6 調理開始! 切りましょう
「たーいまー」
「お帰りぃっ!! 待ってたぜねーちゃんっ!!」
「のわっ!?」
忍です!
あ~、びっくりした。
いっつも出迎えてこない岳がロケット並みのスピードで走ってきたんだもん。
「どったの?」
「ひ……光が……光がカレーを作ろうとしてるんだッ!!」
………………。
「ウソッ!?」
「嘘ついてどーすんだホントだよッ!!」
まずい……早く止めないと今日の夕飯が悲惨なことに!!
「光!」
「あ~、お帰り~、お姉ちゃん~」
良かった……まだじゃがいもの皮剥いてるだけだった。
「帰ったか……」
純兄もちょっと安心したって顔してるね。
えーっと、確かカレーを作ろうとしてるって言ってたっけ?
カレーくらいならレシピなくても多分大丈夫!
……多分!
で、どんな変な材料を用意してんのかな、光は……。
にんじん、玉ねぎ、じゃがいも、カレールー、離乳食……。
「離乳食!?」
「ほら~、疾風くんの忘れ物だよ~」
疾風っていうのはあたし達の従弟ね。
去年の5月に生まれたからまだ0歳。
正月の時に来てたからその時のかな、この離乳食は。
「にーちゃん……変なものは取り除いたんじゃ……?」
「大丈夫だろ、離乳食くらい」
「はいはい、役に立たない男子共は行った行った」
とりあえず台所から追い出す。
狭かったんだもん。
「ちょっ! 光は含まれねーの!? 何で!?」
「光は包丁使ったりは上手いもん」
「なるほど」
納得するんだ?
「ちゃんと光見張っとけよ……」
「まかしとけー」
「あ~!」
「どったの光」
「お米とぐの忘れてた~!」
なんだ。何かあったのかと思ってびっくりしちゃったじゃんか。
何かあるっちゃあるけど。
「はいはい、あたしとぐよ。
光はそっちやってて」
「……にーちゃん」
「あ?」
「ねーちゃんに光の見張り頼んで大丈夫なのかっ!?」
「…………多分」
「………………。
オレたちも見張っとこーぜ?」
「そうだな……」
とんとんとんとんとん……
「光、おじゃが切れた?」
「切れたよ~」
「ん、じゃぁ水にさらしといて」
「は~い」
うん、今の所大丈夫。
「え~と~……お姉ちゃ~ん」
「何?」
「玉ねぎやって~」
絶対ヤダ。
というわけにもいかないんで、渡された玉ねぎを黙って冷蔵庫にしまっとく。
「ほら、にんじん先やろ」
「うん~」
そんなこんなしている内に米とげた。
えーと次は……あ、肉切っとかないと。
……って。
「なぜにミンチ!?」
「だってこれなら切る必要ないでしょ~」
……確かに?じゃ、これでいいか。
「……にーちゃん?」
「悪ぃ、全部は調べられなかった」
「……さて、玉ねぎ(敵)のとーじょーだ」
「わ~い!!」
「え、喜ぶ?」
「うぇぇ~ん~」
泣けと言ってる訳じゃないんだけど。
まぁとりあえず、一旦冷蔵庫に入れたから大丈夫でしょ、という思考で行こう。
とん、とん、とん、
……やっぱしみるぅ~。
「お姉ちゃん~、貸して~」
「え?」
後ろにはゴーグルをつけた光。
「んなもんあるなら最初っから出せよ!?」
「あはは~、忘れてた~」
酷い。
「というわけで~、私やるね~」
「はいよ」
ざくざくざくざくざくざくっ!
おぉ、なかなかのスピード~。
の前に、
「何そんなに細かくしてんの!?」
みじん切りどころじゃないし!
と、いうか家では(他のトコは知らない)玉ねぎはくし切りなんだけど?
光……玉ねぎに何の恨みが!?
「だっていっつもはカレーの中の玉ねぎとけてるもん~。
だから出来るだけ細かくしてるのかな~って思ったんだけど~」
……ま、いいや。やっちゃったもんはしょーがない。
まだまだ先は長い、ね。
カレーの作りかたはうち流でやっております。
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