61 かくれんぼー
「お姉ちゃ~ん~!」
「忍ちゃーん!」
「忍ー!」
探されてます。
何故探されているかというと、もちろんあたしが隠れているからです。
忍です。
光&はーちゃんの妹コンビにより、ツインテールにされてしまった。
で、見られるの恥ずかしくて逃げ回ってる……と言うか隠れ回ってるというか。
だって絶対似合ってないもん!
さて問題です。
あたしは今どこに隠れているでしょーか?
「しーのーぶー、隠れる事ねぇじゃん!」
一旦隠れたら出て行きたくなくなる。何故?
「あ~、ここじゃないかな~」
ぎく。
外から声が。
ぱか
……ぱか? クローゼット?
小学の時クローゼットに隠れたこともあったな~。
あそこは見つかりにくかった。
中でやたらリアルなパンダのぬいぐるみを見つけてびっくりしたな……。
しかもそれがおとーさんがおじーちゃんに貰った中国土産って聞いたときは“あいた口がふさがらない”を実行しちゃったな。
「居ないみたい」
「テレビの裏は? よく隠れてたろ?」
……もう入れないよ。
「おぉ~! それがあったか~!」
「行くよひーちゃん!」
「お~!」
……よし。リビング行ったな?
あたしが隠れてるのは和室だからちょっと安心。
がらがらっ
「忍ー、ここだろ」
ぎっくぅっ
うわーあ、開いた! 開いた!
あたしの居る所の扉が開いた!
「……あれ、居ない……。ぜってぇここだと思ったのに」ぱたむ
……ほ。
見つからなかった……。
「お兄ちゃん、居なかったよ!」
「んー……何処行ったぁ?」
そー簡単に見つけられると思うなー!
なんたって……
「ちっちゃい時から探すのは下手なくせに隠れるのは虫並に上手いからなぁ……」
余計な一言が入ったよ!?
しかもそのたとえ何!? なんで虫!?
「何やってんだ、テメェ等」
……ぅげ。
「あ、純! お前も探すの手伝え!」
「主語を入れろ。何を探すか分かんねぇのにどうやって探せと?」
「ツインテールなお姉ちゃんだよ~」
光……ツインテールは余計だ。
「……ツインなんたらは置いといて、忍を探せばいいんだな?」
純兄、まさかツインテール知らない?
二つ結びだよー。って、聞こえないか。
「そうそう、それでしっかりからかってやろうという訳だ」
昨日の仕返し!?
それが分かってたから隠れてるんだよ! 恥ずかしいのもあるけど!
「あ、そ」
うぅ……純兄の足音が遠ざかって行く……。
ん? 遠ざかって行く? 助かった!
今のうちにちょっと移動……。
「いなかったね~」
え、ちょ、早いよ!? 10秒経ってないよ!?
あぅ……今度は足音が近づいて……!
がらがらっ
きゃー! 再び開いたー!
「純、そこはもう探したぜ?」
よし、いいぞなっくん! そのまま純兄を別の所に……。
「ひゃぅっ!」
足首摑まれたぁ~!
「……聞こえたか?」
『聞こえた(~)!』
あぁ~……純兄絶対にやけてる。声がそんな感じだった!
「忍、居んだろ? 出ろ」
命令形ですかー?
「出ねぇと……」
痛い痛い痛い痛い! 手に力入れないで!
「分かったよ! もぉ!」
「牛~?」
違う!
「おぉ、本当にツインテールだ」
「でもよく崩れなかったね。布団に潜ってたのに」
あたしが隠れてたのは押入れの布団の中。
分かった人!
……じゃなくて、恥ずかしいよ~!
「へぇ、似あってんじゃねぇか」
純兄からそんな言葉が飛び出すとは夢のまた夢のまた夢のまた夢にも思わなかった。
「餓鬼っぽくてよ」
「純兄酷い!」
おおいに予想してたけど!
「たーいまっ!」
「あ~、岳お兄ちゃんだ~」
うわー、岳来るなー!
「あれ、ねーちゃんどしたのそれ」
思ったそばから!
「もー、恥ずかしいんだから来ないでよぅ」
「え? 忍恥ずいのそれ」
「なっくん、やってみる?」
ちっちゃくて角みたいな奴なら出来るんじゃない?
「結構です」
「…………なー」
なんだよ岳。
「んなに恥ずかしいんなら解けば良かったんじゃねーの?」
「…………あ゛」
しまったああああああああああ!!