381 マージ―カールーバーナーナッ
『マージ―カール―バーナーナッ』
「バナナと言ったらきーいろっ」
「黄色と言ったらあの袋~っ」
「あの袋と言ったらビニールッ……」
おーい、マジカルバナナで『あの』って指して表現するのありなの?
確かに黄色いけどさ。
忍です。
光、はーちゃん、美代がリビングのど真ん中で輪になって、マジカルバナナをやっています。
「ビニールと言ったらスートーローッ」
「ストローと言ったらシャボン玉~っ」
滅多にしないけどね。
小学の時に、シャボン玉液作るのに何入れたら売り物みたいに出来るかなーってやった事があるんだ。
シャンプー入れたらいい匂いで沢山飛んだ。物によるかもしれないけどね。
で、リンス入れたら全然できなくなった。
「シャボン玉と言ったら飲、む……」
飲んじゃ駄目だろ!
ストローからうっかり飲み込んじゃうの!?
「飲むと言ったらジュースッ!」
「ジュースと言ったら果汁百パーセ~ン~ト~っ」
「果汁百パーセントと言ったらくーだもの……」
間違いない。いや、あれは果肉もあるから違うかな?
「果物と言ったら、木!」
イチゴは草だから果物じゃないのか? 果実的野菜って言うんだっけ。
「木~と言ったら~……んと~」
ここまで来てどもらないでよ。
「も~くざい~」
木材……木からさらに絞り込んだ形に。
「木材と言ったら………………いーえっ……」
No? 家か。
「今だったらコンクリートもあるよ~?」
光、突っ込むなよ。
「……木もあるもん。美代の家木だもん」
「家でいいじゃん! いーえと言ったらわーがーやっ!」
結局絞り込んだだけだし。
「わが家と言ったらい~ちばん~っ」
『あー、やっぱりわが家が一番だわー』ってか。絶対これ想像してたでしょ。
「一番と言ったら運動会っ……」
「運動会と言ったらせーんそうっ!」
…………確かに?
「戦争と言ったらこ~わ~い~っ」
戦争の本読んだ日の夜、あたしの布団にもぐりこんできたもんね。夏だったからすぅっごい暑かった。
「怖いと言ったらちーちうえ……」
何者なんだろ、村田家の父。『怖い』から真っ直ぐ繋がっちゃってるよ。
「父上ってお父さんで良いよね! お父さんと言ったらよーわーいっ!」
ほぼ真逆だよ、村田家と海中家の父親。
「弱いと言ったらい~わ~し~」
魚へんに弱いだもんね……。
「鰯と言ったらおー魚……」
「お魚と言ったら水族館っ!」
「水族館と言ったらエ~イ~!」
なんでエイ? ひらひらの奴だよね、なんで寄りによって?
「エイって……えぇっと……あ、き~ばっ」
エイに牙は無いでしょ! 何を想像した!?
「牙と言ったらラーイオンッ!」
はーちゃん! 何もなかったように続けるの? そこ!
「ライオンと言ったらつ~よ~い~っ」
光、なんで『木材から家』には突っ込んで『エイから牙』には突っ込まないの!?
「強いと言ったらひーちゃん家……」
一括りでか! どういうイメージなの、あたしん家!
「ひーちゃん家と言ったら……………………えぇっとー、ひーちゃん!」
おっきい間だったね。
「私と言ったら……えぇ~! 困るよ~!」
そりゃそうだ。
「私と言ったら~? みーちゃんとはーちゃん~!」
そんな逃げ道があったか。
「美代とはーちゃんと言ったらひーちゃんの友達……」
「ひーちゃんの友達と言ったらいっぱい?」
あ、そこ疑問なんだ。
「いっぱいと言ったら細菌~!」
やっとひーちゃんから抜け出したと思ったら……何で『いっぱい』から『細菌』に行くの。確かにいっぱいではあるけどさ。
「サイキンと言ったら昨日……」
美代、それ『細菌』じゃなくて『最近』でしょ。
「昨日と言ったら……ねー、そろそろ飽きてきた」
「飽きてきたと言ったら私も~」
「美代も……」
『やめよう』
あ、それで止めるんだ。
数分後、また始まったことについては突っ込むまい。
やることが無かったのね。