91 積み木タワー
「そーっとだよ! そーっと……」
「分かってるよ~」
そーっと~、そーっと~。
四段目完成~!
光です~。
はーちゃんと積み木でね~、タワー作ってるの~。
ほら~、ひらがなが書いてあって、裏に絵が描いてあるような平たい積み木ってあるでしょ~。
『あ』で『あひる』とか~。
あれをね~、一段三個で積み重ねてるの~。
「つ、次ウチね……そーっと……っよし!」
五段目完成~。
「そ~っと~……」
あわわ~、ぐらぐらしてるよ~!
……せーふ~。
「七段目行くよ!」
がらがらがらがら
『あ~っ!!』
「五月蝿いっ!」
うぅ~、はたかれた~!
「だって~、なっくん~!」
「せっかく七段目までいったんだよ!」
「そりゃー、十何段かいって崩れたんだったら悲しいの分かるけどさ……」
わ~っ! それは悲しいね~。
「お兄ちゃんは最後までいったことあるの?」
「ん? 一応……もう少しで完成って所までいって崩れたからムカついて止めた!」
一回で~?
「なーんだ。お兄ちゃんいったことないんじゃん」
「俺はな。純と忍はいった筈だけど……」
「純くんはともかく!」
「お姉ちゃんがいったことあるなら私達も~」
『出来るよね(~)!』
やる気が出てきた~!
「……判断基準がイマイチ分からん」
なっくんが何か言ってるけど虫~! じゃなくて無視~!
再び挑戦~! の十段目~!
「ひーちゃん! 十段だよ! 次で!」
「お~!」
「では任せた!」
「任された~!!」
そぉ~っと~……。
「うわっ!?」
どどどどどどどど
「わ~っ! 何~!?」
がらがらがらがらがらがら
『あ~!!』
「ちょっとお兄ちゃん! 何やったの!?」
「びっくりして崩しちゃったよ~!」
せっかくの十段目だったのに~!
「悪ぃ。ちょっと階段で足滑らせて……」
『お兄ちゃ~ん?』『なっく~ん~?』
「あー俺、純ん家行って来るなー」
逃げた~!
でも何で上に逃げるの~!?
またベランダから行く気だな~。
「も~……ひーちゃん、やろ!」
「うん~、ごめんね~」
「ひーちゃんは悪くないよ! 悪いのはお兄ちゃん!」
三度挑戦~! あきらめないもん~!
三度挑戦~! の十五段目~!
「はーちゃん~、もうすぐ完成だよ~!」
「うん! ……そ~っと」
よし~!
うぅ~、最後の一段~……。
ぐらぐらしてるし緊張するよ~。
一個目~……二個目~……。
これで最後~!
三個め~!
「はーちゃん~!」「ひーちゃん!」
『出来た~!!』
……あ、最後二つ残ってるな~。
「ひーちゃん、これ最後にT字に乗っけようよ!」
「そうだね~!」
一個~……二個~!!
『やった~!』
ぴょ~ん
嬉しくて飛んじゃうよ~!
ぴょんぴょんぴょんぴょん
「やっ、たっ、ねっ!」
「う、ん、~!」
どんどんどんどん
がらがらがらがらがらがらがらがら……
…………。
『あぁああああああ~っ!!』