375 水小祭り! 四年二組:段ボール迷路(?)
「四年二組ー、段ボール迷路! 来てねー!」
「来たら、この子喜ぶ」
「そー! このかっわいいひーちゃんが喜ぶよー! さぁ、彼女の笑顔を見たい奴、よったよった!」
「…………私を叩き売りしないでほしいな~?」
誰がひーちゃんを売るもんか!
春だよっ!
ウチらのクラス、四年二組は段ボール迷路! 大地の馬鹿がカッターの使い方がなって無くて、ひーちゃんに怪我させたってトラブルはあったけど、段ボール迷路そのものは無事に完成!
虫メガネ型に! あれ?
虫メガネのレンズ無いバージョンってかんじに! あれ?
迷路じゃないや。
入口があるでしょ? そこから真っ直ぐに行ったら、左右に道が分かれてるの。どっちに行ってもその分かれ道にぐるっと回って戻って来ちゃう。そのルートしかないし。
うん、やっぱり迷路じゃないや!
そういう訳で、段ボール迷路はタイムアタック!
早く出てこられた人には切り絵を差し上げまーす。
ひーちゃんと忍ちゃんが作りましたー! めっちゃくちゃクオリティ高いからね。忍ちゃんの作品になんか、もちーふ、とか言う奴もあるヤツにはあるからね。
葉っぱを『もちーふ』にした、ちょっぴり豪華に見えるのとか、雷を『もりーふ』にしたカッコいいのとか。
あれ? もちーふ? もりーふ? どっちだっけ。
どっちにしても、残りが少ないから記録更新した人にだけあげようって事になったけどね。
「さ~、次は誰かな~?」
「はーい! おれ、おれ」
「俺俺詐欺はお断りしておりま~す~」
「…………光ちゃん、そりゃないよ」
あ、よく岳くんと居る人だ。えぇと、えぇと。
「修くん!」
「そりゃ修也の事か!?」
違ったっけ。
「翔くんだよ~。じゃあ翔くん~、ここがスタート~。用意ど~ん~!」
「えぇっ!? 用意の時間短っ!」
突っ込んでる暇があるならさっさと段ボールの中に潜ることをお勧めするよーっ!
ちなみに今のトップは岳くんの11.0秒! 二位は修也くんの11.7秒! ……いい勝負。三位は12秒、誰かは不明! だっていっぱい来たもん。
「……生きが良い」
「ほんとだ~。段ボールが動いてるみたい~」
段ボールの中からドタン、バタン!
「違うよ、本当に段ボールも動いてる。移動してるよ」
恵利奈ちゃんに言われてみれば~……ほんとだ。迷路そのものが十センチくらい前進してる。
「あ~、一番向こうに着いたみたい~」
今度は少しだけ横に移動して、また戻って来た!
そして翔くんが顔を出す頃には初めの場所に戻って来てる。
「タイムは~……15秒!」
「うそっ!?」
嘘は吐かないよお!
「もーいっかい!」
「……外」
「へ?」
外、と言うか廊下。
「人、並んでる」
「……さーせんっした」
謝るときはちゃんと謝りなさい!
さー、お次は?