41 いじめというのがあったらしい
「おい、死ねよお前ぇ」
その瞬間、まさに空気が凍りついた。
……あたし達五人の周りだけだけど。
忍です。
今日も今日とて休み時間、あたし、桜、篠、純兄、清は集まって話したりなんたりしてました。
そこに……えーっと……クラスメートAがやって参りまして、純兄の席の後ろ、……確か水谷亮とか言ったっけ。
に、最初の台詞を言ったわけ。
水谷は異常なまでに大人しい……と言うか無口な人なんだよ。
ちょっと質問、これっていじめに入りますか?
あたしは入ると思います。
「おい、コイツがテメー等になんかしたのかよ? なんでいきなり死ねなんだよ」
お、清が反論。珍しすぎるほど男前だぞー。
「あん? ひゃっははは! おい、コイツこんなことにマジギレしてるぜ!」
「馬鹿だろ。こんなのにいちいちキレんのか?」
あ~、殴りてぇ。
殴っちゃっていいよね?
うん、良いということにしよっと。
どかっ
「~っつ! あんだよっ、死ねよ!?」
「死ねと言われて死ぬ奴なんていないよ」
「ほんと~、そんなの居たら会ってみたいよぉ」
桜が参戦!
「どーだかな! いじめで自殺する奴とか居るらしいし。それって死ねって言われたっつー事だよな!?」
「忍が言ってるのは『死ね』と言われた時点で死ぬ奴だと思うけど」
ぴーんぽーん。さすがしーちゃん。分かってるぅ~。
言葉は凶器、確かにそれで心が傷つくことあるだろうけど言われてその瞬間ショック死する人なんて居ないんじゃない?
「……ちっ、屁理屈こねやがって……」
おぉ~、引き上げてく。
ふふん、屁理屈は強し!
「おぼえてろよ?」
「いいえ、忘れます。誰かさん?」
クラスメートの名前さえマトモに覚えない奴がそんなこと覚えるわけが無いでしょ?
それにしても……『おぼえてろよ』って雑魚の捨て台詞多い順に並べてベスト3に入るくらいベタな捨て台詞だよねー。
初めて本とに言う人見たよ。
「…………どうも」
……あ、水谷のこと綺麗サッパリ忘れてた。
「どーいたしまして!」
「清、アンタ最初しか参戦してなかったでしょ」
「ばれたか」
ばれるも何も。
「……ほっといてくれた方が良かったのに……」
聞こえてるよ?
「おい、テメェどういう意味だよ?」
あ、純兄参加。
「……! ……だって、巻き込まれるだろ……」
ねー水谷、今びっくりしたけど普通に聞き取れる範囲内の独り言だったからね?
「巻き込まれる~? 何に、何で、どういう理由で?」
「桜、何でとどういう理由では同じ」
「あ……このほうが、テンポいいでしょ!」
最初の『あ』って聞こえてたって。
「……いじめ。反論なんかして……おれの見方なんかするから」
「やだな、あたしは見方するつもりでやったんじゃないんだけど。何かあいつ等ムカついたんだもん」
「………………変な奴」
変な奴ってどーゆー意味だ。
いや、あたしが変な奴ってのは知ってるよ(開き直り?)
ここで言う変な奴ってどーゆー意味なんだって思って。
「水谷、これは元が何か歪んでるからそれでいいんだ。逆にマトモになったら怖ぇ」
「やーい、歪んだ奴の兄貴ー」
「……ほらな」
「…………分かっ……た?」
これでいいのかって顔してるんだけど、純兄?
「あっ!」
「五月蝿い」
「ちょ!? 篠それはねーだろ!」
しーちゃんナイス。
「で、どうしたのぉ~?」
「あぁ、桜は優しい……癒し「聞かなきゃ良かった」ちょっ!?」
ばこっ
「さっさと話せ」
「純くんのチョップ、見事に脳天に決まりました!」
桜の実況は癖なの?
「あー、実はな、修学旅行の民泊グループあるじゃん? 4,5人のグループのやつ」
「もう提出の締め切り過ぎてるけど。三日くらい前に」
あたしはもちろんしーちゃんと桜……後もう一人は現在進行形で不登校の人とだよ。
『で?』
「オレ等まだ三人しか決まってねー訳よ、水谷入らねー? 決まってなかったらだけど」
あー……そーゆー事ね。
……清と純兄とも一人誰?
ま、そのうち分かるか。
「どーする?」
「……それでいいよ……(先生に頼まれたかしたのかも知れないけど……)」
何か今何か言いたそうな顔してたけど?
ま、いっか。