90 盗人姉弟参上!
「じゃじゃーん! 未理阿ちゃんでした!」
「霧瑠依くんでしたー」
…………えっと。
どー反応しろと?
忍です。
何か、突然変な子×2が入ってきたんだけど……。
薄い水色のローブ(って言うんだっけ?)着てる女の子と、男の子。
大体小学四年位じゃないかなー。
「えっとー、どちら様で?」
「双子の姉弟、ミリアちゃんアーンドムルイくんでした!」
「えっとー、風邪の民、らしいよー」
「風邪じゃないでしたー! 風でした!」
……分からん!!
って、また誰って聞いても同じ答えが返ってきそうだから質問を変えよう。
「何しに来たの?」
「しらなーい」
「ムルイくん! 寄付してもらいに来たんでした!」
何の寄付?
ちょっと昨日買った本でお小遣いやばいんだけど。
「お母さんがね……お母さんが……」
ん? 何か目がうるうるに。
「死にかけだからお薬買うための寄付でしたー!」
なんだろ、ものすごっく胡散臭い。
「お母さん死にかけてないよー。大体一ヶ月以上会ってなーい」
おい。
二人でぜんっぜん話が違うじゃんか。
「ムルイくん! またまた騙すのに失敗でした!」
おいこら。
「結局何がしたかったの」
「えっとねー、ミリアちゃんはお金を騙し取りたかったらしー」
親の顔が見たい。
親の職業は何だー? 詐欺師か何かかー?
「ムルイくん! バラしちゃだめでした!」
「盗めば楽なのにー」
親の職業に盗人疑惑が新たに浮上中ー。
「あーっ! でした!」
「あー」
ん?
「ムルイくん! 逃げるでした!!」
「おけー」
ふむ。
がしっ
「何するでした!」
「はなそー」
とりあえず足をつかんでみました。
いや、だって。何かあたしの大切なお小遣いを盗るつもりだったらしいし。
「あぁ! 来ちゃったでした!」
「見っけ!」
あれ? 剣?
「あ、しぃねぇ」
「……協力感謝」
天に斬!?
もう、何が何だか分からない!
「んじゃ! 戻りましょー! 未理阿先輩に霧瑠依せーんぱい」
先輩!?
「バナナ一か月分の約束ですよね?」
バナナ一か月分って!?
「……約束、破ったら……これ」
ざーん! その手の中の小瓶を放しなさーい!
どす黒い液体を捨てなさーい!!
あぁ、適当にぽーいっと捨てられても困るけど……。
「うぅ、分かったでした! 次は負けないでした!」
「うー、ミリアちゃんがお金騙し取りに行こって言うからー」
「ムルイくんだって賛成したでした!」
えっと、説明をしてくれないかなー。
「あ、忍ねぇ。この二人学校の先輩なんだけどな、人間界に逃げたのが見つけられたらバナナ一か月分くれるって言うから……」
「何となく参加してみたんだ」
「……違う、天がバナナ欲しい言ったから」
「ちょっ、斬!」
へぇ、天の好物はバナナ?
でも一か月分って……漫画とかでよくありそうな商品だねー。
……あ、それだったら一年分かな?
「じゃあ、バナナ盗みに行くでした!」
「おー」
待て待て待て待て待て待てぇい!
ミリアちゃんとムルイくん。
ミリアを一文字ずつ下にずらすとムルイになりまーす。
はい、どうでもいい裏話でした。