９ 冷蔵庫の恐怖
「とゆー訳で～！我々はこれから冷蔵庫の掃除を始める～！！」
「おー」
何であたしが手伝わされてんだろーか。
忍ですー。
カレーを作る時の話を聞いたおかーさんが突然「冷蔵庫の掃除をしよ～」って言い出したんだよ。
確かに冷蔵庫の中には危険物としか思えないようなものが沢山入ってたけどさ。
何であたしまで手伝わされなきゃいけないんだろ。
理由は分かってるよ。逃げ遅れたから。
純兄はどっか行っちゃったし、岳はわざわざ友達と約束作って逃げたし。
光はよりによって今日習い事だし。
「よ～し、まずはドアポケットからね～」
とんかつソース、山葵、からし、しょうが、お茶、水、焼肉のタレ×５……焼肉のタレ多っ！！
柚ごしょう、出汁、お好み焼きのソース、カレーの時の激マズピザソース……って
「捨ててなかったのコレ！？」
「何言ってるの～、賞味期限は……」
「過ぎてるからっ！！」
ゴミ箱へ直行。
他には特に危ないものは無し。
「次はチルドルーム～」
ここはチーズとか入ってるからなぁ。
危ないものありそう。
……発見。
「おかーさん、このスライスチーズいつの」
「え～、チーズっていっぱいあるんだけど～……
賞味期限いつ～？」
「一昨年の8月」
「あ～それならまだ……」
「大丈夫なわけあるかっ！！」
ったく、いままでおかーさんの料理食べてよくお腹壊さなかったなぁあたし達。
ある意味凄いかも。嬉しくないけど。
で、他にも危なさそーなクリームチーズとかを処分。
いや～。冷蔵庫によくカビ生えてなかったなぁ。
って、まだ始めたばっかりなのに。
それからをだーっと言って行くと、
冷蔵庫、一番下の段。
賞味期限が昨日のヨーグルトを発見。
おいしく処分させてもらった。
腐った牛乳を発見。
光速でゴミ箱へ。
冷蔵庫、真ん中の段。
カビの生えたべったら漬けを発見。
庭に肥料となる、かどうかは知らないけどとりあえず埋めといた。
冷蔵庫、一番上の段。
腐敗した卵を発見。
ヒヨコにもなれなかったのに食べることさえ出来なくなってしまった、のはあまりにも可哀想過ぎたからせめてお墓を建ててあげた。
良い肥料になってください。
「あ、忍～。見てみて～、こんなのがあった～」
「ぅぇ。捨てろっ！今すぐ光よりも早く捨てろっ！！」
「あはは～、だよね～」
カビで真っ白なバター。
よく気づかなかったなぁ……。
不思議や不思議。
冷蔵庫の中って何入ってるか分からないですよね。
……ですよね？
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