85 けつえきがたしんだん?
「…………わー」
シャクシャク
「…………へー」
シャクシャク
「…………おー」
「さっきから何読んでんだ」
純だ。
千マス計算(岳作)をやってたら、何やら勝手に忍が入ってきて、何やら勝手に人の机の上に上がり、何やら勝手にリンゴ食べながらそこで読書始めやがった。
「んっとね、血液型診断」
「ふーん」
「あれ? 純兄は興味ないの? 面白いのにー」
「無い」
信じてねぇし。
保険の教科書か何かに『脳は血液型を知らない』とか書いてあったし。
「んっとね、純兄はABだからー」
「興味ないって言ってるだろうが」
「またまたー、書いてあるのを見るのが楽しいんじゃんか」
信じる訳ではなくて? そう読むものか?
「んっと、性格『クール』……ええと、涼しい?」
「いや、絶対違うと思う」
何だよ、性格が『涼しい』って。
あぁ、でも和訳するとこうなるしな……。
あ、和訳すること自体が間違ってるのか。
「んと、で、『面倒臭がり』」
「否定はしない」
「あたしは全力で肯定したいけど?」
そこまで面倒臭がりでも無いと思うけど……。
「んで、『喧嘩っぱやい』」
「否定する」
「幽霊によく喧嘩売ってるじゃん」
「あれは向こうか「買ってるじゃん」言い直すな」
にしてもそんな診断結果とか聞いたことねぇぞ。
いや、まずこういうのも殆どしたことねぇけど。
「さらに『動物にたとえるとミジンコ』……ミジンコって動物に入れていいのかな」
……ミジンコってどういう意味だよ。
「えーと、『早い話が小心者』」
「どういう意味で早い話だよ」
ミジンコと小心者にどんな繋がりがあんだよ。
「あと、『ガキ』」
「……喧嘩売ってんのかその本は」
「んで、『実は……いや、なんでもない』」
「マジで喧嘩売ってんのかそれ」
なんでもないなら書くな。
「さらにさらに『ちょっとあんなものにも興味がある』」
「あんなものって何だよ」
「さぁ?」
…………。
「『実は……怖がり★』」
「『実は』の後の間は何だよ。『★』って何だよ」
「んー、さっきの『実は……いや、なんでもない』の奴かな?」
訳の分からん本だな……。
「あ、こんなのも書いてある『手のひらサイズ』」
「……どういう意味だ?」
「うーん……体重が手のひらサイズ?」
「意味わかんねぇよ」
まず『サイズ』じゃねぇし。
「じゃあ身長が五キロメートル以内とか」
「単位が明らかに間違ってんだろが」
「細かいことを気にするな! A型じゃないんだから!」
いや、確かにA型じゃねぇけど
「……でも、清は全然細けぇこと気にしねぇけど」
「えぇぇ!? 清ってA型なの!?」
「何を今さら」
「B型かと思ってた!」
あー……そう言えば。
「一回も血液型当てられたことが事がねぇって自慢してたな……」
「……だろうね」
ところで。
忍の食べてたリンゴが種とヘタだけになってるけど、いつ食った?
……あと、その本燃やしていいか?
この作品はフィクションです。
こんな血液型診断書は存在しません。あしからず。