75 オカルト部……と言っていいのだろうか
「めっかんなーい」
見つからないも何も探したのは理科室と体育館裏だけだろうが。
純だ。
前回に引続き『オカルト部』とやらを探している。
「うーん、何処にあるんだろ……。体育館倉庫の中とか?」
体育館の部活の邪魔になるだろうが。
「いっそ片っ端からさがしたらどうだ」
「えー……。面倒だけどそれが一番早いのかな? それでいい?」
「はい。ありがとうございます」
「あれ? 誰か居る?」
三年五組……空き教室で、A教室とか言われてる。
がらっ
「よーこそオカルト部へ!! 皆皆っ! 三人も来たよ!」
……光並のチビだ。
そして超音波並のキンキン声だ。
……って、待て、俺等は見学じゃねぇ。
いや、忍は見学か?
「……え、えっと……」
「この馬鹿。いきなり引かせてどうする」
スパコンッ
え、ハリセン!?
何処から出した!?
さっき見た時には持ってなかったはず……。
「それどっからだした!?」
「どっからって……内ポケットから?」
何故疑問形?
「いや入らないでしょ!?」
「あの、突っ込んじゃ駄目ですよ。
古賀先輩のハリセン……、何処から出てくるかなんて分からないので」
慣れってすげぇな。
いや、何となく思った。
「えっとー、あれ? 部活見学に来た子にって、何を言えばいいのかな?」
おい。
「……活動内容、とかではないですか?」
「おー、なるほど、マコちゃんナイス!」
「ですから……。マコちゃんと呼ばないでくださ「ヤ」」
即否定?
「えっとね……普段はまぁ、殆ど何もしてないに等しいんだけど」
「先輩! イメージ悪くしてどうするんですか!!」
事実なんだろうが。
「たま~に幽霊を引き寄せる術式を書いたりするよ!」
……一年の目が輝いてる……騙されるなよ?
「今それ出来ますか!?」
いきなり大声なんか出すからびっくりした。
「出来るよ! 頼んだハルやん」
「俺回しか!?」
色々な意味でフリーダムな部活だな。
それより前に、これ部活か?
「……あ、ちなみに、部活って勝手に言ってるだけですよ?」
説明どうも。
オタク……というか自由人の集まりか?
「……はい、コレでいいな」
早。
なにやら怪しげな文字の中に火のついたローソクが……って。
「ローソク!? 学校にこんなの持ってきていいの!?」
あぁ、突っ込む手間が省けた。ナイスだ忍。
「大丈夫! 持ってきたわけじゃないから!」
なら何処から。
「……理科準備室から頂戴した」
おい。
「さーそろそろ集まってくるよ! 幽霊さん!」
…………。
三分待った。
「悲しいことに一人も来てねぇな」
「うん」
まぁ、所詮こんなもんだろ。
「忍、気は済んだか?」
「あれ? 純兄待っててくれてたの?」
俺、待ち損か?
三十分くらい無駄にしたな……はぁ。
「ちょーっと待ったぁー!!」
いい加減耳が痛くなってきた。
決めた。こいつのあだ名は超音波だ。
「ねぇねぇねぇ! もしかして君達幽霊見えるの!?」
「見えたら何だ超音波」
ぽん
何故か古賀に肩を叩かれた。
目がいってる。「分かってるな」と。
……迷惑してるんだな、このキンキン声。
「ねぇ入ってよ! たまにでいいから! 臨時でいいから!!」
「だって、頑張れ純兄」
いやテメェもだから。
「あっ! 逃げた!!」
「純兄待ってよー! 逃げることは九割がた予想してたけど!!」
だって……なぁ?
断るのだって面倒だし。
逃げるが勝ち。……いい言葉だなぁ。