48 おみまい
「大丈夫なの~?」
「だいじょーぶだいじょーぶ」
「…………斬」
「……?」
「何でこうなったんだっけか?」
純だ。
桜篠清が忍の見舞いに来てんだけど……。
まぁ、悪いこととは言わない。ただ、
忍はインフルだったんだよな……。
「……えと……」
30分前。
プルルルルル……プルルルルル……
「はい高や「純君? 忍、大丈夫なの!?」」
「インフルだってよ」
「え~っ!? インフル!? A? B? AB? それともO!?」
血液型じゃねぇから。
「Bだったと思う」
「そっか~! わたしお見舞い行くね!!」
「ちょっ、おい……」ぷつっ、つー、つー、つー……。
現在。
……それでなんで篠に清というオマケがついて来る?
答えは簡単。桜がしっかりそっちにも連絡したからだ。
「忍~、ポ〇リ飲む?」
「え、あ、ありがと……それよりさ、うつっちゃうよ?」
それは玄関先で言ったんだけどな……。
「大丈夫! わたしは年明け早々罹っちゃったから~。あはは~」
「あたしは去年の12月に」
「オレは馬鹿だからぜってぇ罹りっこねぇ!!」
……って絶対引こうとしねぇ。
「……清、残念なお知らせ」
「うん?」
「馬鹿が罹らないのはね……風邪なんだよ」
…………。
馬鹿でも風邪位なると思う。
「………………大丈夫!! オレはそー簡単に病気に罹らねーぞ!!」
じゃあ最初の間は何だっつーんだ。
「……じゅーにぃ、馬鹿は風邪引かないなら俺と天も馬鹿になるんだけど」
「お前等は別だから安心しとけ」
剣が入ってなかったのは……まぁ、いいか。
「純兄インフルまだだったよねー。うつるよ? 清も」
「ほっとけ」「だからそー簡単にうつらねーって!!」
一応マスクはしてる。
「うつすよ?」
『止めんか(!!)』
わざわざうつそうとしてどうする。
「けほけほけほけほけほけほ」
『本気でするな!!』
「いいぞー忍ー」
「篠~、煽っちゃだめだよ。もっとやれ~」
止めるか煽るかどっちかにしやがれ。
「あ、そうだ。お見舞いでリンゴ持ってきた」
「おぉっ! 流石しーちゃん! 食べていい?」かぷ
「いいけど食べた後で言うな」
もっともだ。
「……紙の味がするよこのリンゴ」
「そりゃー」
「マスクの上から食べたら……ね~?」
漫画じゃあるまいし……。本気かわざとか。
「あ、そか」
「……本気だったの?」
「まっさかー」
ぐさっ
そんな音が聞こえた。
「え、本気だった?」
「………………ぅん」もっしゃもっしゃもっしゃもっしゃ
えーっと……やけ食いか?
「ごめんね~、忍~」
「や、いーよいーよ気にしてないから」はもはもはもはも
忍、それヘタ。
「ええっと……ごめん?」
「いーよいーよいーよいーよ」がりがりがりがり
忍、それ種。
「なんてね♪」
『おいっ』
「めーえんぎでしょ。……種マズっ」
「お前なー」
「そー簡単にあたしが傷つく訳がない! スルー力は自信あるよ?」
なんつー奴だ。
「このリンゴおいしーねー。何処で買ったの?」
「あそこ」
「どこさ」
「あそこ「どこさ」あそこ「どこさ」あそこ」
「純、純」
「あん?」
しゃがみながら服を引っ張らないで欲しい。
「ほんとーに、忍は病人なのか?」
「一応な」
病気になっても食欲あるし、喋るし動くし。
……何処が病人だよ。
「うーん……ひょっとして、オレ等安眠妨害中?」
「ぜってぇ違う」
忍が病気になって昼間に寝たことなんて見たことねぇ。
「でもま、大声が頭には響くかもな? ついでに言うとお前うつるから帰れ」
「オレだけか!?」
「いや、あの二人も帰るよう言うけど」
「わーったよー。おーい? しのさく帰んぞー」
混ぜるか……。
つかお前が言うのかよ。
「え?」「何で~?」
「悪化させたら後味わりーだろ、治ってから来ようぜ」
妹を説得する兄かお前は。
『それ見舞いって言わない』
……違うか。説得できてねぇ。
「………………と、とにかくっ!忍は本とは安静にしとかなきゃいけねーんだから「えー」忍|《お前》が言うな!安静にしとけよ!!」
ぜんっぜん話が進まねぇ。
「分かったよー。ありがとーね?」
「へっ? あ、ん。ほら行くぞさくしの」
「順番が変わってる~」
「どーでもいーだろーがそこは!」
しのさくの方が言いやすそうだったんだけどな。
「お邪魔しました~」
「治ったら電話してよ」
「はーい。ありがとねー」
「ちゃんと安静にしてろよー」
……って言ってもらったっつーのに。
「何でゲームなんかしてんだテメェは」
「暇なんだもん」
今流行のインフル、皆様お気を付けください。
流行には疎いのに流行のインフルな呪理阿でした~……。