388 教師がおかしくなった件 其の弐
変なのが居る。……変なのが居る。
大事な事なので二度言いました。
忍です。
朝、学校に来たら変なのが居ました。
頭には『粛正』って書かれた鉢巻、手には竹刀、ジャージに何故か下駄。
……と言う姿の柿の種もとい牡蠣野胤(先生)!
前にもあったよなこんなこと!
「なっくん、あれを見てどう思う?」
「面白いと思う。あははは」
今日は珍しくなっくんと登校です。理由? 寝坊したから。夜更かししてまでハリー○ッター読むんじゃなかった。
純兄に起こされても目を覚まさなかったという事実に驚愕。
「お、しな。今日は遅ぇじゃん、忍」
何でだろ、何だか清が二人以上居る人の名前を略して呼ぶの久しぶりに聞いた気がする。
「寝坊したの」
「で、一人で学校行くのは足以外が暇だからって俺と一緒に来たの」
なっくん、それ言う必要ある?
……って思いを込めてジト目で見たら、また笑われた。覚えてろ。
「ところで、アレどうする?」
「ぜってーまた小っちぇ事にケチ付けてくるぜ。コレとか」
清が指したのは、清が履いてるハイカット。
「それは単純に校則違反でしょ」
「テニスシューズは大丈夫だよな。な?」
大丈夫だと思うよ、しーちゃん。白いもん、それ。
「わたしのコレだめかな~?」
桜が指したのは鞄に付いた小っちゃいぬいぐるみ。
「駄目だと思うよ。だってこれも駄目なんだもん」
で、あたしが指すのは手首のミサンガ。
「うわ、んじゃこれも無理か」
なっくんが出したのはサメの歯のペンダント。桜のお土産でもらった奴。
「それ、まだ付けてくれてたんだ!」
「失くしちゃ悪ぃし」
しれっと言うけど若干照れてます。照れるなら出さなきゃいいのに。
「ねーねー、これ何!? なんでこんなに皆集まってるの!?」
「あら、シジミ」
「し・な・みぃ!」
はいはい。
「亮くん! 酷いと思わない!? このどうでもよさげな顔!」
「…………わかった。落ち着こう」
「うん」
水谷の声の力か、それとも単純に紫波が素直なだけなのか。
「ちょっと、通してください! いいですか?」
あぁごめん。誰かは分からないけど女の子。あれ? どっかで見たような……。
「ちょっと温海! 本当に行くの!?」
「あんなひょろひょろ教師が何ぼのもんじゃい!」
頼もしいな、温海ちゃんとやら。
「七草、言っておくが……」
「ストーカーは引っ込んでな!」
「少し位言わせろ!」
およ、マコちゃんじゃん。マコちゃんがキレてる。
「マコちゃん、少し落ち着きましょう? ね?」
「マコちゃんと呼ぶな」
えっちゃんも居る。
「何だ、あの子? 勇気あるなぁ」
「清、単純にお前が根性無しなんだ」
しーちゃん、言ってあげないの。
「七草! 何だその縦長の袋は!」
「木刀だぁ! 文句あっか、あぁ!?」
温海ちゃん……不良?
「文句ある! 学校に必要ないだろ!」
「必要あるわ!」
「いつ必要か言ってみろ!」
「純センパイのドタマかち割るときじゃぁ!」
柿ピー唖然。…………周りも一部ポカン。
「七草さんとやら、そりゃ絶対無理だからやめとけ」
となっくん。
「あぁ? まず貴方の頭をスイカ割りのスイカのごとく割って差し上げましょうか」
わぉ、急に礼儀正しくなった。
「やれるモンならやってみろってんだ」
「フンッ!」
ほんとにやったよ。
なっくん、大丈夫ー? おー。あっさり避けてら。
「……ホントにやる奴があるかぁッ!」
「やってみろって言ったの貴方でしょう?」
「そりゃそうだけど!」
今のうちになっくんの事笑っといてあげよう。あはははは。
「先生、もう授業始まるんですけど」
「いい加減通してくれません?」
お、三年生を中心とした女子のネチネチ攻撃が始まった。
「今時持ち物チェックなんか流行んないよ」
「っつーか、ジャージに下駄って。プッ」
『とーおーせっ、とーおーせっ』
通せコールが始まった。よし、あたしも乗っかろう。
『とーおーせっ、とーおーせっ』
「つーかこのまま乗り込んだ方が早くね!?」
『おーっ!』
と言うノリで、柿ピーは皆に踏みつけられておしまいになりましたとさ。