結婚記念日
今日もまた、青い空が広がっている、胸糞悪くなるような雲も無い真っ青。
俺はソアラで、行き付けのガンショプへ。
「今日も相変わらずの晴天で〜す、今週一杯この晴天は続くでしょ〜」
相変わらず、能天気な姉ちゃんの声がラジオから聞こえてくる。
今日ばかりはいつも気持ちの良い回転をしてくれるソアラの4リッターV8エンジンも腹が立つ。
煙草を吸いたくなってきた。しかし、嫁が禁煙車以外は乗らないと言って聞かない。
亭主関白を貫こうとしたら、見事に滑って、尻に敷かれている状態だ。
今日もお姫様のわがままの為にこうしてガンショップまで走らせている。
先週から家の周りの治安が悪いとかなんとか言って、小さいガンを買って来いと言って喧しい。
嫁曰く「絶対にドイツ製!!軽くて小さくて使い易い銃じゃ無いといや。車だってBMWが欲しかったのに・・・」
車に関しては喧嘩になった、俺は世界最高の車は30系ソアラだと信じていた。
そうこう考えている内に、ガンショップの前に。
「よう、今日も湿気た商売してるじゃねぇか」
「少し口を慎んだらどうだ若造、最近奥さんと上手く行ってないみたいじゃないか。」
「黙れよモローク爺、付き合った時からの運命だ仕方ねぇ。」
「ハッハ、で、今日は何が欲しい?」
「コンパクトなドイツ製の拳銃だ。P229とかあるかい?」
「あれは最近アメリカ製だぞ、それに丁度品切れだ。」
「じゃあ、H&Kの製品は? 女にも使えるやつだぞ。」
「USPコンパクトなんかどうだ? 9mmを10発装填できる。」
箱から、ゴソゴソとゴツイガンが出てくる。
「面倒だから、そいつをくれ。」
「奥さんが自分で使う銃だ、少しは考えたらどうだ?」
「面倒ってのは冗談、俺はUSPが好きなんだ。」
そういって、懐のUSPを見せる。
「じゃあ、安心だな。たまにはデートにでも誘ってやれよ」
「余計なお世話だ爺、ついでに40S&Wのフェデラルと9mmのウィンを50発ずつくれ」
そうして、買い物が終わった俺は、後部座席に荷物を置き、イグニッションキーを差し込んだ。
相変わらず、V8エンジンは気持ち良いアイドリングをしてくれる。
そうだ、帰りにワインでも買って行ってやろう、今日は俺らの結婚記念日じゃないか。
トイガンのインプレ用に書き上げた物ですが、中々評判が高かったので載せます。