86 こんな起こし方をしてみた
「お父さ~ん~!」
「ぐぉぁっ!?」
「朝だよ~!」
……うーん。
起こそうとしてるのに気絶させそうになっているとはこれいかに?
忍でーす。
「光ー、いきなり腹の上にダイブはきついんじゃない?」
「そうかな~?」
そうだと思うに一票。
「お父さん~、あ~さで~すよ~!」
「うぅ……後五分」
母親に起こされる小学生かアンタは。
「だめ~! えい~」
「ぐほぁっ!?」
腹の上にのしかかり、再び!
……さて、ここで出てくる選択肢は二つ
一、このままほっとく
二、参加する
んー……、よし。
一にしよう。
え? おとーさんを助けるって選択肢がない?
だって助ける気全く無いもん。
0.01ミリも。
だから増やすだけ無駄。
「おーっ! 光、オレも混ぜて!」
「お~け~」
「よしゃっ! とぅっ!」
岳乱入……、って、ちょっと待て!
岳までジャンピングのしかかり(?)はきついだろ!!
「うえあ!?」
『何でよけ(んの/るの~)!?』
「いや普通よけるからね!?」
うん、流石に同意。
だって岳、小六じゃ背高いほうだし。
とーぜん体重だって光よりかずっと重いわけで。
「んー、じゃ、起きろ」
「…………ぐー」
起きろよ!?
「って、んな分かりやすい寝息(鼾?)立てる奴が居るわけねーだろ!」
とう、とゆー声と同時に拳が一発。
おとーさんの腹に入った。
「ぐぉぇ」
「ご臨終です」
「殺すな!」
あ、復活した。
「うっせぇな……何やってんだよ」
『おはよ~』
「いや、さっきから起きてたから」
あぁうん、そんな気もするな。
『おはよ~』
「だからさっきから起き『おはよ~』……はいはいおはよ」
随分投げやりな挨拶ですな。
まぁ投げやりにもなるかな。
「ほらほら~、お父さんもお早うだよ~!」
「Z Z Z」
「分かりやすすぎるだろ!!」
何もアルファベットを言わなくても……。
「起きないと~……」
「次は何すんだ?」
「起きないと~……」
起きないと?
「えぇっと~……うわ~、選択肢が多すぎて選べないよ~!」
どういう選択肢が頭の中を回ってるのか見てみたいんだけどな。
「よ~し~、これで行こう~!」
『何?』
「朝ごはんのホットケーキ生焼けにしちゃうよ~?」
……地味にヤだなぁ、それ。
だって生焼けだとねちょねちょするし。たまにお腹痛くなるし。
「……むにゃむにゃ」
「寝たふりがものすごくわざとらしいな……」
うんうん。
「むぅ~。じゃあね~、朝ごはんのホットケーキ焦げ焦げにしちゃうよ~?」
焦げ焦げって。まずそー。
「ぐー」
……効いてないし
「んむぅ~。じゃあ~、朝ごはんのホットケーキ生地を焼かないで出すよ~?」
うわ、それは酷い。
……あたし的にはおいしいけどね。あれ。
うーん、深皿とスプーンがいるな。
「すーぴー」
「むむ~、なかなか手強い~」
「本当にやらないと思ってんじゃねーの?」
んー、確かに。
「じゃあ、親父の朝飯のホットケーキは光オリジナルのホットケーキの生地を光が焼いてそれを口に押し込む、とか」
いい加減朝ごはんのホットケーキシリーズから離れようよ。
「起きるよ、起きてるよ、さー、お母さんのホットケーキが朝ごはんだよなー」
おぉ、凄い効果。
えぇっと、どっちを褒めればいいのかな。
光の料理とゆー言葉か、はたまた純兄が言う、とゆー現実味溢れる言い方か。
「ふふ~、今日の朝ごはんのホットケーキは私が作っ……」
ばた
あ、トドメ。