47 熱があるようです
「うー、熱い、寒い、熱い寒い熱い寒い熱い」
「どっちだよ」
忍でぇす。
今は二時間目、英語の時間。
授業を聞く気は欠片も無いので黒板に書いてあることをプリントに丸写ししながら落書きという名内職中。
で、最初に言ったようなことをぶつぶつ言ってたら隣の純兄に突っ込まれた、という訳。
だって熱くて寒いんだもん。えーっと、ぬるい? 違うなぁ……。
「あれ~? 忍、顔赤くない?」
きっと暖房が効きすぎてるんだ。エコ温度は18℃ですよー?
「ちょっと忍、じっとしてろ」
純兄ー、手、つべたいんだってば。
「あっつ」
「え、風邪か? 保健室行った方がいいんじゃねーの?」
「分かったよぅ。英語終わったら行くー」
暇だから今すぐ行きたいんだけどねー。
「そこー、五月蝿い」
『はーい』
『五月蝿い』と、いう奴の声が一番デカイ。
まさにその通りだよね。
……先生だから当然なのか。
「と、いう訳で今日はここまでー」
どういう訳でだろう。聞いてたら分かったのかな。
「きりーつ、れーい、さよーなら」
「さよなら違う!!」
ナイス突っ込み、誰かさん。
「じゃ、忍を保健室へ連行しよう」
しーちゃん、連行違う。
『うわぁ』
保健室、満員。殆ど二年。
まぁ三年は卒業した後だけど。
「えーと、付き添いの人は戻ってー。ややっこしいから」
「え~。じゃぁね~、忍」
『え~』言った割に行くの早いな桜!
「えー……高山さん、二組だっけ?」
「三組です」
「あ、そうそう四組」
「三組ですってば!!」
疲れてんのかなー、先生。
「……はい、熱測っといてね」
この体温計、音でるのかなー?
ほら、体温計って音出る奴と出ない奴あるじゃん。
ややっこしいよね。
「せんせー、俺帰る。早退。吐きそう。朝吐いたし」
「はいはい、体温測ってからね」
あ、あれは……こないだ水谷をいじめてたクラスメートAだ。
「……頑張って体温上げよ」
聞こえてるよー、独り言。仮病なんだね?
「あれ、お前も帰んの?」
……いや、まだ体温測ってる途中だから。分かんないから。
でもさっき37℃越してたんだよねー。
「多分?」
「ふぅん」
……体温測ってるときほど暇な時間はない。
動いちゃいけないし。ついでに話し相手いないし。
保健室にいる人数でも数えてよっかなー。1、2、3、4……。
15人。多っ。
ぴぴぴぴっ、ぴぴぴぴっ、ぴぴぴぴっ
あ、これ鳴る奴だったんだーって、
38.6℃……。高っ!?
「せんせー、鳴りましたー」
「はいはいー? ……お母さん今日居る?」
「多分、きっと、恐らく?」
「…………。連絡するからちょっと待っててね」
ちょっとってどれ位?
まーいっか。
「体温測ってる人意外教室かえりなさーい」
きーんこーんかーんこーん……
あれ、ぶーちゃ……もとい東田先生。
一組は三時間目国語って聞いたんだけどなー。
え、だれから? それは秘密です。
「あ、チッ」
あ、A、思うように上げられなかったんだ。
「高山さーん。迎えに来てくれるらしいからね、荷物持って下りておいでー」
「はーい」
で、かばんの中に筆箱とか入れてたら清やら何故かAに吃驚されましたとさ。
……どーゆー意味だろう。