78 ちまちま、ちまちまちま
ちまちま、ちまちまちまちまちまちま
「ねーちゃんにーちゃん、そんなちまちまやってて楽しいけ?」
『お前が言うな』
岳だってやってるくせに!
忍でーす、
んとね、あたしはビーズでストラップ作ってて、純兄は……純兄もストラップかな? を、紐で作ってるの。
使わないんだけどね。殆どあげたり放置したり。
岳は何か縫ってるし。
学校の宿題だってさ。
「オレは好きでやってんじゃねーもん。ってかねーちゃんやってよ」
「ヤだ。だって縫い物ってあんまり好きじゃないし、得意じゃないもん」
まーっすぐに並縫いが出来る人って尊敬するよ!
「えー。じゃ、にーちゃん」
「ヤだ。面倒」
「それは面倒じゃねーの!?」
あ、あたしも思った。
紐で何か作るのも面倒なんじゃないかな~。
「いや、これは結び目作るだけだし……。後、針が指に刺さるのはごめんだな」
……そういえば去年縫い物の授業の時何回か刺してたね。
器用なんだか不器用なんだか。
「結び目作るだけって、その結び目むちゃくちゃ多いだろ!?」
「作るものによって違うけど。これは……大体十個くらい」
少なっ。
いや、結び目だけだったらあたしの方が少ないけどさ、三個くらいだし。
だってビーズだよ? 何個も結び目作らないって。
「あれ? 大分前ねーちゃんにあげてたミサンガ? ブレスレット? は異常なほど結んであったけど……」
平結びの奴ね~。結び目は確か三十越してたよ。
パワーストーンつき。効果は魔よけだって。
一昨年貰った時は純兄が持ってた方がいいんじゃないかなーと思ったけど。
「それより岳、それって宿題だよね?」
「へ? うん」
「……一体何を作ってんの?」
もう見た感じじゃサッパリわかんないんだけど。
「……なんだったかなー」
おい!?
もう糸があっちこっち絡まって大変なことになってるんだけど!?
「忍、聞いた所でムダ。岳と器用は無縁以上だから」
「むしろ何処かのねじが吹っ飛んでるって感じだもんね」
うんうん。我ながらしっくり来る。
「待てぇい!! それじゃオレの頭のねじが吹っ飛んでるみてーじゃねーか!」
えー。だれもそんなこと言ってないのに……。
「んじゃあ指の運動神経が切れてるとか?」
「だったら指動かねーだろーが! ってか怖ぇよ!」
あー言えばこー言う。
「じゃあ何て言えば満足する?」
「え? ……えー……って器用じゃないってオレをからかう言葉をオレに考えさせんじゃねーっ!」
『せめてもの情け?』
「そこハモんなーっ!」
いや、だって。
からかうことは確定してるんだもん。