83 悪魔、召……喚?
「いよっし! コレで完璧だよ! パーペキだよ!!」
雨は降り続いております。
グラウンドに書いた魔法陣なんてすぐに消えちゃうんじゃないの?
忍です。
何が悲しくてこんな雨の中海みたいなことになってるグラウンドに出にゃならんのだ。
それより前に。
「何で魔方陣がそれなの!?」
「ふえ?」
魔方陣は魔方陣でも、縦横斜め全部同じ答えになるように数字を入れる魔方陣なんだけど!?
コレで悪魔が出たらあたしは全財産ならぬ全お小遣いオカルト部に寄付しちゃうよ。
「……本当?」
「後ろから出るな!」
部長か呼んでたので言うとマコちゃん!
不気味だから!
「って言うか、口から出てた!?」
こくこく
そんなに頷かないで。
「よーし、それじゃ、行っきまーす」
とてもこれから悪魔召喚をする人の言葉には聞こえない。
「ランマスカミラエ・ママニスジャムエーリマ」
……一体この呪文にはどーゆー意味があるんだろう。
「我の朝餉は味噌汁、スープ、パン、米」
本とにどんな呪文だよ!?
しかも部長の朝ごはん、どーなの。
「夕餉のメニューは鶏肉、豚肉、牛肉」
野菜食えよ!
「……と、菓子パン」
健康に悪いから! 絶対!
「一昨年の朝餉はエスカルゴ」
どんな朝ごはん!? 金持ちだな。
って言うかよく覚えてたね……。
「アイムハングリー」
いや、突然お腹すいたって言われても困るんじゃ……。
「アイドンライクゴッド」
天罰当るよ。
いや、神様いるのか知らないけど。
「アイライク納豆ベリーベリーベリーマッチ」
あ、そこ悪魔じゃないのね?
しかもご丁寧に納豆は漢字なのね?
……それはそーと、あたし達は何をやってるんだったっけ?
悪魔召喚? 何処がさ。
シュ――
え。何か煙出てきたんだけど
「きゃっ! 悪魔ですか!? 出るんですね! こんなので!」
こんなのって言ってるし。
魔方陣の真ん中から出てるけど……。何故に?
ぽんっ
と、軽快な音を立てて現れたのは……。
大体幼稚園児か、小学校低学年位の、
真っ黒な和服に身を包んだ、
黒髪の女の子一人と男の子が二人。
体が小きい順に瞳の色は赤、黄、青とゆー、信号みたいな色。
そこにいたのは……。
「死神トリオ!?」
「あ、やっほー忍ねぇ、純にぃ」
何でまたこんなところに!?
……あと、足元で倒れてる老けたサラリーマンみたいな奴は何。
「あれ!? 出てるの!? 出てるの!? わーい!!」
『叫ぶな』
おぉ、純兄と古賀(だっけ?)のツッコミがシンクロ。
……いや、純兄はハリセン出したりしてないけど。
「……それより……何した?」
「なにやらオカルトオタクが悪魔とやらを召喚したかったらしい」
「で、多分これは失敗だねー」
「……はぁ。じゃあ寄付は……」
いや、元からする気なかったし。
「……剣、斬。あれどうする?」
天の指した先には。
なにやら髪を振り乱し、鬼のような形相で、地面を走っていれば砂煙がもうもうと立つであろうスピードでこっちに向かってくる男。
ふっつー……に、怖い。
「お~ま~え~ら~……「成」ぐはっ!?」
あ、見えない壁にぶつかった。
「行くぜらおん! 水龍! 大攻流!!」
龍のような水が……えっと……らおん? に、向かって突き進む!
「え、ちょっ!? ま……がぼっ!?」
あ、流された……。
えー……安らかにお眠りください?
「……なんだったんだ、あれ」
「あ、学校の先生」
『は!?』
いいの!? あんなに先生ぎったんぎったんにしちゃっていいの!?
「じゃ、私達授業の途中だったから」
「まったなー!」
「また、な」
あ、行っちゃった……。
足元に転がっていたサラリーマンの霊を引きずりながら。