4 今日の夕飯は?
「ただいまッ!……って、鍵しまってる!?」
あー、そーいや今朝母さんが『今日は友達の所に行って来るね~』とか言ってたっけ。
岳でーい。
「えーと、鍵鍵……」
…………あ゛。
鍵、オレの机の上だ。
「しまったぁぁぁぁぁああああ!!」
ガチャカチャ
あれ、開いた?
「五月蝿いよ~、岳お兄ちゃん~」
「あれ、光?」
あ、そうか。
光はオレより2つ年下の小3。
とーぜん、オレより先に帰っている訳だ。
「何で鍵閉めてた訳!?」
「お母さん、純お兄ちゃんかお姉ちゃんが居ない時は鍵閉めなさいって言ってたもん~」
「あ、そっか」
「おい、早く入れよ」
ぬ、後ろから聞こえるこの声は……。
「あ~、お帰り~、純お兄ちゃん~。早いね~」
「ん」
ただいま位言ったらどうだろう。
「あれ、ねーちゃんは?」
「二者懇で少し遅くなる……らしい」
「らしいって」
にしゃこん?
に 階で
しゃ 会の
こん ぎつねをやりましょう
……絶対違うな。
大体社会のこんぎつねって何だ。国語の教科書に出てきたごん○つねなら知ってるけど。
あれ、テーブルの上に紙を発見。
『純忍岳光へ♪
今日はお母さん友達の家で晩ご飯食べるから晩ご飯は何か適当に自分達で作ってね(ハート)
お母さんより♪』
ナンデスト?
「にーちゃん!」
「あ?」
「にーちゃんって料理出来んのかっ!?」
「……簡単なものなら?」
怪しい!
光は論外として……あっ!
「ねーちゃんは!?」
一応ねーちゃんは女だ!
たまに、ほんっとたま~にお菓子作ってるし!
「……レシピがあれば大体作れっけど……それがどうした?」
「これっ」
にーちゃんに紙を渡す。
「…………ぅげ」
……今小さく『うげ』って言わなかったか!?
不安だ……どうしようもなく不安だぁぁぁああ!!
「ど~したの~?」
「あ、光!これ見ろよ!」
「あっ、馬鹿ヤロ・・・」
『ふむふむ~』とかうなずきながらメモを読む光。
「大丈夫だよ~。私が作るから~」
………………し、
しまったぁぁぁぁぁあああああ!!!
光はちゃんと料理をしても、途中で明らかに、
あ、き、ら、か、に、変な物を入れるんだ!!
小一の時なんかねーちゃんの作ってたクッキーに、わさび、からし、しょうが、こしょう、その他調味料類諸々を大量に入れて史上最悪のクッキーを食わされる羽目になったんだ!!
あれはもー、最悪だった。
焼けたのも奇跡的な感じだったしなぁ……。
「さて~、何作ろうかな~♪」
まずい……光は本気だッ!!
「まずは冷蔵庫から調べよっと~」
てとてとてと
「どーしよ、にーちゃん」
「……とりあえず、変なもの入れそうになったら止めりゃいいだろ。
変なものさえ入れなかったら普通なものを……」
「作るかなぁ……」
変なもの入れたやつしか見たことねーし。
「……とりあえず、忍が帰ってくるまでは見張っとけ」
「アイアイサー!」
今日の夕飯、絶対に危ういものにはさせないッ!!
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