が出た。

止まらなかった。

そして最後の方には

「私は良い家族に恵まれて大好きな幼なじみもいていつも笑いあえる友達がいてほんとに幸せだった。

幼なじみには知られたくなくて突き放したけどほんとはずっと大好きだった。

みんな、ほんとにありがとう。

残り少ない時間かもしれないけれど私は精一杯生きます。

死んだそのときはみんながこれを読んでいるんだろうなー(笑)」


って書いてあった。

僕を想っててくれたことが痛いくらい伝わってきて情けないくらい泣いて

泣き崩れて

彼女の遺体が燃やされるまで彼女のそばにいた。

彼女に「嫌い」と言われたその時から僕は逃げることしかできなかったから今度はちゃんと向き合おうと思った。





葬儀が行われたその日は夏の終わり。

どこもかしこも祭りがやってて

花火の音が絶えなかった


ふと空を見ると花火が目に入って

それはとても大きくて綺麗で凛としてて力強くて

まるで彼女が空に打ち上がったかのように見えた。


その景色は忘れることはないだろう。

何年経ってもこの花火が打ち上がる季節にその花火を思い出す。

きっとそれが彼女であるから


今日も空は綺麗です。

君が輝ける舞台は整ってます。


















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