表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
三月も暴走中
53/410

53 コンビ二にて

「なっくん何で鉛筆なの? シャーペンの方が楽じゃない?」

「どーせすぐ失くすから」

「失くすなよ」

 純だ。

 夏が引越の時に文房具を失くしたとか言うから、自分のシャー芯買うついでに案内をしている。

 夏は異常なまでに物を失くすし、探すのも下手だから二年の一年間で消しゴムは14個、鉛筆は19本失くしたとか。

 ……小学の時は精々一年に十個以内だったのに。

「あれ~、忍に純くんと……誰かさんだ~」

「あ、桜!」

「俺は誰かさん呼ばわりかー……」

 桜からしたら完全に誰かさんだろうが。

「桜も文房具買いに?」

「ううん~、お母さんにお使い頼まれちゃって。賞味期限切れ直前のものとか買いに来たんだ~」

 賞味期限切れ直前って。

「あ、ところで~、その後ろの誰かさんだぁれ?」

「なっくんだよ。山口に住んでた時のお隣さん。で、何故か今もお隣さん」

「へぇ~、じゃあ学校で会えるのかな?」

 会わなくていいと思う。

「……なっくん、水中だよね?」

「水中? あ、水ヶ丘中の略か。うん」

「分かった~、じゃあまたね~」

「うん、じゃね」

「……可愛いだな、純?」

 何故そこで俺にふる。

「で? だから何だ」

「学校の友達だろ? 今の。何か親しそうだった」

「俺は一言も喋ってないんだが」

「最初に純って名前で呼んでたよなー」

 だから何なんだ、ってのに。

「あれ、忍に純じゃん。何してんの?」

「あ、しーちゃん。見ての通り買物でーす」

「……そっちの純を問い詰めてるっぽいのは?」

「なっくん。別に問い詰めてる訳じゃないと思うよ、多分(きっと、恐らく)」

 きっと、恐らくって聞こえてるんだけど。

「しーちゃんは? 何か買いに来たの?」

「いや、あたしは母さんに弁当持ってきただけ。今朝忘れて行ったから」

「そっか~、しーちゃんのおかーさんここで働いてたね」

「そゆこと、じゃな」

「ばいばーい」

 ……この調子だと清まで来そうだな。

 ま、それはねぇか。

「純……今度は呼び捨てだったなー」

「さっきから何なんだ。意味分かんねぇ」

「友達か?」

「ん、まぁな」

 忍の、の方が正しいけど。

「…………お前さー、男の友達居ねぇの?」

 何でそうなる。

「居るっちゃ居るけど」

 五月蝿いのが。

「よーっ! じゅしの!」

 ……出た。

「毎回毎回混ぜるな」

「何だー? 混ぜるな危険? 洗剤じゃねーんだからいーじゃん」

 理由が訳分からん。

「およ、その後ろのは?」

「夏。前に住んでた所で隣だったんだけど……何故かまた隣に引越してきた奴」

 偶然とは思えねぇんだけどな、正直。

「へーっ、オレは清っつーんだ、よろしくな、夏!」

「あ、よろしく。……純、お前友達居たんだな」

 どういう意味だ。

「あ、ところでさ、篠知らね? アイツ弁当の箸忘れて行きやがってさー……一応篠の母ちゃんには届けたけど」

「篠? さっきここに居たよ?」

「えーっ、まさかのすれ違い!? ちぇっ、何かおごらせようと思ったのに」

 汚ねぇ奴だ。

「それ位で篠は奢ったりしねぇと思うけど」

「二十五回目なんだよ! そんだけやったら流石に……」

「二十五回目!? そんなに忘れてったんだな……」

 ……お前はそれ以上に物を失くしてると思うけど?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ