表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、如月を暴走
374/410

374 水小祭り! 六年二組:お化け屋敷

「と言う訳で、本番だ」

「いきなり教室に入ってきて『と言う訳で』っつってもどういう訳かわかんねーよ」

「それに本番っつっても、何か違うでしょ」

「と言う訳で、当日だ」

 せんせー、オレが言った指摘はスルーか。翔が言った部分は直したのに?

 岳だ!

 水ヶ岡小学校、水小祭りの当日だ! どういう訳かは知らんけども。きっとせんせの頭の中では何か『と言う訳で』と続くようなことが流れてたんだろ。

「頑張ってこーっ!」

『おー!』

 あ、そんだけ?



 オレのクラスのは、前にも言ったよな、体育館の舞台の下にある倉庫でお化け屋敷。

 なんだかんだとアイデアを出し合う内に、ストーリーが出来てしまったという。

 舞台はとある洋館。そこでは魑魅魍魎が何かしてとりあえず怖いことになっている。そこにお母さんが連れ去られてしまった! 何でだ!? それはともかく、お母さんを連れ戻せー! って感じだ。

 うちの母さんの場合、連れ去られる前に相手をボコにしそうなもんだけど。

 ちなみに、出口のところにお母さん役、理絵が居る。わざわざエプロン付けて。

 …………あ、倉庫のドア開いた。真っ暗なだけに分かりやすいわー。

「行ってらっしゃーい」

 記念すべき第一団。何年だろ? とりあえず、男子の集団っぽいことはなんとなく分かる。声するし。

 さぁ、怖がれ!

 入って来て一番最初に出会うのはコンニャク! オレとしては、いきなりこれかと言いたいけど。

「ちべたっ!?」

「うわ、気持ち悪っ」

 ……怖がられる前に、気持ち悪がられた。まぁ、分からんでもないけどよー。

 さて次にー、いくつか棚が並んで、ずらりと並んだぱぽちゃん人形がお出迎え。

「怖っ!」

 よし。正直でよろしい! でもぱぽちゃんはこれだけじゃ終わんねーぞ!

『私、ぱぽちゃん』

『っ!?』

「私、ぱぽ」「私」「ちゃん」「ぱぽちゃ」「私」「ん」「私」「ぱぽちゃん」

 クラスから選んだ声が可愛いヤツ(男子込)が、ぱぽちゃんの声優。

 ぱぽちゃん、ぱぽちゃん、五月蠅いし、ぱぽちゃん人形は不気味だしで、結構怖ぇだろ?

 そこを通り過ぎたら、いったん上靴と靴下を脱いでもらう。しばらくスライムを散りばめたブルーシートを歩いてもらおうって。

 その途中で白シーツがふわーっ。流石にコレはビビってもらえなかった。まぁ……そうだろうなぁ。

 その後で霧吹きの水がシュッと首筋に。

「冷たっ!」

 さらに、

「あははっ! あはははははははは!」

 里山の笑い声が響き、一輝の兄ちゃんの一志くんが芸術大学で作ってきた等身大の生首人形が一列に並んでお出迎えー!

 ブルーシートを下りて、置いといた雑巾で足ふいてもらって上靴をはいてもらう。

 そしたら棺桶(倒した掃除用具入れ)から吸血鬼(一輝。ゾンビでも可)が派手な音を立てて飛出し、追いかける。

『うわっ!?』

 よっしゃ、ビビってる、ビビってる!

 その辺に壊れた人体模型(せんせが借りることに成功した)も立ててあったけどそれはスルーされた。悲しいかな、一番準備がが難しかった奴だけに。

 で、倒れた死体(翔)がズボンのすそ(スカートを履いてる子だったら足首を掴む予定、ちなみに突っ伏したままだから覗きにはならん)を掴んだところでようやく出口!

『おかーさーん!』

 ノリいいなおめー等。

「はーい」

 そして三人の冒険は終わりを告げましたとさ。ちゃんちゃん。

 …………オレは何してたのか? 迷子が出ないように監督だよ、監督。オレが提案したんだけどさ。

 椅子が積み上げられた上に立って、動き回りながら監督してんの。だからこそ実況中継できた訳で。

 通りゃんせでも歌ってやろうかな。でも音外してたらすげー馬鹿にされそうだからやんない。



 前半の最後の方になって、大物がやって来た。

 我が妹、光と愉快な仲間たち。……はーちゃんもみーちゃんも入った時点ですっげぇ怖がってるけど。光は……? 怖がらせられたら愉快だなー。

「行くよ~……ちょっと~、そんなにしがみ付くことないでしょ~?」

『怖いもん!』

「大丈夫だよ~、大丈夫~」

 頼もしいな、光。口調はともかく、表情と来てる服装からしても頼もしさが。

 さて、そんな光ご一行。

 コンニャクがはーちゃんの首に触れそうになると!

 ぺしっ

「え? どうしたの、ひーちゃん?」

「何でもないよ~」

 コンニャク叩き落としやがった! すげーなお前!

 ぱぽちゃん集団のところに来ると、

『私、ぱぽちゃん』

『きゃぁああああああっ!』

「私、ぱぽ」「私」「ちゃん」「ぱぽちゃ」「私」「ん」「私」「ぱぽちゃん」

「さぁ~! 本物はどれだ~!?」

『…………』

 声優軍団黙らせやがった!?

 で、ブルーシートの上。

「足、気持ち悪いね~」

「……うん……でも、それより……」

 大丈夫かね、みーちゃん。頼むから倒れるのだけはやめてくれよ。

 白シーツが襲ってくると、

「ベタじゃな~い?」

 霧吹きには、

『冷たっ!』

 あ、そこは普通の反応? 三人そろった行動が可愛いから許す。面白いから許す。

 里山の笑い声には、

「あはははは~!」

 同調しやがった。しかもはーちゃんみーちゃんも促して、

『あははははは!』

「えっ!? どゆこと!? どゆこと!? りり怖ぁ~いよぉ!」

 里山がビビった。

 生首人形には、

「どっから持ってきたんだろ~?」

 ごもっともな疑問。

 生首人形にビビる二人には『見なきゃいいんだよ~』と滅茶苦茶正しい解決法を伝授。

 で、ブルーシートを下りた先のゾンビには、

「ね~んね~ん~、ころ~り~よ~」

 この真っ暗闇の中で聞くと滅茶苦茶怖い子守唄を。何故かそれにしたがって棺桶に戻る一輝。

 壊れた人体模型は、スルー。おいコラ。どんだけ使うのに苦労したと思ってんだ。主にせんせが。

 そしてズボンのすそを掴まれると、

「この変態~!」

 と、スカートの中を覗いた訳じゃないにも関わらずかかと落とし。

「お母さんだよー」

 と言う理絵を見つけて、

『わ~!』

 と駆け寄ってゴール。

 ……………………。

 あ。翔。光のかかと落としなんぞ喰らって大丈夫か!?

「おい翔! 大丈夫か?」

 まさかお化け側にこう言う事を言う羽目になるとは思わなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ