62 台所は罠だらけ?
かちゃかちゃ
「純兄手伝ってくれてもいーのに……」
忍でーす。
今日から小学生達は学校。
おかーさんは今日仕事。
純兄とお留守番中です。
で、おかーさんに頼まれた台所の片付けしてんの。
食器を食器洗浄機に入れて、後はシンクを拭くだけだけどね。
……あ、バターでべったりなバターナイフ発見。
バター流しといたほうがいいよね、これ。
ジャーッ
よし。
……手がべたついたー。
石鹸で洗わないと取れないよねー。
固体石鹸は食器洗いようだから、液体石鹸ー、と。
ピシュッ
「きゃわっ!」
何これ!?
頭押したらこっちに向かって飛んできたよ!?
何の罠!?
「忍? 腐ったみかんでも踏み潰したか?」
「違うよ!」
って言うか何で腐ったみかんなの!?
「純兄、この石鹸の頭、押してみて」
「石鹸? これがどうした?」
ピシュッ
「ぅお」
「わっ!」
またかかったぁ!
「純兄なんで避けるの!?」
って言うか何で避けられたの!?
「いや、普通避けるだろ。予想してたし。テメェも避けたろ? 避け切れなかったみてぇだけど」
む。
確かに避けたけどさ~。顔面直撃だけは避けたよ。
「何で分かったの?」
「テメェの服の肩んとこ。水がかかったみたいな跡がある」
んむぅ。
「ちぇっ。後は……コップだけか」
軽く流して、入れて。食器終わり、と。
「……純兄何?」
視線を感じます。
「いや、背伸びしないと食洗機に届かねぇんだな、と思っただけ」
……どーせあたしはチビだもーん!
純兄の背が高すぎるんだもんだ!
まだまだ成長期だもん、あたし。
あ、食器洗い機の蓋、閉めとかないと。
バタン ガンッドッガシャン!
『!?』
た、たらい!?
たらいが降ってきた!?
あー……、食器洗い機の上においてたから……。
「びっくりしたぁ……」
何の罰ゲーム?
いや、頭に直撃したわけじゃないけど。
「確認しとけよ……。よく置いてあんだから。鍋だったらどうすんだよ」
「純兄が見てくれてもよかったのに」
見えるでしょー?
「……普段からそこに置いてあるもんだから、違和感とか無くて」
ごもっとも。
後はシンク拭くだけかー。
さて、何が見つかるかな?
前やった時にはポッ〇ーを発見したんだよ。
多分……と言うか絶対おかーさんのつまみ食い用。
プスッ
「いった!?」
「今度は何だ」
「剣山!」
「はぁっ!?」
あの生け花とかに使うあれ!
針がいっぱい生えてる奴!
「何でこんな所に……」
「…………あ」
ん?
ゴンッ
「~~ったぁ……」
何か硬いものが頭に直撃……。
「大丈夫か?」
「まな板!? 純兄なんで教えてくれなかったの!?」
「一応当たらないように祈ってはおいた」
「意味ないし! 言ってくれた方がずっといいし!」
しかも一応って。
「気付いた0.01秒後には当たってたからな」
0.01秒の祈りが通じるわけも無いしね。
「に、しても何でこんなに罠だらけなの?」
「……最初のやつ以外は注意してれば避けられたけどな」
…………不注意が原因だ、と?