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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、弥生ば暴走
406/410

406 報告しましょ

 ねぇ、あたしってさ、呑気?

 ……と、聞いたら大抵の人は首を盾に振るんだけどさ。

 質問を変えよう。

 合格発表待ってる時間ってさ、緊張するモン?

 ……少なくとも漫画じゃ一人残らず緊張してた。

 忍でーす。

 今日は公立一般入試の結果発表、もとい合格発表です。なので第二水ヶ丘高等学校、略して第二水高に来ています。

 誰とも一緒に来てないもんだから、所々固まって話してる子達が居る中にぽつんと一人。

 うーん、悲しい子? いやいや、そしたらこの場に五人くらい居るからね。悲しい子だらけになっちゃうよ。

「皆さーん、こちらへどうぞー」

 発表? 行こ行こ。

 ……あ、今皆に呼びかけた人、後ろから見たら結構禿げてる……いやいや、緊張感無さ過ぎやしないかあたし。

 おー、張り出されてる。ええと?

『Ⅰ類合格者』

 これじゃない。同じのが三枚あって、その奥にⅡ類のが張り出されてた。

 えぇとー、あたしの番号と同じのは…………ちょっと緊張してきたかも。心臓の音が二回くらいでっかく聞こえた、けど。

「キャー! 受かったぁー!」

 という田中さんの声が聞こえた瞬間、急に聞こえなくなった。

 ……あの、なんといいますか、『田中さん受かってるくらいだから受かってるわ』って感じで。ごめん、田中さん。でもちゃんとあたしの番号もあったよ。よかったよかった。

 ……私立受けたの無駄になったなー。受験料ー。あぁ、勿体ない……後悔終わり。

 この後は? 書類受け取って、中学校に報告か。あぁでも、学校から点数聞いて来いって言われてるんだった。

 と、言うわけで、まずは書類を受け取ります。鞄に入りませんでした。……ショック。手に持たなきゃいけないじゃん。学校行く前に家に置いてこう。

 点数を聞きに行って、数学と社会が同じ点数、しかもそれより英語の方が点数低い、という、あたしにしては結構珍しい点数をメモって、帰りました。書類はとりあえずおかーさんへ。

 さー、学校行こう。……第二水高に比べると、遠いけどっ!

「あ、十川くんだ」

 学校の校門に入った所で、昇降口から出てきた十川くんに出会いました。

「あぁ、高山さん。受かった?」

「もちろん。そっちは?」

「憂かった」

「よかったねー。おめでと」

「ありがとう。そっちこそ、おめでとう」

「ありがとー」

 微笑が爽やかー。周りに居ないタイプの人だ。

 十川と別れて昇降口へ。元担任の先生四人がスタンバってる。柿ピーが居ないけど。代わりに池中先生が。授業行ってんのかな?

「こっち来て、報告」

 池中先生のところ行ったらいいんだよね?

 靴脱いで、先生の前なんで手できっちりそろえて、池中先生のとこへ。

「流石」

「ん?」

 何か褒められたけど、何が? まぁそれはともかく。

「んっと、受かりました。第二水高」

『まー、おめでとう』って、三組の担任だったおばあちゃん先生。

 ありがとうございます、そして報告に来た人が前に立ってますよー。

「はい、点数聞いてきたな?」

「あぁ、はい」

「何点」

「えぇっとー……これって」

 合計だけ言えばいいんですか、って言おうとしたら『国語は?』って言われた。

 五教科は全部四十点満点。国語はー。

「三十九です」

「三十九!?」

 先生吹き出した。

「すごいなぁ」

 いや、簡単だったから。『満点取れたかな』って思ってたから一点分ショックだったんだけど。

「はい、社会」

「三十三」

「おぉ、はい、数学」

「三十三」

「理科」

「三十七」

 苦笑された。

「英語は?」

「二十八」

 コレだけ! コレだけ三十点無い! きっと早く帰りたかったんだ。目と頭と疲れてたんだ!

 池中先生英語担当なんだよなぁ……。最後にコレはちょっと言いづらいよ。普通に、さらっと言ったけど。

「リスニングの分は分かるか」

「いーえ。合計分だけです」

「はいはい。えぇと、合計は……」

「百七十点です」

 きっかり。

「はぁー、すごいな」

「どうも」

 純兄だったらどんだけ取ったんだろう。満点かも。

 さよなら言って、帰りましょっと。

 花上のグループが自転車で学校行くのに出くわした。

「受かったー?」

「受かったー」

「おー、おめでとう!」

 わー、言ってくれるんだ。

「ありがと。そっちは?」

「受かった受かった!」

 っと言う間に、シャーッと後ろの方へ。

「おめでとー!」

 そして、車輪のすぐ側にドブがあるから気をつけて。

 それからは保育園のお散歩に出会った以外は特に何も起こらず、家に帰ってきました。

「ただいまー」

「お帰り~。純に報告した~?」

 今日はお母さん仕事休み! でも純兄は仕事! お昼ごはんは母子二人だぁー。

「これからするー」

「しなくても分かってるって言いたげだったけどね~」

 ……確かに。

 階段上がって、自分の机の引き出しからメモ帳とシャーペン出して、えぇー、なんて書いたらいいかな。受かったってことだけ書いとこう。そこだけ切り取って純兄と岳の部屋へ。

 純兄の机って、いつ見ても綺麗に整った所に一冊だけ本がポンって置いてあるんだけど、今日はそれが無い……使われてるのか疑わしくなっちゃうよ。毎日使ってるのに。

 真ん中に置いとこう。このままだと飛ばされるかもしれないからー……あ、本棚の開いた所に氷の置物が。なんで氷って分かったんだろう、あたし。そしてなんでよりによって氷なんだろう。

 とりあえず、これをメモの上において。これでよし。

 報告、終わり!

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