82 面倒オカルト部
「あー、いー天気だなー」
「……現実逃避したいのは激しく分かるけど……今、雨降ってっからな」
純兄だってさっき現実逃避してたじゃん。
蜘蛛、もとい雲っていいなーみたいな感じで。
忍です。
さて、何故あたし達が現実逃避しているかというとー……。
「待ってよーっ!! ちょっと協力してくれるだけでいいんだってば!」
「少しだけ、ですから」
「その『少しだけ』がどれくらいかという突っ込みは受け付けないからな」
「……古賀先輩、もう少し協力してくれるような事は言えないんですか?」
っとまぁ。
コレで理解できる人がいるかどうか分からないけど。
オカルト部の四人と、こないだ案内した子……この様子じゃ入ったのかな……。に、追っかけられてるの。
はー、もう最近昼休みの一部はコレで潰れてるんだよね……。
「ねぇっ! 今日だけでいーからー!!」
『叫ぶな超音波!』
すぱこーん
純兄と古賀(だっけ?)のハモりの直後にハリセンの音……。
もう後ろの様子が手に取るように分かるよー。
「とりあえず……せめて、今日だけ」
「昨日も今日だけっつってなかったか……?」
言ってた言ってた。よくいるよね、こういう人。
特に子供とか子供とか子供とか……。
「ほ、本当に今日だけですから! ……ね?」
いや、そんな可愛い顔で『ね?』とか言われても……。
「ヤだと言ったらヤだ」
純兄ってオンナノコに興味持たないよねぇ。一生独身だったらどうしよー。どうもしないが。
「むぅっ。この枝奈のプリチー笑顔に引っかからぬとは! おぬし等なかなかやるな!」
……いや、そう言われても……。
とゆーか誰?
「ちょっ!? 私はそんなつもりは無かったのですけど!?」
「うん、無意識でも可愛い!!」
「あうあう!?」
あー……、何か、後ろが何か訳の分からないことになってる。
「純兄、さっさと撒いちゃお」
「言われんでもやるわボケ」
だよねー。でもボケは無いだろうが。
「なっ!? さらにスピードを上げるとは……。何なんだお前等!!」
いやー、何って、人間ですけど?
古賀、ちょっと小説か漫画の読みすぎじゃない?
「と言う冗談はさておき」
冗談……言うようには見えないんだけどなぁ。
「ちょっと見てくれるだけでいいんですよ!」
『何をだよ』
「あ、やっと話聴いてくれた!」
しまった……。ここは返しちゃいけなかったのか。
「ですからー、悪魔償還しますので償還できてるか『断る』酷い……話くらいちゃんと聴いてくれても……」
おーい、暗いオーラを出すなー!
「ちょっと!」
んむ?
「止まらないと……」
何?
「大声で叫ぶよ!!」
『もう叫んでるだろうが!!』
「えっ!? あっ……もっと大声で叫ぶよ!」
結局。
なんだかんだで鼓膜を破るような音を発する部長に折れ……。
悪魔償還とやらに付き合わされることになったのだった。