46 金魚ちゃん金魚ちゃん
じぃ―――――ッ
びちびちびちびちびちびちびち
……なんだろ。
微笑ましいのか惨たらしいのか……どう反応したらいいの?
忍です。
死神トリオがね、現在進行形で家の金魚の観察してるんだけど、
天が金魚の尻尾つまんで逆さ吊りにしてるんだよね……。
しかもその金魚から見えるであろう位置には剣の操る水の球が。
「はーらほーら、水だぜー」
びちびちびちびちびちびちびちびちびちっ!!
「…………えさ」
びッチビッちびっちびっちびっちびっちびっちびっち!!
剣、水を金魚に近づけたり離したりって何のいじめ!?
しかも斬がエサ投げ入れてさらに誘惑してるし……。
「んみゃぁ、んみゃぁ(しのぶちゃ、しのぶちゃ)」
「あれ? クロ。なぁーん(どしたのー?)」
クロって言うのは近所の人が飼ってる猫ね。
クロなのに白猫。ウケ狙いでつけたらしい。
「ふなぁぁん(あれ食べてい?)」
「みゃ(ダメ)」
減ったらおとーさんが悲しむから。
主に世話してるのおとーさんなんだよね。
「んみゃーあ、んにゃーあ(あれしてたら死んじゃううけ?)」
最後の一文字を言わないのはクロの口癖、と言うかマイブームらしい。
「…………」
……さて、言い返せない。
「みーにゃーん(多分死ぬ前に戻すから大丈夫)」
多分、きっと、恐らく。……戻す、よね?
「天、死にそーになってるぜ!」
「ん? あ゛」
大丈夫、だよね!? て言うか大丈夫であってくれ!
「成、癒」
あ、治しちゃった。
……便利だなぁ結界。もう使いこなしてるし。
「はい、ぽちゃん」ぽちゃん
「……みゅぅぅ(はぁぁ)」
クロ、溜息を吐くな。
そんなに食べたいんならお祭りにでも行っといでよ。
今は無いけど。
「えいっ、えいっ」ばしゃっばしゃっ
「んみゃぁ、ふーなーぁん(しのぶちゃ、次やろうとしてるけ?)」
「……よし」
庭の隅に転がってたプラスチックの小皿に、
水槽の水入れて。
「み、みゃん(はい、金魚水)」
一緒にメダカも入れてるからなー。
金魚メダカ水の方が正しいかも。
まぁ、最近水槽洗ってないからきっといい出汁が出てるはず。
ぺろっ
「ふみゃーお(ふぅーむ……)」
一舐めする度に唸らなくても……。
どこの料理評論家なの君は。
「みゃーみゅーなぅん? (金魚メダカタニシ藻炭水な?)」
……君、本とに料理評論家だったりしない!?
細かすぎるよ!
「ふぅぅううううう……」
うん? どしたの急に唸りだして?
かさかさかさかさかさかさ……
あ、ゴキさん。
水槽に向かっております。
ぽちゃん、じたばたじたばた
落ちました。
あ、家で一番大っきい金魚が近づいて……。
あぐっ
『……食った……』
「クロ、みーにゃーふなぁぁん(あのでかい奴食べる?)」
「に、に、に、みーにゅあー(いい、いい、いい、クロさんゴキは嫌いな)」
あ、逃げちゃった。
「……解剖、いい?」
「確かにどうなってるか気になる……」
止めんかぁああああっ!!