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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
三月も暴走中
42/410

42 ガキな忍

「……あれ」

「どうした?」

「上靴そーしつ。宝探しゲームかな」

 ……いや、絶対違う。

 いじめの定番中の定番、靴隠しだろ。

 純だ。

 今は大体8時。

 朝練の無い部活、または帰宅部にとっては来るには早い時間だと思う。

 ……俺等は帰宅部だけど、いつもこの時間に来ている。

「純兄、探さないでね? あたし一人で見つけてやるんだから……って、あった!?」

 見つかるの早いな。

 靴箱の、普段使われていない一番下の段。

「もーちょっと手ごたえあってもいいのに……ねぇ? 純兄」

「……やせ我慢なんだかポジティブ過ぎるんだか」

「何でやせ我慢が出てくるの?」

「……はぁ」

 ……地味に、傷ついてる?

 演技は上手いけど……分かりやすい。

 こてん、と首をかしげるのは一瞬だけ。

 すぐに階段へ向かった。

「じゅーんにー、早くしないとのしかかるよ?」

「やめろ。別に重くねぇけど。チビだから」

「酷いな、あたしは大体真ん中らへんだよ。多分」

 確か150ちょっとだった。



「おはよ~」

「あ、おっはよー、さーちゃん♪」

 ぎゅむ

「……純? 忍どうしたんだ!?」

「清、どーゆー意味?」

 清を睨みつける忍。

 地獄耳だな……人のこと言えねぇけど。

「でもどうしたの~? 急に抱きついてきたりして……」

「だって寒かったんだもん。昨日も雪降ったしさ」

「大丈夫、今日は昨日よりは暖かくなるって天気予報で言ってたから」

「あ、そうなの?」

 天気予報くらい見ろよ……。

 朝ちゃんとテレビついてたろ。

 いつもの事だけど。忍がテレビ見ないのとか、テレビがついてるのとか。

「昼はね」

「えー、午前中は寒いの? じゃあ体育(三時間目)ん時もくっつくよ、さーちゃん」

 お前はいつから抱きつき魔になった

 あと何故桜の呼び方が変わってる?

「あはは~、今日はわたしがくっついちゃおうかな?」

「やだな、くっつきに入ったたほうが暖かいんだよ、あたしが」

 自己中……。

「なー純、やっぱり忍がガキっぽくなってる」

「あ? いつもだろ」

「いや……いつにも増してと言うか」

「そういう気分なんだろ、あいつの性格なんて相手と気分で変わるから」

 これが普通だと思うけど。

「へぇ? ふーん、ま、いっか」

 忍が気がつかせないようにしてるんだから、適当にはぐらかしておく。

 下手に忍の内面に手を突っ込んでみろ。

 忍のスルースキル(?)が上手く作動しなくなる。

 ほおっておくのが一番いい。

 勝手に元に戻るから。

 ……つまり、忘れる

 普通こんなのを簡単に忘れる奴なんて居ないんだろうけどな……。

「忍~、何でわたしばっかりなの? 篠居るじゃない~」

「さーちゃんに嫌われたぁ」

「そういう意味じゃなくて!」

 内面を出さない代わりか、いつもより絡む。

 桜と篠は、それを分かっているみたいだった。

「しーちゃんはねー、さーちゃんより筋肉あるんだよ。さーちゃんは柔らかいんだもん」

「悪かったな」

「やだな、誰も悪いなんて言って無いのに。怒らないで?」

「はいはい」

「適当に流さないでよ! しーちゃん冷たーい」

「ほっとけ」

「はーい」

 訂正。ガキになる。

 まぁ、長くて半日くれぇだけどな。

 それまでは、二人に頑張ってもらうか。

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