38 頭痛い
「じゅーんにー」
「あ?」
「おはよ」
それだけかよ。
「っはよ」
取敢えずは返しておく。
返さないと返すまで言い続けるから。
純だ。
「ねー純兄、頭痛いー」
……俺に言ってどうすんだ。
「風邪か?」
「さー?」
熱……は、無い。
と思う。
「純兄、手、つべたいよ」
「ほっとけ」
「いたーい。ねー、どーやったら治る?」
「知るかよ……」
原因も分からないのに。
「だいたい何で頭痛くなったんだよ?」
「それが分かったら苦労しないよー」
それもそうだ。
「多分昨日ゲームしまくったからだと思うんだけど」
「分かってんじゃねぇか。原因それだろ」
たまにゲームとかパソコンとかしすぎたら痛くなるんだよな。
「ねー、どーやったら治る?」
「……寝とけ。起きたら治ってる、かも」
「今日学校なんだけどー」
「授業中にでも寝とけ」
一部どころか二部三部くらいは聞き流してんだから同じだろ。
「今日三時間目からは卒業式練習だよ?」
「半分意識飛ばしとけ」
歩きながら出来んだからわけねぇだろ。
「下向いてたりしてたら学年主任のあの教師に怒られる」
……あいつな。
教師をあいつとか言ったらいけねぇんだろうけど。
学年主任、英語担当の池中……何つったかな。
説教が長い、ほかの奴も巻き込まれるで何か嫌われてる教師。
……一部アレはツンデレで恥ずかしがってるだけだとかいう奴もいるけど。
いい年したおっさんなんだからそうでないことを願いたい。
「ねー、どーしたらいー?」
「まず着替えろ」
パジャマから。
「何に?」
「はぁ? 馬鹿か、制服に」
「……ふわーい」
裾を引きずりながら部屋に戻る忍。
……いつも思うけど、ぶかぶかだな。
ごん
「いたッ!?」
「プッ」
「純兄、笑わないでよー!」
「あぁ、悪ィ」
扉開けようとしてその扉にぶつかる奴なんか居るんだなと思って。
いや、何度か見たことはあるんだけど。桜のを。
忍がやると……何かな。違和感があるような無いような。
「純兄ー、まだ痛い」
着替え早……。
「とりあえずいつもどおりしてたら忘れるだろ」
まぁ無いと思うけど。
「んー、分かったよ……」
ごん
「いた……」
数分後、洗面所の方でそんなのが聞こえた。
「忍ねぇ? どーしたんだろ」
「……下に落としたピン拾おうとして洗面台に頭ぶつけた」
……またか。
ごん
「いった!」
今度は何だ。
「立ち上がろうとしてまた洗面台に頭ぶつけたみてーだ。ねーちゃんらしくねーな」
「可愛かったけどね~、ね~、天ちゃん」
「うん。しぃねぇが頭ぶつけるなんて始めて見た」
ごん
「いた!」
「今度は何だろ~」
……忍、まさか頭痛は頭をぶつけたことが原因じゃ……。