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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、如月を暴走
373/410

373 夢か現か

 今朝玄関から出たら、目の前を歩いてた人が消えた。

 穴でも開いてるのかと思って見に行ったけど、穴は開いてない。

 ……あれ、これって怖いんじゃない?

 ま、いいか。普通に学校に向けて歩き始めた。

 また、前を歩いてた奴が消えた。

 流石に二回目は怖い。

 消えたあたりに行って、穴が開いてないか確認する。周りを見回す。

 宇宙人でも来てるのか思ってと空を見上げたけど、当然なにも居ない。

 でも、よく考えたらどうしようもないし。学校に向かって歩き出す。

 三人目。

 …………絶対消えるぞ。誰か消えるぞ。次どいつだ。

 あいつか、こいつか。周りを歩いている奴が気になってしょうがない。

 しかーし。

 期待するとなかなか消えない。普通に学校についちゃった。

 そう言えば、一番目と二番目、消えたの誰だっけ? 知ってるような知らないような。知らない奴だったような知ってる奴だったような。

 とりあえず教室に入って周りを見回してみる。

 ……全員居る。

 何事も無かったかのように授業が始まった。

 別に誰も人が消えたなんて話してないし、気のせいだったのかも。

 いやいや。確かに消えた。

 授業に身が入らないまま(いっつも入れてないけど)、ぼーっと柿ピーもとい牡蠣野先生を見ていたら、突然柿ピーが消えた。

「うわっ!?」

 誰かが声を上げる。当然だわな。

「やったぁ!」

 周りからも色んな声が上がる。

「授業どうすんだよ……」

 とりあえず、柿ピーが消えたあたりに皆が集まる。

 穴も開いていないし、変な光線なんか入ってこなかったし、これってもしかして大事件なんじゃないの?

 誰かが、

「机のなかよく探せ! 柿ピー失くなった!」

 と言って、皆が机の中を覗き込んだ。……柿ピー、物?

「居た!」

 そう言って、田中さんが柿の種の大きさになった柿ピーを彼女の机からつまみ出した。

「あー良かった。居なくなっちゃったのかと思ったよ」

「いや、十分大変な事になってるからね」

 小っちゃくなった柿ピーが何か言っている。

 耳を近づけてよく聞いてみると、

「こら! 皆なんで急に大きくなったんだ!」

 大体こういうときって展開決まってるよね。

 夢か何かに違いない。

「お休み」

「現実逃避するな!」

 叩き起こされてみると、突然周りが大きくなり始めた。

 周りから声がする。

「忍が消えたぁ~っ!」

「またどっかに隠れてるに違いない! 探せ!」

 頭の上を皆が走り回っている。

 ……踏み潰されたらたまらん。とりあえず避難しよう。

 机の中に逃げ込んだところで、なっくんに見つかった。

「居たぞー!」

『良かったー』って声がする。

 いいもんかぁああああっ!

 ただでさえ家まで歩いて十分以上かかるのに! この大きさじゃ家に帰れないじゃないかっ!

 ん、ちょっと待てよ?

 純兄がいるじゃん。連れて帰ってもら……純兄も小さくなっていた。呑気に寝てられるのはなんでだ。

 あれ? ってか、小っちゃくなったのに誰にも気づかれないってどゆ事?

 純兄だけかと思ったら、皆次々と小さくなっていく。

 この世の終わりかっ!? まさかね。何にせよどーなるんだ。

 人間だけじゃなく、机やら椅子やら、あれもこれもどんどん小さくなり始めた。

 十分もすると、全部小さくなってしまった。

 ……元に戻ってんじゃん。

 柿ピーが授業の続きを始めた。すげーなアンタ。

 何事も無かったかのように授業が続いていく。すげーな皆。

 ……頼むから何もデカくなるなよ。

 授業が終わって窓の外を見てみると、いつもの風景が広がっている。

 なんかすっごい、複雑な気分。



 …………で、目が覚めた。外は暗い。時計を見たらもうすぐ十二時。

 夢にしちゃやたらはっきりしてたけど、なぁ? 

 不思議に思ったらこの人に聞こう。

「じゅーんにー」

「寝たんじゃなかったのか?」

「変な夢見て起きた」

「皆が小っちゃくなる奴? 夢だ」

「なんだ。……お休み」

「ん」

 あれ、なんで純兄知ってたの。あたしの夢。

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