51 たまたま
すぱんっぽんっこんっとんっととと……
忍でーす。
今天と剣がスーパーボールで遊んでるのを見物中。
「すげーっ、めちゃくちゃ跳ねる!」
君が床にボールを叩きつける力はハンパなかったからねぇ。
「よしっ、もう一回!」
すぱんっぼんっかんっとんっぱすっこんっがちゃ
「あ、純兄ー」
「……何してんだ」
えー?
スーパーボールに当らないように本棚の上に乗ってるだけなんだけど。
「何かおかしい?」
「下りろ。つぶれたらどうする」
「ひどい。そこまで重くない!」
「重さが全く無いとでも?」
それじゃ幽霊だよ。
「あっ! じゅぅにぃ危ない」
「ん?」
あ、スーパーボールが純兄の後頭部に……
当らなかった。
変わりに純兄の横をすり抜けてこっちに……って!
こんっ
「いたっ」
意外と痛い、スーパーボールの直撃。
「んなトコに乗ってなかったら避けられたかもな」
「うー」
「しぃねぇ、ごめん」
うんうん、今のは天が投げた奴だったんだねー。
剣だったらこれよりも強いのかー。
「やーい、ノーコン、ノーコン」
「ん?」
「……何でも無いでーす」
天、怖い。
だってね、だってね。
にぃっこり笑って大鎌構えてたんだよ!?
恐怖以外の何者でもないよ!
漫画や小説じゃありふれてるけど本気で怖いよ!?
「あ、こんな球発見」
あんな恐怖の笑みした後に元に戻られてもやっぱりさっきの恐怖の方が勝るねー。
ちなみに天が見つけたのはピンポン玉。
何故あるのかは不明。
「剣」
「ははははいっ!? な~んでございましょう天おねーさま!?」
剣ぃそれで男かー。
おねーさまて……。
あ、そか。天は剣よか年上だったっけ。
「てい」
ちょっと待て! そのラケット何処から出した!?
しかも何故テニスラケット!?
「あれはバトミントンのラケットだと思うけど」
うっ。ちょっと間違えただけだい。
「いたっ」
あ、打たれたピン球が剣の眉間に直撃。
「んにゃろ何すんだ!」
「しかえし」
「んじゃーオレは……てぇっ」
野球ボール……硬式の。
どっから持ってきた!?
って言うかピン球の仕返しでそれってつり合わないよ!
ぴきぴきぴきっ
……こおたー。
「お帰り、斬」
「……ただいま」
ちなみに、さっきまで斬は薬草取りに行ってました。
「あら~お帰り~、斬くん♪ 何とって来たの~?」
「……ナズナとか土筆とか……たんぽぽもあった」
訂正。野草取りだ。
「あらあら~、助かるわ~」
……今日の晩ご飯は野草の天ぷらに土筆の味噌汁かな?
「……何、してた」
「えーっと……球の投げ&打ち合い?」
「……こんなの落ちてた」
『…………』
斬が出したもの。
ボーリングの球。
何処にあった!? そして何処に持っていた!?