40 雪、そして本とに居たのかこんな奴2
ひゅおおぉぉぉぉぉぉぉ……
わ~、寒そ~。
光です~。
今ね~、久し振りに雪が降ってるんだよ~。
梅の花は大分咲いてるし~、昨日も温かかったのにな~。
「お~、さぶ。つべてー」
「お帰りっ岳にぃ!」
「岳お兄ちゃんお帰り~」
剣くんって岳お兄ちゃんに懐いてるよね~。
いっつも真っ先に飛んでいくんだもん~。
「……わぁ~! 真っ白オバケ~!」
「オバケ違う!」
だって~。
頭もランドセルも服も雪がいっぱい積もってるんだもん~。
あ~、解けちゃった~。
暖房入れてるからね~。
「あれ? 斬は?」
「あそこ」
天ちゃんが指すは家の天井~。
の少し右らへん~。
ここで言う右は南ね~。
「……? あ、外か! ……すげー。よく出られるな」
岳お兄ちゃん指された所(外)を見ています~。
確かによく外出られるよね~。
雪の竜巻が出来ちゃいそうなほど風強いんだよ~。
風邪引かないかな~?
「斬は雪男同然だから」
天ちゃん~、雪男って毛むくじゃらなイメージが強いんだけど~。
どっちかって言うと雪女男の子バージョンって感じだな~。
和服だし~。……黒いけど~。
「寒いーついでに痛い。純兄何とかして」
「無理に決まってんだろうが」
「あ~、お姉ちゃんと純お兄ちゃんも帰ってきた~」
わ~、岳お兄ちゃん並かそれ以上に真っ白だ~。
ハンカチではたいてるみたいだけど~。
「……お帰り」
「あ、斬ただーいまっ」
斬くんはお姉ちゃん達に懐いてるよね~。
あれ~? お姉ちゃんが斬くんに懐いてるのかな~。
お姉ちゃん~、いちいち斬くんを高い高いする必要は皆無に等しいと思うんだけど~。
無表情崩してないし~。
神谷くんと菜美ちゃんは凄く喜ぶけどね~。
……菜美ちゃんと斬くんって同い年だったような気がするけど~……。
全然違うよね~。不思議~。
「斬、外で何してたの?」
「……雪、見てた」
「へ~っ、顔に当ったりしたら痛くない? あたしすっごく痛かったから後ろ向きで歩いたんだよ。途中」
……お姉ちゃんって人目あんまり気にしないんだね~。
「もちろん人通りの少ない所でだけど」
あ~……、気にしてたんだ~。
「人通りの多いところでは俺を盾にしやがったからな」
それで純お兄ちゃん少し不機嫌そうなんだね~。
……なるほど~、今度岳お兄ちゃんを盾にしてみようかな~。
何のためにかは不明~。
「…………あ! そういえば何か不審者出たんだって。気をつけてね~、特に光」
「何で私なの~!?」
「一番逃げ足遅いだろうからさ。刃物もって追い掛け回す若い男だって」
……否定できない~。
お姉ちゃんは本気出したら速いし~……短距離は~、だけど~……。
純お兄ちゃんは走るの速いし何故か隠れるの上手いし~。
岳お兄ちゃんは逃げる時は異常に速くなっちゃうし~。
う~ん確かに一番危ないのかな~。
「あ、ちなみにそいつは身長143cm、……ぅあ小っちゃ。体重92キロ、血液型は海老……じゃなくてAB型で星座はうお座。趣味は本とか漫才とか落語とかその他諸々。黒ぶち眼鏡かけてて黒いリュック背負ってる。息遣い荒くて汗だらだらの要はずんぐりむっくりの……本とに居るのかこんな奴って野郎だ。分かった?」
「分かった~」
本とに居るんだね~、そんな人~。
「ちょっと待て。テメェなんでそんなに詳しいんだよ」
「あたし目撃者」
「は!? ……だからってそんなに細かく……」
「ちょっと盗聴器を仕掛けて」
「盗聴器もってねぇだろ」
「ばれましたか」
「ちなみに目撃者って所は」
「あー、それも違う」
何だ~、ウソか~。
本当にそんな人がいるなら見てみたかったのに~。
「本当は短ランボンタンに「見てねぇんじゃ無かったのか」これは昨日見かけたんだよ」
……短ランにボンタン~?
アレかな~? 昔々の不良さんが着てたっていうやつ~?
どれ位前なのかは知らないけど~。
「そんなのが居たのか?」
「うん、これは本と。昨日卒業式だったでしょ? 校門の前に立てかけてある《第四十回卒業証書授与式》って言うのあるじゃん。あそこで写真撮ってたんだよ」
不良さんが~?
「……本とに居るんだな……そんな奴」
「でもま、本とに居るのかって行ったら死神トリオもそうでしょ。」
『?』
トリオさん~、そんなそろって首傾げなくても~。
死神って殆ど信じられてないんだから~。
「雪好きで実験……危険物の調合が好きなな死神はもっと珍しいかもな……」
激しく同意します~。
斬くん~? 首傾げてるけど~、
君のことだからね~?