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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、弥生ば暴走
397/410

397 こんなことやってます

「ね~、お兄ちゃん~」

「んぁ?」

「お兄ちゃんって今学校で何やってるの~?」

「追っかけっこ」

「そうじゃなくて~……勉強の方~!」

 っつーか岳、アンタは学校に追いかけっこしに行ってんのか。

 ……そーゆーあたしも学校に勉強しには行ってないんだけどさ。

 受験終わったから短縮授業。一時間目は道徳、二時間目にLHR、三時間目に卒業式の歌練習で、四時間目は卒業式の練習。終わり。弁当なし!

 なんで四時間目まであるんだろう。お腹空いてお腹空いて大変だったんだよ? 帰り。大げさ? どこが?

 忍でーす。

 お八つにポテチ(うすしお味)を食べる岳に光が近付いて、質問をしながら岳が自分の小遣いで買ったポテチをかすめ盗っています。

「ん? ……あっ! 光! 何テメ盗ってんだよ!」

「ちぃ~、バレたか~!」

 岳はともかく、岳以外の人にはバレバレだったもん。あたしがジェスチャーで教えてあげたのさ。

「もーいーよ、食っていーよ。ただし六十円な」

「えぇ~。そこはおごってあげるって言ったら株が上がるんだよ~?」

 …………光、そーゆーのどこで覚えたの?

「で~、本当に何やってるの~? 小学校のってもう終わってるんでしょ~?」

『えぇ~』とか言いつつ結局食べるのね。どーせ払わないんだろうな。

「何って。振り返り」

「算数とか~?」

「そー。算数とか国語とか。めんどくせー」

 ふむ。

「足し算引き算とか?」

「どんだけ戻んだよ!?」

 あ、やっぱり違うか。

 英語の期末テストで『アルファベットの大文字と小文字を順番に書きなさい』なんてのが出たから。まさかとは思ってたけど。

「掛け算割り算~?」

「それも戻りすぎ! 六年のだけだ!」

 そりゃーね。六年生にもなって計算の基本はやんないよね。

 ……あれ? じゃああたし達が中学の三年生にもなってアルファベットをやったのは何故。

「国語って何してるの~? 一回読んだのまた読むの~?」

「しねーよ。漢字だけ!」

「一とか……」

「姉ちゃん、それはもーいいから」

 あい。

「喜ぶとか冷たいとか~?」

 それ、自分がやってる奴じゃ?

「六年のだけだっつってんじゃねーか!」

「国語に関しては言ってな~い~」

「分かれよ!」

「分かってたよ~?」

 光だって馬鹿じゃないもん。わざとだよ。

「猿とか棺とか?」

「習わねーよ! 書けるけど!」

 書けるんだ。

「大テストだけだっての」

「大テストって~、イコール普通のテストだよね~」

 小テストと比較して、大テスト?

「ほっとけ! 言ってからオレも思ったけど!」

 思ったんだ。

「ねぇ、バラって書ける?」

「…………紙とシャーペンどっかねーか?」

「あるよ~」

 便利だなー、光の文具ポーチ。なんで今も持ってんの。

「はい~、シャーペンとメモ張~」

 さぁ、岳。書けるのか!?

「くさかんむりだろ~、で、バラのバって確か人が二つ入ってたけど……えぇっと……人を隣同士に書いて、真中に線があって……? あ、あ、確か土の間に人二人だ! で、後は回って、こう!」

 おぉ、書き順は滅茶苦茶だったけどそれっぽい。

「ラは~?」

「こっちは分かるぜ! くさかんむりに微妙の微だ!」

 おぉ~!

「どだ!」

「ちょっと待って、辞書出すから」

「って、姉ちゃんも分かんねーのかよ!」

 いや、大体そんなのだと思うけどさ。ちょっとした間違いあるかもしれないでしょ。

「……なんでバラ?」

「あ、なぁ兄ちゃん! バラってこれで合ってるか?」

「ん? ……あ。薔の方は合ってるけど、ラがちょっと違う」

『えぇ!?』

 違うの!? くさかんむりに微妙の微じゃないの!?

「こうだよ」

 ふむ?

『薇』

「合ってんじゃねーか?」

「よく見ろ。山と……π? の間」

「パイって何~?」

「こんな形のギリシャ文字」

「…………ぬぁあっ!?」

 どしたの岳、あたしにも見せてよ。

「山の下に線が一本入ってる……」

 うわぁ。引っかかるよ。微妙の微だと思っちゃうよこんなの!

「…………純兄、微妙の微には線入らないよね?」

「なに不安感じてんだ。入んねぇよ」

 よかったぁ。漢字間違えてるのかと思った。

 皆さーん、薔薇の薇はくさかんむりに微妙の微じゃないですよー! 山とπの間に一本入りますよー!

『薔薇』が書けたらどうだって言うんだ、て?

 自慢できるでしょ!

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