63 新クラスは
「あっ、また同じクラスだ!」
「…………またか」
普通兄弟は離されるもんじゃねぇのか?
純だ。
クラス発表の表は目の前にあって。
それを忍と夏と一緒に見てるわけだ。
「あ、俺も一組だ」
「なっくんも? あ、桜もあった! しーちゃんも! あ、清も」
また全員同じかよ……。
清の時だけどうでもいいような言い方なんだな。
「おはよ~!」
「あ、桜ー、同じクラスだよ、一組!」
「本と? 良かった~!」
「よ」
「おはー、しじさな!」
混ぜんなってのに。
「オレ探してくれた?」
「探しては無いけど見つけた。偶然。しーちゃんは探したけど。清は偶然」
そこを強調してやらなくても。
「しーちゃんも清も一組だよ!」
「皆一緒~。転校生君も含めて」
「転 校生?」「転校 生?」
『転校生』を名前にするな。
「あーっ! 夏! お前居たのか!?」
「人を影が薄いみたいに言うな!」
「というのは冗談で」
夏、こけるな。
最初の『しじさな』の最後の『な』はテメェだろうが。
「ね、一組ってことはさ、担任って……」
「……しーちゃん。せっっっかく忘れてたのに思い出させないでくれるかな?」
一年、二年と一組の担任は嫌われてる教師なんだよな……。
嫌われてる理由は忘れたが。
ちなみにその教師、覚えてる人は限りなく少ないと思うが、前に『発音が悪い』って言ってた英語教師な。
「さ~、お祈りの時間で~す。牡蠣野胤先生が担任にならないようお祈りしましょう」
なむなむ。
……俺と夏はしてねぇけど。
「純、柿の種って人の名前か?」
字が違う。
「一応」
めんどくせぇから訂正しねぇけど。
黒板に名前書くときだって長いの何の……と、誰かが言ってた。
しかも自分で自分の名前書き間違えることもあるらしい。
蠣ってややこしいしな。
「無無明亦無無明尽乃至無老至亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得以無所得故……」
「忍、祈るのにはお経要らないの」
「やっぱり? 半分まで来た所でそう思った」
遅っ。
「とゆー訳で、先生のこと知ってるとは思いますがー、転校生も居るので一応自己紹介させてもらうと、牡蠣野胤です。柿の種では無い。いいねー」
結局、忍達の祈り(?)も空しく、担任は柿の種、もとい牡蠣野胤だった。
『ハァ……』
この溜息のシンクロ率すげぇ。